濡れた桜と灰色の空。

私は今、町で一番高い崖の上で彼を待っている。

もう少しで夕焼けになりそうな少し暗い晴天と見つめ合いながら。

彼は私を見つけると走って向かってくる。

走り方で分かるやる気のなく手をブラブラさせた走り方。あんな走り方なのに、スポーツがずば抜けて出来る何て想像もつかない。

「ごめん大橋さん遅れて。」

「大丈夫。」

当たりも夕焼けになりつつある。

「大橋さん突然なんだけど、、」

タイムリミットが近づいてくる。

このまま時間が止まれば、ずっと幸せな時間が続いたら。

桑野くんの口からもう一言目の母音が出る直前に私は言った。

「ごめん。」

どうしてこんな事を言わなくてはいけないのだろう。

大好きな人に。

桑野くんが私の腕を掴んで言う。

「大橋さん好きなんだ。」

断ったじゃないか...なのに、どうして...。

「大橋さん...僕じゃダメ...かな。」




私は桑野くんの腕を強く掴んだ。





「ごめん」









────真っ逆さまに落ちていく────







タイムリミットまであと3秒、2秒、1秒。












目が覚めると朝だった。

起き上がって身支度を整えようと、鏡の前に立つ。

しっかりと整っている着崩れのしていない新品の中学の制服を来て、私は外の空はまるで灰のような色をし、大雨の中で濡れた桜見つめる。

「私は君とまた笑い合えるように、また会えるように、今1から歩き出すんだ。」



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恋のほくろは、明日の空。 破壊ノ紅月 @SAO-kokoro

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