飴と傘

オオカミ

飴と傘

 ポタポタポタポ、雨の音が聞こえるの。

 ポタ、ポタ、ポタ、血の流れる音が聞こえるの。

 

 今日も私は一人きり、憂鬱に空を眺めるの。でもいつだって私の空は、雨が降ってばかりで、すぐ目の前が見えなくなっちゃうの。

 だから私は傘を差すの。そしたらほら、きっとよく見えるようになるでしょう?

 ポタ、ポタ、ポタ。変わらず音は聞こえてくる。でもしょうがないよね? いつだって雨は降ってるんだから。

 

 今日も空は良く見えない。私の心も綺麗にならない。

 こんなときは、お母さんが言ってたわ。

 飴ちゃん食べれば、きっと元気になれるよね?

 でもいくら探しても飴ちゃんは見つからなくて。いつまでたっても、私の空は晴れなくて。

 飴ちゃんどこ? ねえ出ておいでよ? 暗くて何も分からないよ。

 

 今日も私は憂鬱で、空はずっと暗いままで。ポタポタと流れ落ちる音は、私の足元から聞こえ続けている。

 でも私は信じてるよ? 曇りの後には晴れがあるし、夜が明ければお天道様が見えてくるの。

 明日はきっといい朝だね。おやすみなさい。




 コケコッコー!

 あら珍しい。今日はニワトリが元気に鳴いてるわ。やっぱりちゃんと、お天道様は来てくれたのね。今日はとってもいい気分。お空もよく見えるし、うんざりしてた雨音もすっかり聞こえなくなったわ。

 

 そうだ! 飴ちゃんはどこだろう! 今までたくさん我慢してた分、今日はたくさん食べるんだから。

 がんばってがんばって探して、ようやく見つけた飴ちゃんたち。でもとっても残念なの。もう飴ちゃん触れなくなっちゃったみたい。

 

 でもいいんだ、ようやく自由になれたんだもの。


 夜になったら、間近でお星様を見てみたいな~。

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飴と傘 オオカミ @towanotsuki

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