犬の夢

黒弐 仁

犬の夢

私(黒弍仁)の父が子供の頃に体験した話だそうです。

父の家は当時、一匹の犬を飼っていました(名前、種類は失念してしまいました。すみません)。父が物心着いた辺りから既におり、家族全員でとても可愛がっていました。

父が10歳になった辺りにその犬は死にました(死因は恐らく老衰だと思います)。長い間飼っていたこともあり、家族同然のような存在であったため、全員がそれはとても悲しんだそうです。

そして庭に犬の墓を作り供養をすることになったのですが、この時犬を紙袋に入れてから土へと埋めたそうです(理由は確か体に土がつかないようにするためだったかと思います)。

その日の夜、父はある夢を見ました。

その夢の中で父は玄関にいました。扉は半分ほど開いています。そして父の隣には亡くなった犬がいました。犬は父の膝辺りを二、三回ほど舐めると開いている扉から外へと出て行きました。夢はそこで終わったそうです。

たったこれだけの夢なのですが、父は犬が死んだ日から毎日同じものを見るようになったそうです。

父は不思議に思い、この事を家族に話しました。

すると、驚くことに父の父(私の祖父)、父の母(私の祖母)、父の二人の姉と妹(私の叔母たち)もやはり全く同じ夢を見るようになっていたそうです。


家族全員がとても偶然とは思えないと感じたそうです。そして話し合った結果、犬を袋に入れたことが原因ではないかという結論に至りました。

早速、父達は墓を掘り起こし、犬を紙袋から取り出し、改めて土へと埋め墓を作ったそうです。



その日以降、例の犬の夢を見ることは無くなったそうです。



動物愛護が騒がれている昨今ですが、私達が動物のために行っていることが、果たして本当にその動物にとって正しいことなのか。動物とコミュニケーションをとることができない私達は今一度、改めて考えてみることが大切なことなのではないのかと、私はこの話をふと思い出すたびに強く感じるのです。

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犬の夢 黒弐 仁 @Clonidine

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