ニル・アドミラリィ

春風月葉

ニル・アドミラリィ

 私の頭の中には、ありえないことがたくさんある。

 昼に太陽と月が見えるのだから、夜に太陽と月が見えてもいいだろう。

 月に満ち欠けがあるのだから、太陽がかけてもいいだろう。

 そんなありえないで満ちた私の世界は、他の人達から見たら歪で滑稽なものなのだろう。

 想像して何が悪いのかと。

 砂漠に雪が降ってはいけないのだろうか?

 虹色の果実が実る木があってはいけないのだろうか?

 それは他の人の中にあるありえないとは何が違うのだろうか?

 ありえないを想像したことがない人なんていないはずだ。

 尋ねよう。

 ロマンチックな運命の出会いはあってはいけないのか?

 意地悪で嫌いな奴が優しくするのはあってはいけないことなのか?

 私は今日も想像で頭の中を埋める。

 それが悪いことだとは思わない。

 ありえないはいけないことではないのだから。

 お前の頭はお花畑だと父に言われた時もそうだった。

 頭の中に広がる赤い花畑、いいじゃないか。

 きっとそれも美しい。

 ありえない想像は現実を補って余りある充実を与えてくれる。

 今日も私は、ありえる世界の住民を嘲笑うように想像の中で思う。

 ありえない世界は美しい!と。

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ニル・アドミラリィ 春風月葉 @HarukazeTsukiha

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