第22話『死神の骨』
つがるは、暑い中補習を受けに学校に来ていた。勉強することに、つがるは嫌気をさし休み時間に、校舎裏に来て息抜きをしていた。
「ああ、せっかくの夏休みだってゆーのに、あっちでもこっちでも勉強かよっ」
するとそこに明信たちが、その男子生徒を人けのない校舎裏に連れて行き。
思わずつがるは、隠れてた。明信が誰も来ないか周りをキョロキョロして確認する。
ーーおもわず隠れたけど・・・つっかぁなんで隠れる必要があるんだ俺。
「なぁ、これがあれば頭はスッキリするわ、目は火が付いたようにさえて、勉強がはかどるし三千円であんたの行きたい大学どころか、好きな大学だって行けるんだぜっ。安いもんだろ?」
男子生徒は、疑いの目で明信たちを見て口を開いた。
「・・・本当に?それってヤバいヤツじゃないの?」
薄笑いを浮かべながら、悠真が喋り出す。
「大丈夫だってぇ、幻覚なんて見たり副作用もなーんにも起こらない安全なモンだから」
疑う男子生徒に、明信が言った。
「まぁ、嫌ならオレたちはムリにっとは言わないけどさぁーー・・・」
「わっ・・・わかったよ」
男子生徒が、財布からお金を取り出すとサッと悠真がお金を取り上げ数を数え確認して、それから明信がズボンのポケットから小さな袋に入った『白い粉』を、取り出だし男子生徒に渡した。
ーーあの、白いのなんだ?まさかぁ・・・!
「毎度あり。また、欲しくなったらいつでも、連絡してくれ」
そう言って、男子生徒を見送った。隠れていたつがるは、心配になり友達の前に立ち問いただす。
「おいっ、お前ら!さっきのアレなんだよ?」
「お前に関係ねーよ」
「なんだよ関係ねぇって、俺ら友達だろ?」
「何が友達だよ!カラスに、寝返ったくせに!」
「そ・・・それは違う!お前らは、カラス《アイツ》の事を誤解してる」
「はぁ?なにが誤解してるって、先にお前がいいだしたんだろが」
明信に言われて、図星をつかれつがるは何も言い返す事が出来なかった。
悠真が、ポケットに手を入れ行こうとすると、つがるが悠真の手を掴み止めた。
「ちっと待て・・・お前らヤバイ事に手を出し・・・」
悠真が、つがるの手を振り払うと、ポケットから小さな袋が落ちる。
「うぜーっ。もう、友達でも何でもねーお前に、とやかく言われる筋ねーんだよ!」
「友達ズラしてんじゃねー」
友達じゃないその言葉に、つがるは呆然と立ち尽くす。
つがるは、俯いていると地面にさっき男子生徒に、渡していた小さな袋に入った『白い粉』を見つけ手に取った。
放課後に、つがるが暗い顔をして廊下を考え事をしながら歩いている。
ーーアイツに、相談してみるかぁ・・・。確か、学校に来てるはず。
つがるが、向かった先は光がいる生徒会室。そして生徒会室の扉を開けると、光が不思議そうな顔をして。
「どーした?・・・つがる!」
つがるは、気まずそうな顔をして立っている。
「あっううん。ちょっと話・・・」
その時、ソファーに座っている栗田にハッと気づき、つがるが動揺して出て行こうとした。
「・・・っいっやぁ、やっぱ何でもねーわ」
つがるが、部屋を出ようとすると栗田がソファーからおもむろに立ち上がり。
「さってぇ・・・オレは戻るかなぁ・・・」
そう言って、つがるに近づき肩をポンと叩く。
「お前は、ゆっくりしていけ。アイツに話があるんだろう!」
栗田は、気を利かせ部屋を出ていった。
「そんな所で、突っ立てないで座ればぁ?」
光が、ソファーに座るように言った。
「ああっ・・・」
お互いに、向き合いソファーに座っている。
つがるは、上手く言葉が出てこない。そのまま少し口を閉ざし神妙な面持ちで黙ったまま。
「それで・・・話って?」
先に口を開いた光。
つがるは、さっき拾った『白い粉』をテーブルの上に置いた。
「それは?」
「俺も、これが何なのかはわからん。アイツらが持ってた」
悠真と明信に、言われた事を思いだしどうしたらいいのか、わからず顔を歪め悩むつがる。
「俺はどーすれば・・・」
「つがるは、どうしたい?」
「どーしたいって・・・そりゃー何とかしてーだけど・・・よ。でも、アイツらに友達じゃねぇって言われたらどうしよーもねぇだろ」
「つがるは難しく考え過ぎ、何とかしたいって、思うならすればいい」
うじうじと悩むつがるに、光は呆れた顔をする。
「じゃあまずは、コレが何なのか調べてから考えよう!」
光とつがるが、カラスの基地に戻りラテのいる研究室に行き『白い粉』の正体を調べて貰った。
「コレの正体は、・・・骨」
袋をユラユラと揺らしながら、ラテが言った。
「ほね・・・?」
ポカーンとした顔をするつがる。
「ああ、そう」
骨と聞きヤバいクスリじゃあなかった事に、つがるは安心した。
「良かったぁ・・・」
「アホっ!お前の脳みそは、うんこなのか?それともゲリっぴー・・・」
その先を、言おうとするラテの口を光が塞ぎ言わせないようにした。
「もうわかったから、その先は言わなくっていい」
ーーかわいい顔して、なんつう下品な言葉を使うこの子。
ラテのギャップに、つがるは驚きすっかり忘れていたことを思いだし聞いた。
「あっ、だけど骨なら危ねーもんじゃない・・・だろう」
つがるは、うろたえた顔をしながらラテの方に視線を向け言った。
「はぁ・・・」
呆れてため息を吐くラテに、光が真剣な表情で聞く。
「ラテさん、詳しく教えてくれない?」
「コレは、粉末状にした死神の骨!光も知ってるでしょ!シックルに使われていること・・・」
光は、ハッと気づく。2人の話についていけないつがるは、不安な顔をして声が大きくなった。
「おい!どーゆう事だよ。俺にもわかるように、説明してくれー」
ラテが、説明する。
「骨っていっても、死神の骨にはアームを吸い取る力を持っている。だから、シックルにも使われてて。多分だけど・・・コレを吸うことでアームを、吸い取られる感覚が快感に感じるのかもしれないわねぇ。多少取るだけなら、寿命が縮むだけで済む」
ーーイヤイヤ・・・サラッと寿命が縮むだけって、結構怖いこと言ってるんだけど・・・。
「だが、さらに吸い続ければ快感どころか死に一直線ねぇ」
つがるは、それを聞いて衝撃を受ける。
ーーアイツ、それを知ってて売ってるのか?
