子猫の幽霊

@makuai

第1話

以前、公園に捨てられた子猫を三匹引き取ったことがある。

一か月くらいの子猫達で、とりあえず育てながらの里親募集をした。

鯖猫、焦げパン猫、黒猫と毛色も性格もまったく違っていた。

一番かわいい鯖猫は、警戒心が強くて人間嫌い、焦げパンはなつっこくて一番にもらわれて行った。

そして黒猫、男の子で元気いっぱいで大人猫を追い回し、家の中から庭まで走り回っていた。暴れまわった後は必ず、嬉しそうに私のそばに来た。

もらい手が中々見つからず、この二匹は家の子になるのかなと思っていたある夜、クロチビがすごい鳴き声をあげながら帰ってきた。

目を離したすきに、道路に出て車にはねられたみたいで、てがつけられず、次の日の朝いちばんで病院に駆け込んだが、先生も痛み止めを処方するしかなかった。

連れて帰っても痛み止めは効かず、最後には神さまに必死で祈った。

もう充分です!どうか連れて行ってください!楽にしてあげてください!

あんなに生きているのを、楽しんでいたのに苦しませて死なせてしまった。


自分のせいであるのは間違いない。

完全室内飼いが、家では無理なのだから、遊び盛りの子猫を飼うには、リスクがありすぎる。

で、自滅的になり落ち込み、ペットロスに足を突っ込んだ。

泣きすぎて目を腫らし、まったく思考能力がなくボーッとしていた夜、コトコトと階段を降りてくる足音がしたので、ドアを少し開けてあげたが入ってこない。

よく考えたら、猫たちはみんな私と部屋にいた。

その時は気のせいかなと思っていたが、何度も階段を下りてくる足音がする。

それも子猫の軽い足音だった、もしかしてクロチビは自分が死んでるの分かってない⁈

私には足音しか気づかないが、どうも猫たちは分かっているようだ。

急にシッポを振り回すのは、チビクロがちょっかいかけているのだろう。

普段、走らないじいちゃん猫が庭中走り回っているのは、チビクロと追っかけっこをしてあげている?

子猫の幽霊だ‼︎

せめてシッポの先でもいいから見せてくれー!

呼んだら返事してよー!


よほど遊び足りなかったのだろう。

それでも一週間もすると、足音も間遠くなり、やがて聞こえなくなった。

やっと満足してあっち側に帰ったらしい。

おかげで私はペットロスから復帰した。

もう二度とペットロスにはならない、これで腑に落ちた、魂があるのなら、また逢える。


きっと私も生まれ変わっているのだから、猫や犬たちも生まれ変わって私の所にやって来る。

長く一緒に入れる子もいれば、短い子もいる。私と縁があるから、きっとまた逢える。

見送った仔には必ずいう言葉がある。

楽しかったね、遊んでくれてありがとう。


また逢おうね!

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