相模くんはロールキャベツ男子

@lurzxxx0304

唇から始まる恋-1-

初めての彼氏、初めてのデート、初めてのキス。


何もかもが初めてだった私は、幸せの絶頂にいる筈だった。


彼の浮気現場を見るまでは。



―――――

―――



私、篠崎結里は一ヶ月前に彼氏と別れました。


放課後、帰宅部の私は特に学校に用事が無かったので一人、自宅を目指していた。


明日の小テスト嫌だな、そうぼんやり考えていると、後ろから名前を呼ばれる。


その声に振り向くと、元彼だった常村海斗(つねむらかいと)が立っていた。


彼は一つ上の先輩で、高校三年。


顔は割とイケメンの部類に入っており、同い年に限らず、年下にも結構モテるらしい。


人気者で格好いい彼に告白された時は、まさに天にも昇る気持ちだったのに。



「何ですか、先輩」


「どうしたんだよ、前は海斗って呼んでくれただろ」


「で、用件は」



淡々と話す私に、海斗は苦笑いを零す。


そして徐に私の腰に腕を回し、あろう事か抱き締めてきた。



「離してっ!!」



どん、と思わず海斗を突き飛ばす。


よろけた彼は体制を立て直し、私の方へ近付いてくる。


少しでも早く、この場を離れたかった。


その一心で海斗を睨み付ける。

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