第3話 歓迎会

「…と言うことなんです…」


俺はあの一件からすぐに今までの仕事をやめサンクションに入社する事になった。


「…お前も大変だな、ガロウズ…」


「…はは…」





炭鉱を出る。

皆、俺が辞めると聞いて挨拶をしてくれた。


色んな手土産を貰い、そのままサンクションビルに足を運ぶ。






「入社おっめでとーー!!!!」




ビルのエントランスに入るとハイテンションなゴルゾさんが出迎えてくれた


「…ハイテンションですねぇ…ゴルゾさん…」


「そりゃそうだ、仲間が…あ、いや…家族が増えるんだからな!!」


「…家族…はは…ありがとう御座います」


「おう!さて、皆上で待ってるぞ。ほら、ぼさっと立ってねぇで、階段一気に行くぞ!!!!」


「は!?いや、俺手荷物が…」


「ははは!!!筋トレだと思え!!!」


「…嘘だろぉ…」





「はぁ…やっと…つい…た…」


俺は大荷物()を抱え、4階まで登った。


「あ、マジで階段で来やがった」

ゴルゾさんがアップルパイを貪りながら俺を見る。


「は…あな…貴方が…階段で………」


「あ、別にガロガロは階段で来なくても良かったんだぜ」


「…はぁ…てか、ガロガロって…」


「おう、リサーナがお前の事そう読んでた。」


「リサーナ…?」


「よっすよっす〜!ガロガロお初〜!!!いやぁ入社早々走らされて大変だねぇ!あっははは!」


ゴルゾさんの後ろからパーカーを着た女の子が飛び出してきた。


「おい、リサーナ。

あんま五月蝿くすんじゃねぇよ。

あくまでこれは入社式であってパーティーじゃねぇんだぞ」


「ブー、うるさいよーライズまたシワ増えるよ〜」


「んっ…だとお前!!!!!」


「へへ〜」


「お前らやめないか、せっかく久し振りに新入りが入ったというのに、あまりはしゃぎ過ぎるなよ」


「俺ははしゃいでないッスよ…」


「うっそ〜ずっとそわそわしてたくせに〜」


「ん…っとにてめぇはぁ!!!!」


「ひゃっほ〜!!!」


ドタバタと走り回る大人()二人

そんな二人を唖然と見ている俺にゴルゾさんが


「すまねぇなぁ、いつもはあんなんじゃねぇんだ、若干一名は。

おいお前ら!自己紹介しろ!自己紹介!」 


「っと…了解!


んんっ…私の名前はリサーナ!

リサーナ・カプリティ!

歳は21なのだ!!!子供とか言うな!!

とりあえず!!

よろしくね!ガロガロ!!」


ぴょんぴょんはねながら自己紹介してくれたのはリサーナ・カプリティというらしい。

うさぎの耳がついたフードがついているパーカーとミニスカートのしたにスパッツを履いた運動が出来る女性感を醸し出しているリサーナ。

髪はやや桃色で下に行くほど橙色が強くなってきれいなグラデーションとなっている。

目は紫でアメジストの様な美しさだ。


「あぁ、よろしく、リサーナ」


「次、俺だな。


俺はライズ。

ライズ・ヨルダ。

歳は25。だからガキ扱いすんな。

趣味はダーツ、好きな物はレモン、嫌いなものは…とにかくうるさいやつ。

あと遅い奴。

お前も足引っ張んなら置いていくからな」


腕組みをし仁王立ちで自己紹介してくれたのはライズ・ヨルダという男だった。

背はやや高めだが、多分180前後だろう。

きっちりとしたスーツに見を包み出来る男感を醸し出している。

髪は綺麗なブロンドヘアーで、動くたびに光り輝いていた。

目は薄い蒼色で空のような儚さを放っていた。


「あ…あぁ…よろしくたのむ」


「さて、最後に…ガロウズ。お前の自己紹介だ。」


「あ、わかりました…え〜と…


俺の名前はガロウズ・ザゴア。

歳は43、君たちにとっちゃおじさんの歳だな。

背は188で…いや…これはいらなかったか…

んんっ…えっと…

好きな物はぁ…読書…?」



「疑問形かよ」

「こら、ライズ」


確かに読書なんて指で数えられるくらいしかしてねぇ!

