第33話 生活魔法とプリン基金

 生活魔法………、それは、攻撃には使えない?ような小さな魔法だと、思っていたのだが、意外にも使える魔法が多かった。


 「乾燥」だったり、「撹拌」だったり、「種火」や「飲料水」などなど、組み合わせると、多方面に使えた。

 適度に「乾燥」した小豆を「飲料水」でふやかし、「種火」で点けた火の上に乗せた鍋の中で「撹拌」すると餡子あんこが出来る。 と、いった具合に。


 そんな感じの初めての生活魔法ではあったのだが、初等部同期の子たちに、羽の取り方をレクチャーしていたら、自分でも簡単に出来てしまったのには驚いた。


 というか、ヒントを教えた子たちのを勝手にコピーするような感じで、何となく申し訳なく思ったかな。だって、目の前で言った通りの現象を見せてくれるんだぜ?


「水は分かったよな。羽の軸に沿って回って貰うんだぞ、土は小さい砂に回って貰えよ。」

 羽の軸を示しながら、その状態を十分に考えさせる。その想像力で彼らの魔法が変わる。


「「「「はーい、分かったぁー」」」」「やったぁ、出来たぁ!」「こう、やるんだー」「へー」

 一度で出来た者が、出来なかった者に対して目の前でやってみせる。

 見た者は確実に次の段階に進むし、見せた者は目の前で賛辞さほめられることで

さらに理解を深めていく。


「磁力の人は単独でもいいけど、土の人と一緒にやるとお互いに楽かもね? 土の人ー、砂鉄出してー、羽の軸に絡ませて。」



 これで覚えなかったら、俺のステータスはウソになってしまうだろ?


 ただ、あまり必要じゃなかったかな…………、俺には。


 だってさ、今まで気象魔法で全部やっていたことばかりなんだもの、

 スケールがちょっと違うくらいの、ね。


 とはいうものの、ルナやヒリュキたちには、コツだけでも掴んで貰わんと、学院内のダンジョンに挑むにしても、「工事」の支援として使うにしても、まだまだその自分の魔法の応用力を高めてくれないと、魔力タンクだけという悲しい話になってしまうぞ。


 昼飯食ったあとも生活魔法の実践です。


 この講義のコツを掴むまで、俺が自分の取った補足サブレィの羽を使っていたら高価買い取りどころの話では無いくらいにボロボロになっていました。


 それを見ていた、俺の仲間たちが自分の生活魔法を練習するのに、その羽を使うことで集中力を高めて次々と高いレベルで成功させていた。


 すると、感化されたのか同期の初等部の連中までが同じことをやり始め、ついには講師ジョナンまで始めた。一日という短時間のうちに、自分の魔法だけで無く、他の人の魔法と組み合わせると、劇的に幅が広がるんだとその場に居た全員が感じ取れたことが大きかった。


「んじゃ、やり尽くしたな、今日の講義は全員、A評価だ。」

 そう、講師ジョナンが満点を宣告する。

「セトラ君、君からも何か有るか?」


 講義の最初の時と比べても格段にいい笑顔の彼に促され、俺は立つ。

「そうですね、今日は講師も含めて全員がA評価ですね。」

 そう言うと、みんながいい笑顔になる。

 講師ジョナンもだ。


「では、最後に僕から全員に夕飯をプレゼントしましょう。」

 その言葉に?マークを浮かべた仲間たちだが、俺が層庫から取り出したのは………。



 補足サブレィでした。


 最も大きくて綺麗な体の中心部に生えている百本のうちのわずか十五本のものは、羽だけで、1メルくらいは優にあるようなもの。昼飯用に使ったものとは全然格の違うもの。


「さぁ、締めくくりです。全力で取りかかりましょう」

 あっけにとられていた全員が、歓声を上げて、慎重に、今日の成果を試していった。




 講義を受けた全員が美味しい夕飯が出来たことと、お小遣いが増えたことを日記に書いていました。




 そのことを聞いた他の講師や学院長までもが、「自分も参加したかった」と言ったとか。




 さて、お小遣いの話が出たところで、実はタクラム・チューでのプリン、フラレンチ・トゥストの販売による獲得金額は膨大になったみたいなのだ。


 あちらの王宮に専用の部屋を貰い、そこに設置した転移窓は三〇〇鈴と交換にプリンとフラレンチ・トゥストを吐き出し続けている。


 エドッコォ領の卵とミルクだが、俺とコヨミの癒やしの雨の効果によって、少量だけど

HPの回復力を上げてくれていた。


 その販売金額は、二人から三人の学資の完済が可能になる金額で、俺たちの「工事」施工組や関連の人物は、工事代との交換になっている為、基金でも立ち上げようかと思っている。


 学資の話が出てきたところでこのスクーワトルア及び周辺国のお金の単位が分かった。


 タクラム・チューの鈴は、スクーワトルアではゴールドと、交換可能な貨幣で、それぞれの国で呼び名が違うだけで、価値は合金の含有率からほぼ同一とされている。


魔金貨: 100兆鈴=G

魔銀貨: 1兆鈴=G

白金貨: 100億鈴=G

白銀貨: 1億鈴=G

大金貨: 1000万鈴=G

 金貨: 100万鈴=G

大銀貨: 10万鈴=G

 銀貨: 1万鈴=G

大銅貨: 1000鈴=G

 銅貨: 100鈴=G 日本円で千円程度。

大鉄貨穴あき: 10鈴=G(サビ止め染色で白色で直径三セチ)

鉄貨穴あき: 1鈴=G(サビ止め染色で赤、青、黄の三色、直径二セチ)

釧貨センカ: 100鈴=G

    百枚を一本のひもで纏め、腕輪状にしている。100Gから1000G

  通常は、風の民などの装飾品として結構有名。

  たまに大鉄貨を使用しているものもあり。

  持ち運びに便利。使用するときはそのまま渡す場合とバラにする場合がある。


  鈴はタクラム・チューで制定された。

  が、大金貨以上は今のところ設定が無いようである。



 後日、奨学のための基金は『プリン基金』として誕生することになった。

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気象魔法士、ただいま参上 ! 十二支背虎 @joespower

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