第2話我が名はライガー

「セルリアンはどこにいる?」

「今ハクトウワシが上空で探索中であります!」

ここはジャパリパーク内のサバンナエリア

ジリジリとした暑さの中2人の会話が聞こえた。

「相棒!セルリアン発見の合図であります!」

そう話すのは短髪にピンとたった耳、首には銀色に輝く小さい板のようなものを下げ、身体には硬いものが入った毛皮、手元には黒光りする棒のようなものを持った少女だ。

「分かった作戦どうりにな"ヤマト"!」

ヤマトと言われた少女は俺に敬礼すると走って行った。


「さぁこっちに来いであります!」

ヤマトはセルリアンの目の前に飛び込む。

((・・・・・・?))

セルリアンがヤマトに気づいたのか動き出した。

深い青色の体は平らな石を二つ重ねたような見た目で上には長い棒状の突起物があり脚はなく代わりに無数の丸いものが束ねられたものを両サイドに持っていた。これで移動できるらしい

ギャリギャリギャリギャリ

セルリアンが移動するとけたたましい音が響く。

ヤマトは動かない

いや

「……うぅ」

動けないのだ。いざセルリアンに対峙すると恐怖のあまり足が震える

「…!!」

反射的に持ってる棒のようなものを構える

しかしそんなものセルリアンには通用しない

((・・・・・・))

セルリアンが長い棒状の突起物をヤマトに向けた瞬間

ドガァンッッ!!!

ヤマトのすぐ横の地面が大きく抉れた

衝撃でヤマトは吹き飛ばされる

「うわぁぁ〜!」

地面を転がり木にぶつかり止まる

「うぅぅ…」

土煙で汚れた顔は今に泣きそうになっていた

((・・・・・・))

セルリアンが再びヤマトを狙う

「あ…ぁ…」

セルリアンの攻撃で再び土煙がたつ

((・・・・・・?))

土煙が去るとヤマトの姿が消えていた

「間一髪だった…」

空に浮かぶ人影

白い髪の上に羽を持ち黒い毛皮を纏う美女である。

「ハクトウワシさん!!」

「危なかったわね…ケガはない?」

「大丈夫であります!」

ハクトウワシが間一髪ヤマトを掴み飛んでいたのだ。

「とりあえず一旦引くわよ」

「りっ了解!」

((・・・・・・・・・・・・))

セルリアンが2人をにらみつける

セルリアンの頭らしき部分から何かが出てきた。

それはヤマトが持ってる棒によく似てる形だった。

((・・・・・・))

突然それから無数の丸いものが飛び出した

「!?」

「!!」

飛び出したものがハクトウワシを捉える

「くっ!」

「わわっ!」

ハクトウワシはなんとかかわす…が

「あぁっ!!」

「ハクトウワシさん!?」

セルリアンの攻撃がハクトウワシの羽根にヒットした。

「くっ…うぅぅ」

「うわーーー」

羽根を無くしたハクトウワシはヤマトを抱きしめながら錐揉み落下する。

ドサァッ!!

そのまま地面に叩きつけられる

「ハクトウワシさん!?ハクトウワシさん!!」

ハクトウワシの意識がない

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ…

((・・・・・・))

けたたましい音を響かせながらセルリアンが近づいてくる。

「……うぅぅうわぁぁ!!」

ヤマトはセルリアンの前に立ち塞がる

しかしセルリアンは動きを止めない

((・・・・・・・・・・・・))

セルリアンの足のようなものがヤマトを踏み潰そうとしたその時

ーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁ〜やっぱ日陰でゴロゴロするのさいこ〜」

サバンナの木陰に1人のけものがいた

ショートカットの髪の毛、白と赤の毛皮

猫のようにごろんと寝転がり毛づくろいをしている。

「お腹減ったなぁーそろそろボスがジャパリまんじゅう配る頃だよね」

大きく背伸びをして立ち上がる

「「ジャパリマンジュウダヨジャパリマンジュウダヨ」」

ジャパリまんじゅうが入ったカゴを乗せボスが歩いてくる

青い体に大きな耳、手は無くそのまま足としっぽが生えたヘンテコな動物だ。

「ボス!ジャパリまんじゅう貰うよ」

カゴから一つ取る

ジャパリまんじゅうを頬張る

「ん〜うまい!」

木陰に座りジャパリまんじゅうを堪能する

「ふうごちそうさま」

ジャパリまんじゅうを食べ終えまた寝転がる

その時

ドォオン!!

「ひゃあ!!な…何!?」

轟音に跳び起きる。

「「チュウイ チュウイ ゲンザイサバンナエリアニテセルリアンガシュツゲンシマシタチカクニイルフレンズハタダチニヒナンシテクダサイ」」

さっきのボスが何やら音を鳴らし耳と目を赤く点滅させながら歩いている。

「セルリアンか…ん?」

セルリアンとおもしき物体の前に人影がみえた。

「まさか!?」

けものは走りだした。

その顔はさっきまでのだらけた顔から闘う猛獣の顔に変わっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「…あ…あぁ」

セルリアンの足のようなものが踏み潰そうとしたその時

ガンッ!!

((・・・・・・?))

セルリアンの動きが止まった

足のようなものを回してもまったく動かない

「はぁっはぁっ…間に合った」

肩で息をしながらけものがつぶやく

そのけものは腕でセルリアンの体を持ち上げ

動きを止めていた

信じられなかった

到底1人じゃ止めることも無理なはずなのにこのけものは軽く持ち上げてみせたのだ

「大丈夫か?」

そのけものが私に向けてしゃべりかけて来た

「は…はい私は大丈夫であります!でも…ハクトウワシさんが…」

私のすぐ後ろにハクトウワシさんは横たわせていた、まだ目覚めない。

「とりあえず君はその人を連れて早く避難して!」

そのけものは持ち上げたセルリアンを横倒しにする

((!!))

こうされるとセルリアンは動くことができない

体の裏側にコアがみえた

((!?!?))

セルリアンは体を戻そうと頭を回転させたり足を動かしたりする

ドンッ!ドンッ!

暴れて長い棒を撃ったり小さな棒を連射する

「すごい…1人でセルリアンを圧倒するなんて」

そのけものはオーラを纏った爪をセルリアンのコアに叩きつけ叫んだ

「我が名はライガー!さいきょーネコ科ハイブリッドのライガーだ!!」

バキャア!!

コアが砕かれセルリアンは破片を撒き散らし消滅した


ー第2話我が名はライガー~完~







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