第2話 嫉妬

嘘…だろ?


翌日のことだ。二人が帰ったあの道は、後をつけられていたのだ。

下駄箱から靴を取り出し、ローファーを入れた。すると、女子軍団が待ち構えていた。私は見たくもなかった。その女子を。


「いつもいつも、荒川君と一緒なんだね」


女子の嫉妬は嫌いだ。

元から私は女子が嫌いで相手も嫌いだ。

「それがどうかしましたか。用事があるのでそこを開けてくれませんか?」

肝が座っていることで、脅されようが何されようが私は強い。家系的にそういう事があり、何を言われようが折れない心が出来た。それもまだまだ小さな心だったこと。


「瀬戸、ちょっといいか?」


下駄箱から靴を素早く履いた彼は私の手を取って遠回りになるが反対の階段を選んだ。

反対の階段を使って逃げたことは正解だったが、カズが私の手を取ったのが間違いなのだ。女は嫉妬心が強く、私の一匹狼じゃ負けるんだ。助けてくれたのは嬉しいが、手をとるという動作がマズかった。


「あのね。あのボスさ、荒川のこと好きだよ。」

私は鈍感な彼に優しく教えた。まぁ、こんなことを気にもせずいたらいけないんだ。でも、一緒にいる事は悪い事ではないのだ。


なのに...


「そういえば…」


確か...下駄箱にあったモノ。

こんなことを瀬戸に伝えれるわけないだろ…

全部、僕がしたことなのか?そんなことあるはずがない。何かの手違いだ。きっと。


「心当たりでもあったの?」


「いや、無いや。」


二人で話していると男子が近寄ってくる。

「荒川は瀬戸といつも同じか?」

囃し立てるのも小学生だ。私はこういった小学生の行事が嫌いだ。


「それがどうかしたのか?」


僕は冷たい態度はいつも通りに発揮する。なぜか、瀬戸に関しては気持ちが強い…。

瀬戸がいなければここで拳を握って殴っていた。


「瀬戸は荒川のこと好きなんだよな?」


僕は一瞬彼女を見た。「はい」も「いいえ」も答えを聞くのが怖かった。


「エエ。そうよ」


澄まし顔はクールな仕上がりをしている。心が嬉しすぎたが、そんなことより瀬戸を。


「じゃあ、こんな事しても…?」


瀬戸のスカートを足で引っ掛け、スカートを足で遊ぶ男子。

グッと唇を噛む彼女を見てしまった以上、手を出さないように、彼女の前だけでも手を出したくなかった。

僕はその男子の胸倉を掴んだ。


「なんだ?喧嘩するか?」


聞き慣れた言葉だなぁと、思った。


「俺はやらないよ。疲れるからね。」


始めから相手になんかしない。それが僕のやり方だ。


「じゃあ、コッチから」


と、拳が飛んでくるのを避けてその手首を掴んだ。


「あんまりさ、甘く見ないでほしいな。」


「瀬戸は泣かないもんな?」


と、もう一人の男子の蹴りが彼女に振りかざされた。僕は一人しか相手に出来ていなかった。最悪だ。瀬戸が怪我をするのは嫌だった。

目を閉じた時に耳に響く椅子の倒れる音。

クラスのみんなは一瞬で静まり返った。さっきまで周りで見て見ぬ振りをして友達と話していた奴が。静まったのだ。

この時点で瀬戸は床に倒れている...


目を開けると、たくましく立っていたのは瀬戸だった。


「私を舐めてるのか?」


怒っているのか笑っているのかわからない顔をしていた。そんなら彼女を見るのは初めてだった。

その蹴ろうとした足を掴んで天井へと高く持ち上げると男子は不安定になり、倒れこむ。


「プロレス技かけられてきたんだよね。お兄ちゃんに。役に立つとは思ってなかった」


と、スカートについたゴミを払い落とし笑う顔。

男子は怯えた。彼女の笑い方は嘲笑うかのように優雅にけなした。


「甚だ滑稽な人ね。」




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不登校の僕と学校へ行きたくない君 つきがせ @ssrssr

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