第4話
さて。
人類が1999年に滅亡しなかったのは明白な事実である。
でも、この年は最悪・晴天の霹靂・俺の人生には火の玉大魔王が降り注いだ。
なんと、たった一夜の過ちで、ダム子が妊娠してしまったからだ。
俺は、ボン子に泣かれ、殴られ、罵られ、逃げられてしまった。
そして、親にも怒鳴られ、ダム子の両親に呼び出され、結局、結婚という形で男の責任をとらされてしまったのだ。
三十歳になるまで、身を固めるつもりはなかったのに、なぜ、学生結婚しなきゃならんのだ! と嘆いてももう遅い。
そして現在、二人の娘を持つ父親である。
のすとらダム子こと、我が妻は雑誌の星占いの代わりに、今は新聞の広告チラシを片手に持っている。
「ねぇねぇあなた、隣街のスーパーでバーゲンセールをしているわ。卵一パック100円ですって!」
「ガス代かけたら結局は高い。俺は疲れているんだ」
せっかくの日曜日だというのに。俺はソファーの上でごろごろしたまま。そこに上の娘がのしかかってくる。
「パパ! ドライブ、ドライブー!」
娘の懇願には弱いのだが、俺は腰が重い。
「ダム子、おまえだって免許もってんだろ? 二人で行ってこい。俺は寝ているから」
ダム子はにっこりと笑って、新聞の占いコーナーを指差した。
「私、本日は『車の運転に注意』とありますの」
「うううう、また占いかよ? 本当に大当たりは俺とおまえの相性だけだ。最悪」
俺は仕方がなしに立ち上がり、娘を抱き上げた。
ダム子はその様子をみて、ふふふ……と笑った。
「あら、私にはあしたが見えますのよ。あなたは最大の幸せを掴みますわ。これ、私の予言」
のすとらダム子の大予言は、大誤算かもしれない。
まぁ、それはあしたのあしたかそのあした、さらにあしたになるころには、俺にも結果がわかるだろう。
とりあえずは、悪くはなかったと言っておく。
=エンド=
のすとらダム子の大予言 わたなべ りえ @riehime
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