そんなわけない。きっと騙されて・・・。
「こんな物どこから、手に入れたんだかぁ・・・普通の人間じゃぁ、手に入れられないはずよ!」
ラテが、不思議な顔をして袋を見る。光が、部屋の入口の前に立ちつがるに背を向け聞く。
「つがる・・・どうにかしたいんだろう?」
「・・・っしてぇー」
「だったら、ウジウジ考えるなぉ!僕が力になるっ」
「光・・・!」
住宅街、明信の家に向かう光とつがる。その家に着くなり明信と悠真の2人が、一軒家の家から外に出てきた。
それを見たつがるが、2人に駆け寄ろうとすると光がつがるの腕を掴み止める。
「待て!」
「どーしてだよ。出どころを聞くんだろう?」
「いま行って聞いたところで、アイツらが素直に言うと思うか?」
光の言った事に、もっともだとつがるは思い言葉に詰まる。
「それは・・・」
光が、明信たちの後を追うように歩き出し、それにつがるが付いていく。
「アイツらを追って、そいつの事らまで連れていってもらう」
「えっ、ちょっちょっと待てよぉ」
そして明信と悠真の跡をつけていくと、人通りの多いい街中にあるビルの中に入っていた。
ーー僕が、1人なら今すぐでも中に入って行ける。だが・・・。
光は、隣にいるつがるを見て危ない目には合わせられないと思い、その場を後にした。
「ええっ!いっ行かないのか?」
「うん。もう場所はわかったしね・・・」
つがるは、帰ろうとする光に裏切られたと思い、いきどうる。
「・・・っだよ。力を貸してくれんじゃーなかったのかよ!」
「あぁ、だけど今はムリ・・・人が多すぎる。今夜にでも、またぁ来てみるよ」
□ビルの中。
2階のテナントビルの部屋の中は、以前誰かが使っていたようで、デスクやソファーがゴチャゴチャと乱雑に散らばり、そのまま残っていた。
明信と悠真だけが、部屋の中にいた。
そしてソファーに座って明信が携帯を触り、悠真は千円札の束をニタニタしながら数えている。
「ただで貰ったもんが、こんなにも儲ーかるなんてなぁー」
「ああ、売った分の金は全部、オレらの金にしていいって言ってたし」
隅っこの壁に、大量のダンボールが積まれている。
「これ、全部売ったら俺らの金になる」
ソファーで、携帯を触っているとメールが届き、画面をみながらニヒっと笑う
「おー、またぁオッソ《これ》が、欲しいってゆー客からのメールだぁ」
「マジー、俺らって商売の素質あるんじゃねぇー!」
「アハハハ、マジ言えてるー」
夕暮れどきの街中、駅前に色々なお店が建ち並び人混みの多い中で、急に周りの人がザワつきソコソコと話している。
「ねぇ・・・あの人」
明信と悠真が、歩いていると背後から男子に声をかけられ。
「なぁ・・・君た・・・ちっ」
明信と悠真が、振り返りその男を見た瞬間、一瞬心臓が止まりそうなぐらい驚いた。
顔がこけ体は、骨と皮っでガリガリにやせ細り、目は虚ろで白眼を剥きヨロヨロともた付きながら歩き、明信と悠真に男子が近寄って来た。
「うわぁ・・・」
「なっ何だよっコイツ・・・」
そして自分たちと同じ学校の制服を、着ている男子を見てハッと思い出す。
あの時、学校で売った男子生徒だと思い出し、あまりの変わり果てた姿にゾッとした。
「なぁーまたぁ・・・アレ・・・くれ・・・よぉ」
悠真の腕を、男子の皮膚から骨が浮き出た手で掴む。
「おぉいい・・・さわんなぁ・・・気持ち悪りぃ」
腕を掴まれた悠真は、手を振り払ったその瞬間、その男子が2人の目の前で倒れ男子は白目を剥き死んでいた。
近くを、歩いていた女子高生が倒れている男子生徒の顔を見て、あまりにもキモチが悪く悲鳴を上げると、周りの人々がそれに気づきザワザワと騒ぎ出す。
「きゃぁぁぁぁ」
「おぃっ、人が倒れてるぞぉ」
「誰かぁ、救急車を呼べぇ・・・」
「あと・・・警察もぉ」
明信と悠真は、その騒ぎに戸惑い自分たちが疑われる事に怖くなって、その場から走って逃げだした。
「・・・最悪、あれっ絶対、俺らがやったって思われたあ」
「あのガキ・・・大丈夫だってぇ言ったくせに・・・全然大丈夫じゃぁーねー」
KARAS 高田橋 薫 (こうだばし) @mamas
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