エピローグ

「またご一緒出来るんですよね……先輩たちとまた、同じクエストで戦えるんですよね!」

「そうだよ、新人ちゃん。アタシもビックリしたよもー! 次も頑張ろうね!」

「ただ、二人とも、次のクエストまでにはまだ時間があるから、しっかり別のクエストもこなして、腕を磨いておくのよ。但し、このクエストやダンジョンの特性、戦い方は忘れない事。いいわね?」

「「はい!」」

「それと、次のクエストで、また山さんの能力上昇作用バフが貰えるとは限らないからね。その事も、しっかりと頭に入れておく様に」

「へへ」

「ふふふ!」

「な、何?」

「それなら大丈夫ですよ、先輩! アタシ達、先輩からも沢山、能力上昇作用バフ、貰ってますもん!」

「わたしも!」

「上昇値で言ったら、今までの蓄積分からすると、山さんよりもずっと多いですよー」

「すごいですよね、しかも、ずっと切れないんです。永続能力上昇作用バフですよ!」

「あなた達……」

「もちろん、山さんからの能力上昇作用バフも、思い出というか、忘れられない能力上昇作用バフですけど!」

「はい、わたし、思い出すだけでまた泣いてしまいそうです……」

「そうなの、思い出すと力が湧いてきて。でも、先輩からのは違うんです。ずっと、常に一緒っていうか、アタシの根本に作用し続けてるっていうか……」

「あ、わたしもそれ、そんな感じなんです! 先輩達が居なかったら、わたし、もっともっとずっと弱くて、戦えるかも怪しい状態だったんだろうな、って……うう」

「しっかりしなって! 新人ちゃん、すごい成長してるからさ! 次も安心して背中を任せられるって、本心でそう思えるんだ」

「中堅先輩……!」

「よしよし。って、あれ、ベテラン先輩、何でずっと黙ってるんですか?」

「…………!」

「先輩?」「先輩……?」

「(私だって、私だってね! あなた達からいっぱい、いーーっぱい、能力上昇作用バフを貰ってるわよ! 言葉にするとこの場で泣き崩れてしまいそうだから言えないけれども!)」

「だ、大丈夫ですか? 先輩」

「……飯だ。飯に行くぞ」

「「え?」」

「私の驕りよ。後輩は黙って先輩の飯に付き合う。いいわね?」

「喜んで!」「ごちそうさまです!」

「それじゃあ、そうね、肉ね、やっぱり」

「肉?」

「いいんですか?! やったぞ新人ちゃん、肉だー!」

「まあ、クエストで報酬も入ったしね」

「肉……(ゴクリ)」

「新人ちゃん、目がマジだな。ところでさ、には、アタシ達、ちゃんと伝えられたのかな」

って、さっきまで居た子ですよね?」

「そうそう、あの〝憧れ〟の子。まだ声優じゃない、あの子」

「なんだか、ずっとキラキラしていて、綺麗でしたね。光と声だけで、どんな子なのかは分かりませんでしたけど」

「大丈夫よ。私たちは、手を抜かずに全力で戦って、それをあの子に見せる事が出来たんだから。その証拠に、あの子はもう、ここには居ないでしょ? きっと今頃、〝憧れ〟からその先へ踏み出している筈よ」

「また、会えますかねー」

「もし会えたら、わたし、先輩になるんですね!」

「そういえばさ、あの子、男の子なんですかね? それともボクっ娘?」

「さあ、どうでしょうね。案外、女性なのに『女性向けダンジョン』へ潜る〝少年属性〟なのかも。私の同期にも、何人か居るけど」

「はー……ベテラン先輩や中堅先輩にも憧れますけど、わたし、あの方々もカッコよくて大好きです……」

「ふふ、そうね。さあ、あの子はどんな擬人化をされるのかしら。楽しみね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

声優擬人化 ~VAクエスト~ 夢遊貞丈 @giougio

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