待ってる。
6限目の授業が終わった。
皆一斉に立ち上がり帰りの準備を始める。
私は皆より一層早く立ち上がり後ろのロッカーへと直進した。
挨拶が終わると彼のクラスの前へと一直線に進んだ。
本当の事を言うと友達を待っているだけだが、彼の顔を見に来ているという理由も多少だが無いと言ったら嘘になる。
というよりか、クラスメイトと話したい欲求を抑えて3組から1組まで来ている。彼に会うためだけに。
彼の所属している卓球部は休みのようだ。
私の前を通り過ぎる。どこを見ているのか分からない透き通ったブラウンの目で遠くの何かを見つめている。
彼が私の前で止まった。
「3月16日、町で一番高い崖で待ってる」
そう言い残して去っていった。
相変わらず顔には数え切れないほどのほくろがある。
絵では表せない。美しいと感じる程だ。
そんな事を考えていたら彼は視界から消えていた。
「本当に変な人だ」
一言呟いてから思い出した。
2週間と2日後...。
タイムリミットまで2週間と2日。
まだ、時間はある。
心の整理をしておかないと。
絶対に心が持たない。
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