第4話 「こんなものが生えるなんて。」

「これはなんですか?」


世間で虫歯ちゃんが認知され出した頃。虫歯ちゃんは未知と遭遇する。


「なになに? 中途半端なプラークは消化しちゃうよ。」


口の中で共存している透明な存在の神こと唾液様。虫歯ちゃんと仲良しになってしまった。


「美味しそうなチョコキノコですね。」

「は、は、歯からチョコキノコが生えている!?」


なんと歯からチョコキノコが生えていた。虫歯ちゃんが歯に穴を空けるのは見たことがあるが、さすがの唾液様も歯からチョコキノコが生えているのは初めて見た。


「ツンツン。かわいい。」

「触るな! もし毒キノコだったらどうするんだ!?」


歯から生えているチョコキノコに興味津々の虫歯ちゃん。唾液様も初めて見る光景に対応に苦慮している。


「美味しい~。甘くて美味しいです。」

「た、食べた!? チョコキノコを食べちゃった!?」


虫歯ちゃんは美味しそうなので、歯から生えたチョコキノコを食べた。やっぱりチョコキノコはチョコキノコなので、甘くて美味しいらしい。


「お腹は何ともない?」

「大丈夫ですよ。美味しいです。唾液様も一ついかがですか?」

「ありがとう。パク。美味しい!」


唾液様も歯から生えたチョコキノコを食べた。意外だが歯から生えたチョコキノコは中々の美味だった。


「どうしてチョコキノコが歯から生えたんだろう?」

「他にもないか探すです!」


唾液様の疑問は虫歯ちゃんの食欲にかき消された。


「あった! 苺です! 苺が歯から生えてます!」

「なんですと!?」


虫歯ちゃんはチョコキノコの次に歯から生えている苺を見つけた。どうやら探せば何でもありそうな口の中だった。


「美味しい! これだけあれば自給自足生活が出来そうです。」

「虫歯ちゃん、口の周りが真っ赤だよ。唾液で消化してあげる。」

「唾液様、優しい~。」


虫歯ちゃんと唾液様は仲良く採取したチョコキノコと苺を食べた。よく見ると口の中は食べかすでいっぱいだった。


「口の中は天国ですね。虫歯に生まれて幸せです~。」

「いや、この口の中が汚すぎるんだよ。」


虫歯ちゃんは口の中の生活を楽しいんでいた。実は唾液様も虫歯ちゃんと暮らす口の中の生活を気に入っていた。


「決めました! たくさんの食べかすを使って、夢と希望の国! 虫歯ランドを建設します!」


虫歯ちゃんは口の中に虫歯ランドなる遊園地を作ることに決めた。歯からチョコキノコやイチゴが生えるぐらいだから、きっと虫歯ランドは開園できるだろう。


「虫歯ちゃん!? 本気で言っているの!?」

「本気ですよ! ジェットコースターも作ります!」

「やったー! 1回ジェットコースターに乗って見たかったんだ!」

「ハハハハハー!」


虫歯ちゃんと唾液様の口に中の共存生活は、まだまだ続く。仲良し2人の笑い声が今日も口の中に響くのであった。


完。


あとがき。


4000字で良いのでおしまい。意外に面白かった。しかし、これが連載中の作品に活かされるかは疑問。ははは^^

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

びっくりするような擬人化作品 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る