応援コメント

静まり返った部屋」への応援コメント

  •  前回にも今回にも「応援」を押しましたが、前回の話よりも、今回の話の方がはるかに好きです。

     以下は完全に私個人の特殊な意見になってしまうと思うので、本当は胸に秘めておこうかとも思いましたし、書くとしても最終話で書くつもりだったのですが、ちょうど「前回の話よりも、今回の話の方がはるかに好き」の補足説明になるので、思い切って、ここで書くことにしました。


     ここまで読んできて、私は平賀側の設定・背景よりも樺冴側の設定・背景の方が好きです。読んでいてワクワクするし、純粋に楽しいです。
     もちろん、両者が混じり合っているのが、この作品の最大のセールスポイントだと思うのですが、それでもなお、その『両者』に、面白さの差を感じてしまうのです。平賀側の話を読んでいると、たまに「漫画っぽい、安っぽい殺し屋設定が、重厚な雰囲気の作品の中で浮いてしまって、ハナにつく」とさえ感じることがあるのですが……。いや『漫画っぽい』で言うならば、今回書かれているような樺冴側の狗神の設定の方が、はるかに漫画っぽいファンタジー設定のはずですよね。それでも、そこには違和感・浮いた感じは、個人的には思わない。むしろ作品の世界観にストンとはまっているように感じてしまう。
     これは、作品全体が「樺冴側の雰囲気」に合うように(少し偏って)書かれているからなのか、あるいは、作品全体はきちんと均等に出来ているのに、私個人が正しく作品を読み取れておらず、読者として偏ってしまっているのか。
     おそらく後者なのだとは思うのですが、この意見を見た作者様が「こんなことを言ってきて人は初めてだ」ではなく、もしも少しでも「そういえば」と思い当たる部分があるのであれば、この作品の改善点になりうるのではないか、と思ったので敢えて書かせていただきました。


    (少し紛らわしいですが、下のかたの感想とも、また少し違います。主人公のキャラクター性の違和感ではなく、あくまでも、平賀家の設定・背景を詳述している部分の話です。主人公そのものは、「それなりの背景がある主人公の言動」として、私は最初から「上手く描かれている」と感じています)


     一読者が『改善点』などと言い出すのは大きなお節介なのでしょうが……。そもそも私は『【途中敗退者たちの集い】今は一次選考が精一杯【ただし読者選考のあるコンテストを除く】』企画から読みにきており、企画内容の中には『「それより先に進むためには足りなかったもの」が見えてくると思うので』とも書いています。
     その意味で、実は、ここまで読んできて、ずっと大きな疑問として感じることがありました。

    「この作品、なぜ二次選考を通過していないのだろう?」

     まだ企画参加作品を全部読んだわけではない(それどころか未読の方がはるかに多い)のですが、自分自身も(コンテスト自体は全く別物ですが)「一次選考通過・二次選考落選」作品を持っているだけに、頭の中で「一次選考通過・二次選考落選レベルというのは、この程度なのだろう」と想像しているラインがありました。
     ところが、この作品。少なくともここまで読んできた感じでは、文章も構成も物語展開も、純粋に「読んでいて楽しい」という部分でも、その「私が思っていた二次選考落選レベル」よりも、明らかに何段階も上なのですよ!
     だからこそ余計に「何かしら問題点があるはずだ」と気になるのでした。

     上述の「平賀・樺冴の二つの物語の混在が、セールスポイントであるはずなのに、微妙に均等になっていない。差がついてしまっている」というのが、もしも私の勝手な読み取り方でないならば、一つの答えになり得るのかな、と思ったのでした。
     ちなみに、ちょうど最近「カクヨムコン歴代応募作品講評会」の中で、この作品が取り上げられていましたね。私も読みましたし、最初に読んだ時は「へえ、そういう見方もあるのか。やはりプロの感想って、私のような素人とは全く違うのだなあ」と思ったのですが。
     今あらためて見てみると、最後のこの部分。

