スタート

中田祐三

第1話

面倒くさっ! 思ったならもう関係は終了。


そう、全てが嘘と思えてしまうならこれ以上言うことなんてない。


 来週も再来週もその先も…かつては確実に胸に抱いた虹色の感情をいつまでもと願っていたというのに。


 言葉はもう出ない。


 いったい何が引き金? 共に過ごした時間にヒビが入り、いつの間にかできた大きくなった溝は埋められず。


 『元気でやりな。』 


 強がった台詞。 それ以外に何がいえる?


 涙すら出ない乾いた空間、置いてかれた心の行き場。 気持ちは宙づりに。


 本当は後悔しないようにぶちまけたいのさ何もかも。 でもしない何も。 幸せを願うだけ。


 だから言うことは無いんだ。 本当に。


 というよりももしかしたら元々無かったのかもしれない。 ここにきてそれがわかろうとも互いの違えたスタートラインに俺たちはすでに立っている。


 今更遅い。 ただ幸せを願うだけ。 


 だからこそ今がいいタイミング どうかこれからも良き日を。


 思えばはたから見れば仲良く見えただろう。


 でもいつの間にか関係は『なあなあ』に堕落した。


 挙げ句の果てにさんざん言いたい放題で別れるのも悲しい。


 いろいろお節介をしてされてそれを懲りずに繰り返して、別の日には陽が昇り、落ちても地べたに輪になって話し続けたあの日。


 やめよう振り返るだけでは悲しくなるだけ。

 

 それを夢幻とさせないためにあえて新たなスタートを。

  

 涙を飲んで痛む心。 向こうもそれを感じているかもしれない。


 でも過去をかつての良き日のままで、いつかまた笑いあえる時が来ることを願うために必要な処置なんだ。


 湿っぽい別れでもなく激しく烙印を押されるような痛みをあえて刻む。


 これが俺の曲がり曲がった優しさなんだ。 ごめんよ、かつての良き人よ。


本当は後悔しないようにぶちまけたいのさ何もかも。 


でもしない何も。 幸せを願うだけ。


 だから言うことは無いんだ。 本当に。 それだけが真実。


 というよりやはり元々無かったのかもしれない。 それでも俺達はもう違うスタートラインにすでに立っている。

 

『でっかくなりな。』 

 

 さらに強がった台詞を俺にあなたにも。 


いつかの再会を願ったわかりづらい最後の言葉。 


 互いに背中を向けて進む第二のステージへ。


 そうだここからが新たなスタート。  


 きっと今が良いタイミングなのだから。


 


 



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スタート 中田祐三 @syousetugaki123456

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