「んんっ…えっと…

えぇ…何話せばいいんだぁ…?」


「ん〜、あ!家族とか!」


「家族…すまない、家族は居ないんだ。

先の戦争で妻も娘も亡くしてしまったんだ…母と父はもうかなり前に亡くなっている。

だから…」


「あ…あぁ…なんか…ごめんなさい…」


「いや、いいんだ、君達が俺の新しい家族になってくれるんだろう?」


「…うん…!!!今日から家族!!!!みぃんな家族だよ!!!」


「安心しろ、ガロウズ。

お前だけじゃない。

ここの者たちは皆家族は遠の昔に死んでいる

俺も含めてな」


「!…そうなのか…?」


「まぁね、私は親の顔知らんけど!」


「俺も知らん。

祖父と祖母に育てられた」


「俺は孤児だったぞ。

ここは親いない奴ら多いし、家族いない奴らも多いんだ、だからお前も何かあったら相談してくれや」


「…ありがとう御座います…ゴルゾさん…」


「てか自己紹介なってなくね?まぁいいや!ガロガロこれ食べな!!!」


ドサッと皿にドデカいアップルパイが載せられた。


「俺の自信作だ!!!すきなだけ食ってくれ!!!パイだけじゃないぞ!マフィンも焼いてきたぞ!!!」


これまたビックサイズのマフィンが載せられる。


このあともあれやこれやと載せられ、俺は10分たらずで倒れた。


「もう…食えねぇ…」

「駄目だなぁガロガロ、俺のアップルパイもっと食えやオラオラ」

「やめ…やめてください…も…ホントにもう…」


ゴルゾさんがうりうりと頬にアップルパイを押し付けてくる。

それを見ていた、ライズとリサーナが

「みろ…リサーナ…あれが新人イジメだ」

「うわぁゴルゾひどぉい」

と、コソコソ言い始める。


「んだとぉ!お前らも食えや!!!!!」

「きゃ〜!」

「俺は結構食ったもんね〜」


バッと立ち上がり、ふたりを追いかけていくゴルゾさん。

逃げる二人。


こんなに楽しいのはいつぶりか。

そんなことを思いながら、沢山食べた反動で俺は寝てしまった。











「!?やっべぇ…寝ちまっ…あれ?」


目が覚めるとベットの上だった。

俺の荷物も全部部屋にあった。


「…?誰が…」

疑問に思っていると、つい最近聞いた声が寝起きの俺の頭に響く。


「起きたか?」

「うわ…ライズ…?」


ライズが扉に寄りかかりながら、立っていた。


「ライズ先輩だろうが、ばかたれ」

「お…おぉ…これ…先輩が…?」

「なわけあるか、ゴルゾさんが一人でまとめて持ってきてくれた」

「ゴリラかあの人…」

「はは、違いねぇ、あの方はゴリラだ。

お前は俺が運んできてやった、痩せろ重い感謝しろ」

「お…おう…あ〜…ありがとう御座います…」

「うし」


「…で、ここがお前の部屋だ。好きに使え…っつっても部屋の壁破壊したり窓ぶちやぶったり床ぶち抜くのだけはやめろ、誰かさんみたいにな。

わかったな」

「了解…」


絶対リサーナだ。

と思いつつ鍵を受けった。





「じゃ、9時になったらフロント集合だ、今日の仕事内容を説明するらしい。遅刻すんなよ」


「わかった、ありがとな」








「…さて…ここが新しい家か…楽しみ…だな」








to be continue…

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Sanctions 高原江 @Gou_takahara823

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