遮断機

染井由乃

遮断機

今頃目を覚ますなんて、相変わらず、君はどうしようもないな


もうずいぶん長いこと、バスを乗り越してしまったよ


君がちょっと眠っているあいだに、


王様は十回死んで、


あの白いクマはいよいよいなくなった


あたらしい、ともだちができたよ


色鮮やかで、にぎやかな、たのしい連中なんだ


君にも、会わせたかった


おしゃべりをするたび、白い泡が空へかえっていく



遠い、遠い場所へいこう


ここじゃない、どこか知らないところへ


彼らは僕にそういうけれど、


ほんとうはね、ずっと、待っていたんだ


君と出会った桜の下、この海の中、


踏切の先で、わらってた、君のこと



ただただ、声が、ききたかったの

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遮断機 染井由乃 @Yoshino02

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