第6話 先の兄妹、再び
①ネーミング
ロッキーズは、外に出た際に仮の名前を名乗る。
センショーは、
トモは、
ぶー子は、
ブツは、
アンは、
シャックは、
これらは全て、彼ら自身が考えた仮の名前だ。センショーとぶー子の場合、兄妹ということで名字を統一させている。
しかし……。
「お兄ちゃんって本当にバカよね」
「は? 何でだ?」
「だって『先勝』と『先負』って名字、存在しているよ」
「えっ……」
センショーは妹の一言にギクッとした。彼は本当に今の今まで、それらの名字の存在を知らなかったのである。
このように、名字の中に六曜と同じものも存在している。だがそれに当てはまる他の者は、そのままでは露骨な気がしたのか、あえて違う名字を名乗るようだ。
「回りくどいことしないで、そのままそれを名字にすれば良かったじゃないの」
「……良いじゃないか。俺たち兄妹だし、統一させていた方が落ち着くだろう?」
「自分が抜けていたくせに……」
「に、兄ちゃんは、お前と一緒が良かったんだ!」
力強い兄のことばに、ぶー子はピタッと固まった。
「あっ……ごめん! 兄ちゃん言い過ぎたよ!」
「……もう良い」
ぶー子は立ち上がり、兄にくるっと背を向けた。
「ぶー子! 今は兄ちゃんが悪かったよ!」
「……今さら遅いけど……、ボクは『先負信子』を名乗りたかったよ」
「ぶー子!」
ぶー子はその場を離れた。悲しい表情の兄を置いて。
兄の怒った様子を見てショックを受けたぶー子……と思いきや。
「……ふふっ」
実は違っていた。兄と離れ、ぶー子は今笑っている。
「もうっ……。お兄ちゃんは筋金入りのシスコンなんだから」
お前と一緒が良かった。
くすぐったいけれど、その言葉が妹として嬉しかった、ぶー子であった。
②ぶー子が当番の日
「よし、今からボクが当番だね」
「じゃあ、よろしく」
ぶー子は深夜に、トモからバトンを受け取った。
「頑張れよっ、ぶー子!」
「そんなの当たり前だよ」
いつものように背中を押されるぶー子。彼女は今から、自分たちを信じる者たちのため、一睡もせずに家の中で世の中を見守っていくのだ。
ぶー子は見た目こそ幼いが、兄にダメ出しするくらいのしっかり者だ。
だが……。
「何よ、お兄ちゃんは早く寝れば?」
「いや、起きてる」
それでもセンショーは、妹を放っておけなかった。
「あーあ退屈~。テレビ見ようかな」
「ダメだっ!」
「えー、ちゃんと音もちっちゃくするよ?」
「いや、当番の仕事をしっかりやれ!」
「……ぶーだ……」
本当なら、当番の日でもテレビを見るくらいは他のみんなもやっていることだ。しかし、この時間帯は……。
「あーあ、お兄ちゃんたちが夜中にコソッと何を見ているかチェックしようと思ったのに」
「えっ!」
我らロッキーズ! 卯野ましろ @unm46
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