第33話
第33話 チーム分け模擬戦
「おらあ!」
ドゴォッ!
愛羅が人型の化け物を地面に叩きつける。
「…こんなもんか。全く張り合いのない…」
「お疲れ様でした…雅信くん大丈夫ですか〜?」
「大丈夫ですよ〜」
少し離れた場所にいた雅信に霧子が声をかける。
「…お二人と行くと安心感が違いますね。早く終わりますし…」
「私もあいつも部活入ってねえから暇なのはわかるけどよ、日にち分けるとかできねえのか?取り分減っちまうよ」
「それは…ちょうど考えてたんです。グループに分けようかな、と」
「ふむ、なんでですか?」
「正直なところをいうと…単純な力だけで言えばお二人と他のみんなとの間にはかなりの差があります。事前に相手の力量が分かっていればいいんですが…そうじゃない不測の場合は…」
「私たちが必ずついていれば少しは安心…ですかね」
「その方が私的にもありがてえや、かと言って他のメンバーはどう分けるんだ?」
「そう…ですねえ…」
「もし4人1チームとかにするなら、もう1人強い人がいると安心ですし…ねえ」
「模擬戦なんてどうだ?シミュレーションルームで」
「模擬戦…いい考えかもしれません!早速考えて見ます。お先に神社に戻ります。お2人も気をつけて!」
「は〜い…あなたはそれには出ちゃダメですよ」
「あ!?なんでだよ」
「別に力量測る意味ないでしょ…」
「嫌だね、絶対に出る」
「全く…」
模擬戦がチーム戦になるにせよ、個人戦になるにせよ、この女の相手に同情せざるを得ない雅信だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はい!これが今月のお給料です!お疲れ様でした、来月もお願いします!」
「すっかり忘れてた」
「ほんとにもらえるんだな!」
「よく考えたらこれバイトですもんね」
「ありがた〜い」
「あれ、俺少ない…?あ俺仕事ほとんど出てねえわ」
「私これもらっちゃっていいのかしら?」
「保健室の先生も大事な仕事ですよ」
「これで本が買える〜」
「なにに使おうか…」
「久しぶりにゲームでも買うか…」
「そう言えば士郎くんは結構遊ぶ人なんでしたね」
このために集められた11人のアルバイターがやいのやいのとそれぞれの反応を示す。
「まあ、無駄遣いはしないように。あともう1つ。連絡があります。今日集まってもらったのはそのためでもあります」
「連絡?」
奈美が聞き返す。
「ええ…今週の土曜日に、特に仕事が入らない限り、この神社でチーム分けの模擬戦を行います!」
「えええ!?」「チーム分け?」「模擬戦?」「な、なんで?」
「す、すみません!説明しますね!この先どんな強い敵が出てくるかわからない中で単独行動は大変危険です。…例えば、強い相手でも愛羅さんや雅信くんがいれば安心ですが…私では心配な部分があります」
真春が疑り深く雅信を睨む。
「それに、遠くの敵と戦うのが得意な人がたまたま同じ日にお仕事になった場合に、相手が接近戦を得意としていたら少し困るかもしれませんし…」
「弱点を補うようにパーティを組むってわけか…」
「今回は神憑変化を行なった状態で1対1の模擬戦を行なってもらいます」
「ち、ちょっと待ってよ!私戦闘要員じゃないんですけど!」
「ええ、ですから模擬戦で怪我人が出た場合の手当をお願いします」
「怪我人って…そこまで本気で行うの?」
「いえ、トレーニングルームに術をかけて全力の半分以下ぐらいまでしか力を発揮できないようにします」
「あくまで戦闘スタイルとか、体術とかを見るわけね」
「ええ、勝敗はどちらかが負けを宣言した場合、またこちらから見て力量が判断できたら終わりを宣言します。無理はしないでくださいね。ジャッジとして私も参加は控えます。…というわけでイレズマ様!」
「はぁ〜い!久しぶりの出番と聞いて張り切っちゃうよ。私も審判として参加はするが、その前に、この私が『選んだ』対戦の組み合わせを発表するよお!」
全員に緊張が走る。
「第1模擬戦!奈美ちゃん対伊有ちゃん!
第2模擬戦!一郎太くん対彩香ちゃん!
第3模擬戦!陽太くん対士郎くん!
第4模擬戦!柊くん対健くん!
エキシビションマッチ!
愛羅ちゃん対雅信くん!
以上の5試合となっております!」
「…おかしいでしょおおおおおお!?」
雅信の悲鳴が響き渡った。
アルバイターズ 野方送理 @rk927
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