あとがき
6作品、お読みいただきまして、ありがとうございました。
個々の作品について、簡単な解説を書きたいと思います。
軽いネタバレになるかと思いますので、未読の作品がある場合は、ご注意ください。
■01:腕相撲する (2008/07/06公開)
お題「12.手と手」を使った作品かと思います。(もう記憶が……)
カルテットは種族の異なる四人の少年が主人公なので、その種族的な違いを表現したい作品だろうと思います。そのあたりを詳しく知っていて、しっかり利用するシュレーの狡猾さや、担がれて負けてムキになるイルスの案外子供っぽいところが、見どころかと思います。
「まあ控え目に言って、君なんか一捻りだよ」というシュレーの勝ち誇ったコメントも、まだまだ幼いんだなという感じがしました。
■02:素足に触れる【BL/R15】 (2008/07/06公開)
あっこれ性描写は無いですね? 読み返してから気が付きました。
直接的なことは書かずに、この前夜やこの後の出来事を想像してくださいという趣向で書いたのだと思います。トルレッキオは葡萄酒の産地で、水が良くないのか、学生さんたちも水割りのワインを飲みます。酔っ払いますね。(中世のヨーロッパではそういう習慣があり、子供でも飲みました。今とは随分違います)
私はキスシーンを書くのが好きなので、自分で読み返してみて、キス書きたいなというのが主題だっただろうなという印象でした。四人で寝ていて、二人だけ起きているというのも、なんとなく面白みがあります。
■03:懺悔室 (2008/07/07公開)
スィグル・レイラスの心理描写をする作品です。スィグルは普段はシュレーに悪態ばかりついて、刺々しい子ですが、本心ではシュレーを天使として崇めています。でもシュレーがそういう、ありきたりな者共を嫌っているのを知っていて、普段は隠しているんですが、懺悔室というのは特殊な空間で、そこに僧服の人と二人きりになると、敬虔な気持ちになるものです。レイラスもつい本性が出たというところですが、シュレーは友人の心境に気づいていません。その「鈍い!」っていう感じを楽しむ趣向です。鈍い!
イルスとシェルも青ざめて出てきたという描写だったので、彼らもどことなく敬虔な気持ちになったんでしょう。
■04:天使殺し【BL/R15】 (2008/07/08)
こちらは性描写っぽいものが一応ありました。でも直接的な表現はしないでドライに書く趣向です。想像しないと何をしてるか分かりにくいんですが「想像してください」という書き方になっています。
BLで性描写となると、誰が攻で誰が受だっていう話になるんですが、大昔にカルテットを読んでくれていた友達が、この組み合わせを強く推していたので、こう書きました。作者にはシュレーはこういうイメージ無かったので、実は割と苦労しました。読者様はいかがです? 十年前にいただいたご感想では、いやいやイルスが下だっていう方もいらして、作者は「どうすべきか、わからん」と思いました。
余談ですが、この原稿の「まるでチョコレートとクリームのようで」という表現を書くとき悩んでたのを憶えています。この世界にチョコレートがあるかなと思案したんですけども、あるんじゃないかと思って、敢えて書いてみました。この習作の頃から、カルテットの世界に現実世界と同じ曜日があったり、暦も約三十日で一ヶ月、十二ヶ月で一年とする設定にしようという方針を固めました。元々の原案では、ものすごくややこしい独自の暦を設定していたんですが、意味がないのでやめました。
■05:芋祭り (2008/07/08)
一度は書きたい誕生日ネタ……。ベタです。でも一度は書きたい。
シュレーは立場的には神殿種で、他の三人よりは強いんですが、性格的にはナイーブで、守られてる感じの一面があります。それを追求しようとした習作かと思います。ただ、これは作者にしか意味のわからない、独りよがり作品になったかなという反省もあり。意味は通じてましたでしょうか?
■06:水に潜る (2008/07/10)
習作賞編集の最後の作品になりました。文字数もかなり多く、一万字ぐらいあって、もはや掌編とは言えないですね。学院編の舞台であるトルレッキオ学院の地形などを想像してもらうためのイメージワーク的な作品にしたいと思って書いたのと、イルスの半水棲種族っぽいところを書きたかったのが主眼でしょう。
イルスのエコーロケーション能力、「海より来る者」という番外編でも使いました。(https://kakuyomu.jp/works/1177354054882457703)
あとは、主人公たちのお互い心配しあってるところを描くのがポイントです。シェルは分かりにくいですが、授業中ひとりだとシュレーが可哀想だと思って、いつも隣に来てあげてるんだろうな。でも迷惑だったんだね……。けど、シェルは感応力でシュレーの気持ちがわかる設定なので、シュレーは本人が言うほど迷惑がってないというお話です。
また、カルテットにしては稀な、一人称作品でした。いつもは三人称で書いています。一人称でも書けるかどうかの習作でした。一人称も悪くないなと作者は思ったんですが、いかがだったでしょうか?
以上です。
カルテットは長らく書き続けている作品なのですが、なんとなく決定打が決まらず、このように習作を重ねて試行錯誤しつつ書くスタイルです。なかなか完成しません。ああでもない、こうでもないとこね回すのがライフワークなのかもしれないです。もういいかげんにしないとですね。
あとがきまでお読みくださった方々、ありがとうございました。
▼昔なつかしい掲示板を借りてきました。
http://www3.rocketbbs.com/731/teardrop.html
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カルテット お題習作掌編集 椎堂かおる @zero
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