    >現代日本にこだわらず、時代を大正や明治に設定して時代性やロマン観を足したり、日本に似た異世界にしたりして世界観の独自性や新規性を意識してみてください。

     確かに、少し時代を昔にしたり、微妙に異世界にしたりしたら、私が個人的に感じていた「平賀側の話の漫画っぽさ・安っぽさ」は薄まると思います。少し昔の話なら、こういう殺し屋っぽい話もスーッと物語に溶け込んで、納得できる気がするので。とはいえ『異世界』にまでしてしまうと、それはそれで、この作品の持ち味(現代ファンタジーの伝奇ロマンだからこそ)を殺してしまうような気もするのですが。


     以上、長々と勝手な意見、失礼いたしました。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    まず長々と、とおっしゃいますが、私は作品と向き合ってくださる方のご意見はどれだけ長くても嬉しいですし、酷評でもそれはそれで嬉しいです。趣味で何十万字と小説を書くような人間なので、長いとも感じません。お心遣いありがとうございます。

    頂いたご意見ごもっともであります。私も正直に話しますと、書いている時は深月側の物語のほうが楽しく書けました。

    それは、もともと「カミツキ姫の御仕事」は樺冴家の事情の設定から始まった物語だからでもあります。樺冴の話を引き出す役割として真信を配置しました。最初の設定だと真信は一般人だったんです。一般人では樺冴家の闇に耐えられないので、彼の家の設定が生まれた次第です。後付なので浮いてしまうのも必然かもしれません。

    また、深月が呪術要素を強く反映するので、真信は徹底的に科学側を受け持たせています。しかし世界観は樺冴家の雰囲気(呪術)寄り。相容れない要素の提示としてなら成功かもしれませんが、全体の統一感を鑑みれば、小説の設定からして失敗と言えるでしょう。
    今作に続く「カミツキ姫の因果律」ではそこを逆手に取ってストーリーを作りましたが、「御仕事」単体で見ればやはり、ご指摘の通り違和感を与えてしまう造りになってしまっていて、反省しております。

    平賀側の話が安っぽく漫画的なのは、樺冴の話が混み合っているので、こっちはシンプルにしようかと考え過ぎた結果の失敗例と思われます。読者が軽く受け入れやすいよう典型的、類似的な価値観でまとめたために、そう感じられたのかもしれません。

    ご意見頂き、自作の欠点を改めて意識し言語化することができました。本当にありがとうございます。


    以下は参考までにお伝えします。

    今作が一次を通過したコンテストは「第5回角川文庫キャラクター小説大賞」です。
    あそこは例年、二次通過作が4作程度で、そこから2、3作が受賞しているようです。推測に過ぎませんが、あそこは二次の時点でレーベルカラーにそぐわない、受賞の水準にない作は落とすのかもしれません。(一次通過作と落選作を読み比べたことがありますが、内容自体のレベルはそう変わりませんでした。通過の可否にはキャラクターの個性が重視されると考えられます)
    ですのでたぶん、烏川さんの思う通過水準のほうが正しいはずです。

    しかし企画から来ていらっしゃってたんですね。長編は読まないと明言しているお方がなぜカミツキ姫に……? と思っていたので謎が解けました(笑)


    拙作のためにお時間割いて頂き、心より感謝いたします。
    それと、異世界ものにしたら持ち味が死ぬというのは同感です(笑

    編集済
  • 樺冴、平賀共に、現代人の感覚からすれば異常な家ですね。予想外の展開にグイグイ引き込まれています。
    「読み続けてよかった」と思うと同時に、真信の正体や過去の言動などが、冒頭のイメージとかけ離れすぎていて、ちょっと違和感を覚えてしまいました。
    最初の学校のシーンからちょっとズレた感じを出せば、もっとすんなり入り込めるし、読者も増えるんじゃないかなぁ、と、個人的には思います。

    続き、楽しみにしています!

    作者からの返信

    コメントありがとうございます!

    なるほど、その辺りが違和感に繋がるのですね……。
    書いている側からはその辺り全く予想つかないので、教えていただけると本当にありがたいです。
    そのへんのバランスも考えてみます。

    ご指摘ありがとうございました。