かみさま

 ≪1st Sequence≫ 

 …… …… ……

 …… ……

 ……

 フラグイベント【魔王の種】

 継承者・個体名【ラナ】への魔王の種の下賜を確認

 2nd Sequenceに移行します


 ≪2nd Sequence≫

 イベント【真なる勇者】

 勇者の選出…… …… …… …… …… …… 完了

 段階的魔物の投与開始

 協力者・後援者の配置

 従者の選定

 …… …… ……

 …… ……

 ……

 勇者の能力値:規定値を超過

 条件を達成しました

 3rd Sequenceに移行します


 ≪3rd Sequence≫

 フラグイベント【神託】発動

 勇者の目標地点に魔王城を関連付けます

 …… …… ……

 …… ……

 ERROR

 協力者1体の損失

 …… ……

 ……

 規定地への到着を確認

 決戦フェイズに移行します

 勇者にバフの適用開始

 バフ【魔王特効】…… …… 適用

 バフ【魔王物理攻撃耐性・極大】…… …… 適用

 バフ【魔王魔法攻撃耐性・極大】…… …… 適用

 バフ【身体能力向上】…… …… 適用

 バフ【精神加速】…… …… 適用

 バフ【精神汚染耐性・極大】…… …… 適用

 バフ【永続回復】…… …… 適用

 勇者 : 魔王との戦闘を開始します

 ERROR

 従者を損失

 ERROR

 協力者を損失

 魔王の討伐を確認

 今シーズンの目標を達成、終了措置へと移行します

 4th Sequenceに移行


 ≪4th Sequence≫

 勇者のバフ解除

 魔王配下の魔物の消失を開始

 イベント【発芽】開始

 消失する魔王配下の魔物のエネルギーを利用し継承者・個体名【ラナ】の魔王への進化を行います

 個体名【ラナ】の魔王への進化を完了

 ERROR

 帰還前に勇者と魔王が会敵 : 勇者損失

 勇者損失により今シーズンのスコアの獲得はありません


 ≪第37season Result≫

 魔王討伐:成功

 勇者:損失

 従者:損失

 協力者1:損失

 協力者2:損失

 後援者:生存

 スコア:00000

 1st Sequenceへ移行


 第38season開始します




「はぁ!? くそっ、スコアなしかよ」


 そこに「それ」はいた。

 概念上にのみ人にその存在を認められる「それ」は、まるで思春期の少年が悪態をつくように舌打ちをし、言葉を吐き捨てる。見るからに不機嫌そうな表情で目の前の中空に浮かぶ半透明の画面を見つめている。

 画面には「第38season」の文字と、数えきれない無数の触手をもつ小柄な魔物…… いや、魔王が、先代の魔王の根城をそもまま利用し活動している様子が映し出されていた。


「ったく、んなイレギュラーはいらねぇんだよ。消すぞゴミくずが」


 吐き捨てる言葉の刺々しさとは裏腹に「それ」は画面を睨みつけながらも動こうとはしない。その力を持ちながらも、ただ画面を見つめるのみだ。それは彼らが定めたルールの一つ。決して画面の向こうには干渉を行わないという絶対のルール。絶対者であるが故の不干渉。

 だが、それが故に時にこのような不測の事態が起こり気分を害することもある。


「あら、随分不機嫌そうねぇ」


 ふと、いつの間にか「それ」の後ろに、似たような、しかしどことなしか柔和な雰囲気の「それ」が立っていた。


「あぁん? なんか用かよ」


「それ」は不機嫌さを隠すこともなく、柔和な「それ」に振り返りもせずに応じる。対して柔和な「それ」も気にする様子もなく「別にぃ」とほほ笑んでいる。


「あ、そうそう。平家物語って知ってる?」

「ヘイケ物語?」

「第六世界にある古い国のお伽噺なんだけど。そう、知らないの? フフフ」

「んだよ」

「いえ、でも、精々頑張ってね」


 柔和な「それ」が笑いながら去っていくことを気にも留めない「それ」は、ただただ画面を眺め続ける。

 画面の中では、個体名【ラナ】がせっせと魔王としての地盤を固めていた。

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ラナとまおうさま 結城 慎 @tilm

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