第3話もう一匹の弱虫

相棒と初めて会ったのはまだ私が小さい頃だった。

幼い私は初めて会う人間に怯えていた。

相棒はそんな私に優しく手を差し伸べてきた

「ウ〜〜」

「ほら、大丈夫だよ」

ガブッッ!!

「あ」

私はその手に噛みついた

「あでででで」

相棒は噛まれたまま反対の手で私の頭を撫でた

「お前…俺の相棒になってくれるか?」

相棒の大きな手の温もり、優しい表情、怯えていた私の心をほぐす暖かさ、私はこの人間の相棒になると決めた。

噛みついた手を舐め謝罪の表情を向ける。

「…そうか…はは…これからよろしくな!」

「キャンッ!」

私は(ヤマト)と名付けられ相棒の役に立つための訓練が始まった。…が

「キャウ…」

「おい、どうした早く跳び越えるんだ!」

「キャワン…」

「ほら噛みついて来い!お前の得意技だろ!」

「ウウウ…」

「この重みに耐えられなきゃ活躍できないぞ!」

私は何をやってもダメで教官にも匙を投げられる始末だった。

沈んだ心の中相棒の元へと向かう。

相棒はベッドで横たわっていた。

その横に飛び乗り相棒に甘える

「ん?…あぁヤマトか」

ベッドから起き上がる。

私の悲しそうな顔を見て察したのか私を抱き寄せた。

「ヤマト…お前は本当はここに入るべきじゃなかったかもしれない…でもな」

相棒が私の頭を撫でる

「お前がいてくれるから俺はいままで生き残れたんだ…お前が待ってる、だからまだ死ねない!って何度も勇気づけられたよ、だから今回も生き残れた」

と相棒が右足をさする、そこにあるはずの足が無かった。

私は心配そうに手を舐める

「もう大丈夫だ…大丈夫」

私は決心した、相棒の役に立ちたい!もう相棒が傷つく姿を見たくない!そのためには…


私は厳しい訓練を耐え抜きついに正式に相棒ーバディーになった。

そんな中私達にとある任務が渡された。

”ジャパリパーク内を探索し安全を確保せよ"



ヘリから降り、辺りを見渡す。

一面砂ばかりだが所々木があるのが確認できた。

相棒と私は周囲を警戒しながら進む。

ここは元々大きなテーマパーク"ジャパリパーク”があったがとある事件があり廃園になってしまったらしい。

もしかしたらまだ野生動物がいるかもしれない、もし大型の肉食獣なんかに遭遇したら…

そう考えるだけで震えが止まらない。

ードーンッッ!!!ー

突然大きな音が響く。

見ると山からキラキラとした何かが噴き出していた。

噴火だ!早く逃げないと!

そのキラキラがこっちに向かって降ってきた

あぁ…もうだめだ

キラキラが私に直撃する

「ヤマト!?………ヤ…マ…ト…?」

「あぁ…終わった…もう終わった……ん?」

私は何ともないのに気づき飛び起きた。

「もうなんなのよぅいったい!」

「…ヤマト…なのか?」

「ん?何いってるのさ私に決まってるじゃん……ん?」

やっと自分の姿が変わっているのに気づいた。

「え?えぇぇぇえぇぇぇえ!?」

二足歩行になり、前脚も自由に動かせるヒトの手になっていた。顔もヒトの女の子そのものだ。耳としっぽが唯一動物だった名残として残っていた。

「相棒!私だよ!ヤマトだよ!突然こんなになったけどヤマトなんだよ!」

必死に相棒に自分がヤマトであると伝える。

「………」

相棒が手を口元に出してきた

「……ガブッ!!」

相棒の手に噛みつく

「あだだだだ!この噛み方はヤマトだ!」

どうやら相棒は私がヤマトであることを認めてくれたようだ。

「しかし…なんでヤマトが突然女の子に?」

「私だって知らないよ」


「それはサンドスターの影響よ」

突然空から声が聞こえた。

「だれ?!」

「とう!」

目の前に空から女性が降りてきた。

白い髪に鳥の翼を生やし軍服みたいな格好した美しい女性だ。

「はじめまして!私はハクトウワシ、ようこそジャパリパークへ」

「ハクトウワシ?ハクトウワシってあの鳥だよね?」

「そうよ私はサンドスターを浴びてこの姿になったの!あなたと同じにね」

「サンドスター…」

「あの山から突然噴き出してくるキラキラしたもの…それがサンドスターよ」

「あぁさっき当たったやつですね」

「そのサンドスターによって動物がヒト化した存在…それが私達フレンズなのよ」

「フレンズ…」

「ところであなた達が新しく来たハンターさん達?」

「え?ハンターというか私達はただジャパリパークに行って安全を確保せよって命令されただけなんだけど…」

「パークの安全を守るならハンターってことね!」

「えぇ私達は任務を!?」

「さぁ一緒にレッツジャスティス!!」


ハクトウワシさんと出会いパークについていろんな話を聞いた。

パークを脅かす敵、セルリアンのことも。

私と相棒はパークの安全のためにはセルリアンを排除する必要があるとしてハクトウワシと共にセルリアン駆除を始めたのだ。

「相棒!ハクトウワシがセルリアンを発見!」

「了解、ヤマト誘導を任せた」

「了解!」

「ん?どうした、ヤマト」

「相棒…初めての実戦で怖くて…」

「………」

相棒は私の側に来ると何かを渡した。

「これは相棒の銃!?」

「これで俺とお前はいつでも一緒だ…怖くないだろ?」

相棒が私の頭を撫でる。

「…うん私がんばるよ!」

「それでこそ俺の相棒だ」

私は相棒と共にセルリアンの元へと駆け出して行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


パッカーンッ!!セルリアンが破片を撒き散らし消滅する。

「ふう」

ライガーと名乗った女がこちらに振り向く

「ケガはない?」

「あ…ありがとうございます助けていただいて」

「いいって、困った時はお互い様だよ」

「そんなことよりハクトウワシさんが!」

ハクトウワシはまだ目覚めない。

「それは一大事だ早くメディックボスを探さないと」

ライガーがハクトウワシをおんぶしようとしたその時

「…………はっ!」

ハクトウワシが目覚めた。

「うわぁぁ〜!起きたぁ〜!!」

急に目覚めたハクトウワシにビックリするライガー。

「ハクトウワシさん!良かったぁ」

「ヤマト…君も無事で良かった」

「でも…ハクトウワシさんの翼が…」

ハクトウワシの頭上の翼はボロボロでもう飛べそうな状態ではなかった。

「大丈夫、翼はまた生えてくるよ、それよりも君の相棒も心配だね…戻ってみよう」


私達は任務が終わった事を相棒に伝えるため相棒の元へと向かった。

「相棒!無事セルリアン撃破しました!このライガーさんが助けてくれたんです!…………相棒?」

返事がない。

「相棒〜任務は終わりましたよ〜!出てきてくださ〜い」

やっぱり返事がない。

「相棒〜変な冗談やめてくださいよ」

コツン

何かが足に当たった

「!!!」

相棒の義足だ

「…相棒?相棒!?」

必死に相棒を探す、しかしどこにもいない。

微かに匂う所を探した。

「…これは…」

相棒のドッグタグだ

「…うぅぅうあぁあぁあぁああぁあぁああぁ!!!」

サバンナに悲しみの叫びが響く

相棒との突然過ぎる別れであった。


第3話もう一匹の弱虫~完~





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けものフレンズーAlternativeー01さいきょーの証 パグゥ @borutoD

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