第7話

「どう思う?この町」

「どうもこうも、普通だと思うね。」

「普通って、どの辺が?」

「ん~普通の定義って、あいまいだな。例えば、人が人?に挨拶を交わす。例えば昨日の受付のお姉さんの頭に猫耳が生えていようとみんな気にしない。普通だろ?」

「そういう普通じゃないわ。なんというか、殺気?のようなものが多い気がするの」

「ふ~ん」

言われて、見ればだが、帯刀したり、しているのはこの世界では普通のことだと思っていたが、よく見ればそれぞれの服装に違和感があった。

防具だ。

ローズマローは言った。この世界の物体には、魔法がかけられる、と。

いわば、付与魔法というものだ。

どんなものにも魔法は付与できるが、効果を最大限引き上げるものは素材やら、付与師によってまちまちである。しかし、総じて、鉱石や金属への付与は効果の高いものが多い。


「そうか。胸当てやら首飾り、腕輪。どれも防御力という面では、高いな。何からそんなに身を守っている?」

「そこね。きっとこの町には大きな謎があるわね。」


今は、大樹ユーシェル滞在から、三日目の朝だ。

ここは、西の壁の町「ドーンフォレスト」

宿はクロイドという全世界規模のハンター協会組合の一つ。

一階は石造り、二階と三階は木造建てだ。そんな宿の三階の角部屋から、下界を見る位置で、小さなまるテーブルの対面に座り、食後の苦い飲み物を飲んでいる。


「ずいぶんと楽しそうじゃないか」

「そうね。たのしいわ。謎はいつでも私の楽しみなの」

「なんというか、探偵症候群だな。」

「気質よ。気質。病気みたいに言わないで」

「さいですか」


雨は、一向に止むような気配はない。

ただ、空高く雲の向こうには、水分を多く含むような青々とした葉が、風にもなびいている様子もなく静かに、日の光を隙間からこぼすのみだ。

不思議とこの町の雨雲は、、天気雨のように明るい。

言い方を変えれば、不気味さというのだろうか。

ほどなくして、やむんじゃないかという期待をもうどれだけの時間持ち続けたことだろうか。


「いま、雨のことを考えてる。。あたり?」

「あたり。」

「そっか。」

「そうだよ。」

「いつ、目的を達成しに行くのかしら。。。」

他人事のようだ。

まあ、他人なんだけど、それでも魂はつながっている。

そんな、契約を確かに結んだ。

それでも、わかるのは、人が人の近くにいて、感じるような些細な変化だけという。もどかしいものであるから、他人だとわかるのだ。


「勇者ってさ、この世界には存在するのか?」

「そうね、確かなことは言えないけれど、魔王がいる時代には勇者がいる。勇者がいる世界には魔王がいる。どうしてこうなのか私は知らないけれど、私を含めて誰もかれも疑問に思う人などいないんじゃないかしら?」

「ふむ」

目の前の少女との会話に深い意味など毛頭ない考えるだけ無駄になるだろうだけど、それだけじゃと思う。

契約、防具、殺気、勇者、魔王、神、

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続かない @mizuhoriann

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