-腹が減っては空も見上げられない-
「いずみぃー、おひるいこぉ」
席で頬杖をついたままボーッとしていたわたしの横に来て捨てられたネコの様に見つめてくる1人の同級生
「あれ、もうそんな時間?」
パッと教卓の壁上を見れば時刻はいつの間にか午後12時と少しを差していた
「いつまでもボケーっとしてるからだよぉ、わたしおなかすいたぁ…」
「えーん」と泣くふりをするタレ目で栗色のセミロングを少し巻いた女の子、いつも仲良くしている子の1人でおっとりした口調とマイペースな子である
「あれ、そう言えば"くぅ"だけ?雨奈は?」
雨奈はいつも仲良くしているもう一人の女の子、ショートカットで暗めの茶髪にサバサバした性格が特徴の子、男兄弟の中で育ったからか男勝りな所があるけど本人は少し気にしてる可愛い子
「あーちゃんはすうがくのてんすうがわるかったからー、ともちゃんにおよびだしー」
いつもの平仮名口調でほわほわ話すくぅの話を聞くと私は顔を
「え"っ…ともちゃんに捕まったの…それは可哀想に…」
数学の
なんて考えながらくぅと話しながら歩いていると食堂の独特な空気が鼻をつく
いろんな食材と調味料が混ざった臭いにお腹の虫が騒ぐのが分かる
「うーん、きょうはかれーにしよー」
ふんすふんすと張り切った様子で券売機のカレーと書かれた文字と大盛りの文字の券を発行するくぅ
この子の食べた食べ物は一体どこにいくのだろう…
ただでさえ細い彼女を横目に私は券売機に目線を戻すとA定食と書かれた文字の券を発行した
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席を確保した私たちは椅子に座ると手を合わせる
『いただきまーす』
今日のA定食はチキンの南蛮漬けにサラダ、お味噌汁、ご飯というメニュー、朝練の時に鶏肉が食べたくなった私にとっては何ともグッドメニューである
「んんん…きょうのかれーもおいひぃぃ」
むぐむぐと口いっぱいにカレーを含んだくぅは幸せそうな顔で呟く
…カレーも良かったかも…
「た、だいま…」
突如なく背後から聞こえた声の主は次の瞬間、空いていた隣の席に倒れ込んだ
「あれぇ、あーちゃんだぁ」
倒れ込んだ雨奈に対してくぅが言うと、それに反応したかのように雨奈は身体を重々しく起こした
「長い長いお説教に耐え抜いた私はともちゃんに解放してもらったのであった…」
どこかの漫画のラストシーンでも思い浮かべるかのような雰囲気で話す雨奈にコップに注いだ麦茶を手渡す
「あー、さんきゅ…」
私から受け取った麦茶を雨奈はゴクゴクと喉を鳴らしながら一気に飲み干す
「次のテストで80点以上取りなさいって言われたぁぁ…」
テーブルに突っ伏して喚く雨奈に私はくぅを見つめた
くぅも口の周りについたカレーを拭くことなく私の方を深刻そうに見つめる
雨奈が数学で40点以上取っているのを見たことがない
もう一度キミと。 菓子焼き機 @kasiyakiki0515
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