この作品、『児童向け』というタグがついていて、カクヨム読者には手に取られにくいみたい。
『児童向けの物語なんて、子供が読むモノでしょ?』
確かにその通り。でも、本当に優れた作品は読み手を選ばないんじゃないかな?
本作は、児童向けではありますが、子供騙しではありません。
『悪夢祓い退夢師』とそのお友達の少年少女が夢の中で活躍するお話です。
一見、荒唐無稽に見えますが、作中では夢に対する深い造詣が示されていて、
『へえ〜、そうなんだ〜☆』
と、感心することと思います。
登場人物たちも個性的で裏表がありつつも、みんな良い子で♡ あっ、この『良い子』は、『大人にとって都合が良い子』のことではありませんよ?
子供向けの単純な話かと思って読み始めたのですが、なかなかどうして複雑怪奇。
私の予測は頻繁に外されてしまいました。ちくしょう! 良い意味で裏切られたっ!
このような面白い作品を、子供だけしか読まないのはもったいない!
騙されたと思って読んでみて。
「どうせ子供向きなんでしょ?」
「ほぉ〜、ちょっとは面白いかな?」
「ちょっと、ダーク! 女の子放って逃げんな〜っ!」
「うわっ、これなんか、やばいんじゃね?」
「最後はこのオチかよっ! 妹ちゃんはどうなった〜っ! レインボーの正体は誰だ〜っ!」
優れた児童文学は、実は万人向けの最高のエンターテイメントなのです。
あなたも良い風に騙されること請け合いです🌟 さあ、今からさっそく騙されなさい♪
主人公が、ひょんなことから悪夢祓い倶楽部のメンバーとなり、夢の世界で奮闘する物語です。
まだはっきりと解明されていないところの多い「夢」というテーマには、たくさんの可能性があると感じています。誰でも触れたことのある異世界というか、未知の領域というか……身近なファンタジー世界と言い換えてもいいのではないでしょうか。
本作は、紅子という魅力的な少女を中心に、その夢の世界に戦隊もののエッセンスを加えた個性的な作品です。夢を「プログラム」、悪夢を「バグ」と捉えているのは新鮮でした。
タイマーズのメンバー一人一人もよく練り込まれ、とてもキャラが立っています。
個人的には、主人公君のキレのいいツッコミが好きでした。