最終話 私は雨の中歩き出す
体の替えの利く
しかし、私は自分の体が決して替えの利くものではないことを知った。正確に言うならば、体は修理できてもそれは以前の自分とは全く異なるものになる。同じ体でも蓄積された傷や年季のようなものが変わってしまう。
自分というものには決して替えがない。壊れてしまえば
こんなことはもう二度と口に出してはいけないだろう。そんなことをしてしまうと校長先生のように私のことを危険視し、解体しようとしてくるということが分かったからだ。
私は強まる雨に体をさらし、飛び散った血を洗い流している。
雨は嫌だ。こう湿気が多いと体に異変が起きそうで憂鬱になる。しかし、こんな心の変化であればあまり気に病むことはないなあと思う。むしろすっきりしたとまである。
体に付いた血がすっかりと洗い流されたころ、私は傘をさして歩きだす。
一人じゃないから大丈夫だ。私はポケットを確認してから、とりあえず『外の世界』を目指すことにした。
(了)
雨の中の人造人間 ハムヤク クウ @hamyaku_kuu
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