紙飛行機よ、どうか飛んでいかないで・・・ 第一話後編(Remake)
@hamingja
第1話 後半 新たな出会い
そんな事を話していると、僕の病室の扉がまたコンコンとなった。
僕はまた「どうぞ。」と言うと、勢いよく扉が開かれ、先ほど別れたはずの綾菜ちゃんがトテトテとこっちに走ってきた。
「ねぇ〜かえでおにいちゃん。
いま、おとうさんとおかあさんがきてて、かえでおに〜ちゃんのはなしをしてたら、かえでおに〜ちゃんにあいたいっていわれたの。
だから、いっしょにきて?
ところでこのおねえちゃんはだれ?」
「あぁ、綾菜ちゃん、一人でここまで来たんだ。偉いね〜。
もちろん良いよ。今から行くからちょっと待っててね。
あと、このお姉ちゃんは、尾波理恵ちゃん。今日お友達になった人だよ。」
{はじめまして、綾菜ちゃん。
高城くんのお友達の尾波理恵です。
よかったら、私ともお友達になってくれませんか?}
「うん、いいよ。
じゃあ、りえちゃんだね。
りえちゃんも、いっしょにおとうさんとおかあさんにあってくれる?
」
{ごめんね。
私これからリハビリの時間が始まるから今日は会えないの・・・
また、今度紹介してくれるかな?}
少ししょんぼりとした顔をしながら、
「うん、わかった。
じゃあかえでおに〜ちゃん、いこ?」
「おう、分かった。
じゃあ、尾波さん。また、今度の話し合いの日でまた会おうね。」
そう言うと、彼女は手を振り、笑った顔で{じゃあね}という文字を見せ、彼女は車椅子を漕ぎながら僕の病室を去っていった。
そうして尾波さんと別れた跡、僕は綾菜ちゃんの両親にこれから会いに行くため、彼女についていきながら、僕の病室を出ていった。
「いつも綾菜がお世話になっております。綾菜の母の本江智子(もとえ ともこ)と申します。あちらは主人の本江カルマ(もとえ かるま)と申します。」
そう律儀に話された後、母親のほうが僕に頭を下げてきた。
「この度は、私の娘の綾菜に笑顔を取り戻していただいて本当にありがとうございます。」
と深々と頭を下げ、涙を流しながら言われた。
「い、いえ、そんなに頭を下げられなくても・・・
私も彼女の笑顔でとても元気づけられているので、とても助かってますよ。」
「そう言ってくださると私共も助かります・・・
ところで絵がとてもおきれいなのですが、なにかやって見えるのですか?」
お絵かき帳を僕に見せながら、聞いてきた。
「いえ、別に特別にやっているわけではありませんよ。暇な時によく書くぐらいなので、喜んでいただけたなら幸いです。」
世間話をしながら智子さんと会話をしていると綾菜ちゃんがこっちに向かってトテトテと走ってきた。
「ねぇ、おかあさん。
わたしもかえでおに〜ちゃんとおはなしたい!」
「あらあら、とってもこのお兄ちゃんになついているわね。
少し妬けちゃうわ。
このお兄ちゃんのことが大好きなのね。」
すると、彼女はとてもいい笑顔になった。
「うん!
しょうらい、かえでおに〜ちゃんのおよめさんになりたい!!」
こんなことを言われ、僕は焦った。
「ちょっと、綾菜ちゃん!?
そんなこと今はじめて言われたんだけど!?」
「あらあら、私もこんな男の人なら安心して綾菜を任せられるわ。
ちょっと貴方、綾菜がこの楓さんのお嫁さんになりたいんですって。」
「なんだと!!
娘は渡さん!!たとえ誰が相手でもなっ!!」
「もう、貴方ったらいつまで親バカなんですか。いくら娘が可愛いからって言って・・と こ ろで、この前みたいに会社で娘の可愛さを猛アピールしてないですよね?」
智子さんは、ピリッとした表情でそんな事を行った。
「・・・・・・し、してないぞ。」
と、ギクッとしたように背中を揺らし耳は真っ赤になっていた。
「もう!!貴方ったらまたそんなことをしたんですか。そんなことをしていると娘に嫌われますよ。」
「おとうさん、
わたしがかえでおに〜ちゃんのおよめさんになるのだめだっていうの?
・・・・そんなことをいうおとうさんなんかだいっきらい!!」
「なん・・・・だと。
智子〜〜〜娘に嫌われちゃったよ〜〜〜〜〜。」
と、泣きながら智子さんのところに向かっていくカルマさんはとても無邪気な子供のようで、この二人は本当に好き会って付き合って、そして綾菜ちゃんをここまで育てたんだろうと思い、胸が暖かく、そして羨ましいと思っていた・・
「さて、楓くん。
私達はもう帰ってしまうが、くれぐれも娘の綾菜には手を出さないようにな!!」
また、そんなことを言われ僕は思わず笑ってしまいそうになった中、「わかりました。娘さんには手を出さないようにします。」と笑いながら言った。
智子さんは、あらあらとニコニコと笑い、綾菜ちゃんは「かえでおに〜ちゃんのおよめさんになるの!!」と言って聞かなかった。
「それと少し話したいことがあるからちょっと来てもらえるか。」
そんなことを言われ、僕はカルマさんのところに行った。
「娘を元気にしてくれてありがとうな。
私達もあの子を笑わせるように頑張ったが、なかなか元気になってくれなくてね・・・・
・・・・・ところで君は娘の病態のことはどのくらい知っているんだ?」
真面目な口調になり僕は先程まで笑っていた顔を真剣に向き合うような顔にした。
「いえ、あまり知らないです。ただ、あなた方が2年前に娘さんの病室の前で泣き崩れていたのを見ました。
どこか、悪いところがあるのですか?」
「そうか、あの時のことを見ていたのか。あんなお見苦しいところを見せてしまい済まない・・・・・
病気のことは少しでも娘に知らせないようにしたいから、今までどおりに接してやってくれ。」
こんなことを頼まれ、僕は「・・・はい。」としか言えなかった。
そうして綾菜ちゃんの家族は帰っていった。
僕は、隣で泣きそうになっている綾菜ちゃんの頭をなでながら、
「あ〜、なんか急に絵が描きたくなってきたな〜〜。
どこかに絵を描いて欲しいと思っている子はいないかな?」
とわざとらしく大声で言った。
「かえでおに〜ちゃん、それほんと?
じゃあね、じゃあね、ぞうさんときりんさんと・・・・・」
彼女はそれからも何個も絵の依頼をしてきて、合計20枚近く絵の依頼が入り、若干僕は顔をひきつらせていたが、彼女が笑ってくれるならこんな趣味を持っていてよかった。と心の中で深く頷きながら思った。
紙飛行機よ、どうか飛んでいかないで・・・ 第一話後編(Remake) @hamingja
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