『序文 不健全者からの宣戦布告』
中田祐三
第1話
不健全と言うものが自分にはわからない。
倫理に反するあるいは抵触するものは人に見せる価値が無いのか?
孤独と絶望の果てに快楽の世界に閉じこもる物語は必要ないのか?
あるいは違法物を介した友情とも愛情ともつかない関係は忌むべきものなのか?
愛するが故にエゴの世界に縛り付ける男の話は人に見せてはいけないのか?
反面、健全なはずの世界は不健全者には逆に見える。
皆の平等の為に人が、子供が、老人が、等しく殺されてリーダーとその仲間達だけが全てを得る世界。
正義の名の下に地球の裏側でボタン一つで虐殺が起きる世界。
名ばかりのルールと誇りで人々が使い潰される世界。
およそ健全なもので溢れかえっているはずの現実は腐臭に満ち溢れた虚構と思い込みの世界に見える。
ああそうだ、思いこみだ。 もっとも忌むべきものは思いこむことなのだ。
正義を、常識を、良識を、この世のありとあらゆるポジティブな価値観を疑わないことこそが世界を不健全なもので溢れさせている。
たとえば平等の為の死、それは果たして本当に等しく振り下ろされているものなのか?
正義の犠牲、その正義は誰のものなのか?
守っていたら組織が潰れるというルールは奴隷が騙されているだけではないのか?
最底辺から空を見上げた不健全者は人々を縛る『それ』が何なのかを貴方に問いたいだけなのだ。
『それ』は貴方を引きずりおろしていないか?
それとも本当に守っているのか?
茶化すことさえ許さず、空想で相対的に描くことさえ許されない世界、それこそが不健全に満ちているのだ。
そして再度問おう、貴方を取り巻く『それ』は本当に健全か?
『序文 不健全者からの宣戦布告』 中田祐三 @syousetugaki123456
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