第64話 その時・・・須藤の勝利

たどり着いた部屋のドアの下へカードキーを通すと、ランプが点滅しドアが開きました。部屋へ足を踏み入れた後、彼の動きは素早いものでした。


部屋へ入るなり彼は振り返り、私をドアに押し付けると再びキスをしました。エレベーターの中よりもさらに激しく、私の舌を絡め吸うのでした。

彼は私の上着を脱がせ、その手が胸の上を滑りました。甘い快感に襲われ声が漏れそうになるのをかろうじてこらえました。


待って下さい、とやっとの思いで告げました。

シャワーを浴びなくとはと、バスルームへ視線を送りました。


「だめだよ、もう待てない。」

須藤は容赦なく言いました。彼の唇が私の頬や首元へ滑り、手は私の胸や背中、足へとせわしなく伸びてゆきました。いつの間にか彼の指が服の中へ滑り込むと、私はたまらず声を漏らしました。


待てなかったのは彼なのか、私なのか。彼の指や舌の動きに合わせ、私はのけぞり喘いでいました。誰にも聞かせたくはなかった、言葉にならない声が幾度も漏れてゆきました。気付けば上半身には何もつけておらず、胸の突起へ須藤の舌や唇がうごめいていました。激しい快感に見舞われ気が遠くなりました。


彼の手はスカートの中へ伸びてゆきました。やはりシャワーを浴びなくてはと我に返りました。彼の手を抑えながら、シャワーを浴びたいです、と勇気をふり絞り訴えました。


須藤は私を見つめ、愉しむように微笑むと、再び激しいキスに見舞われました。唇が解放されたと思うと、彼の指が下着の中へ侵入しました。私は不意をつかれて声を漏らしました。慌てて足をきつく閉じました。


もううるおってしまっていたのをわかっていました。

それなのに、待って下さい、と馬鹿みたいに懇願こんがんしました。


須藤はひざまづいて私のスカートをたくし上げました。彼の指が下着の中でうごめくと淫らな音が響きました。圧倒的な快感にわけがわからなくなりそうでした。だめです、と息も絶え絶えに抗議しました。


「ユリちゃん、まだいかないで。これからだから。」


須藤が私の下着を下ろすと、恥ずかしさに狂いそうになりました。

やめて下さい、と泣きそうになりながら手でその部分を隠しました。

彼は私の手の甲へキスしました。そして容赦なく私の手をずらすと、敏感なところへ舌を這わせました。


須藤の唇や舌が少し動いただけで、私はほとんど限界でした。彼の行為があまりに恥ずかしくて逃げたいのに、身体はどうしようもなく反応しました。ドアにもたれて仰け反ったまま、体が張り詰めるのに備えました。


須藤から与えられる快感に屈し、すぐに私は達してしまいました。我ながら情けないほどの有様でした。彼の指や舌の繰り出す動きに私の身体はこらえようもなく波うって、いまや求めるばかりでした。


「ゆっくりしたいけど、俺ももうだめだ。」


彼は上着のポケットから薄く四角いものを取り出しました。避妊具を目にするのは久しぶりで、つい目を逸らしてしまいました。彼はいつからそのような物を持ち歩いていたのだろうかとぼんやり思いました。


須藤は素早く上着とシャツを脱ぎました。彼と私が初めて体を重ねた日、私の同意などなかったあの日、ショックが酷すぎたせいかほとんど記憶がありませんでした。この時改めて目にした彼の上半身は鍛えられた綺麗な体つきをしていました。知らなかった、と思いました。


須藤は私に背を向けさせ、私はドアに手をつきました。お尻を突き出すような体勢にされ、彼の指が敏感なところを確かめるように滑りました。音が響くほど素早く指を動かされ、私は再び感じて声をあげました。


須藤の両手が私の腰をとらえ、彼が私の中へ入ってくると、私は叫びながら彼をしめつけました。須藤は私を抱きしめると、荒い息遣いが聞こえました。


「ずっと、ユリちゃんとこうしたかった。」


囁くように告げると、彼は私の中に入ったまま、肩や首の後ろを舌で愛撫しました。私は激しい快感にのみ込まれ喘ぎました。


「ユリちゃんは俺のことを好きだよね。じゃないと、こんなに濡れるわけない。」


須藤は低い声で囁きました。彼が動くたびに、淫らな音が響きました。


この状況で、抗議したところで意味をなさなかったでしょう。ただ、彼を好きかどうかは別として、はしたなくも身体は応えてしまうものだと知ってしまいました。

須藤は私の中にいる間も勤勉なほどに手や口を休ませずに悦びを与えました。

彼の手管に身を任せ、私は快感をむさぼりました。


「ユリちゃん、すごくいい・・・俺も限界だ・・・」


須藤は高揚したようにそう告げると、いっそう激しく私を貫きました。何度も突き上げられ、ドア越しに廊下へ聞こえてしまいそうなほどに叫んでいました。幾度となく繰り返される揺さぶりの中で気が遠くなった時、彼はとうとう果てました。



告白(完)。

告白2 =愛人体質= へ続く

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告白 神原 遊 @kamibara

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