誰もいない街に、ただ雨だけが降りしきる。彷徨う少年に声を掛けてくれたのは……誰なのか?静かに雨が降り注ぐ街を、しっとりと読ませる小説です。もはや毎月の名物企画となった同題異文! その企画主さまの雰囲気を楽しませる物語です。曇天の雨の降りしきる夜に、良質の一人の世界に浸ってみませんか。
誰もいない街に来てしまった主人公。その主人公を元の街に返してくれるおじさん。掴みどころのない街は、実は…。
私も小さい頃はぐれて1人で知らない街を歩いた。雨も傘もないしこんなおじさん出なかったけど。それに後に高校の通学路の近道のそばだと分かった。飲屋街の昼間の姿で誰もいなくて、洋風の装飾の門とカタカナの看板がいっぱいあって、お寺と墓場があって、三味線だったかの稽古場があって…意外と今でもはっきりと思い出せるのは不思議。