この夜よ、君に届け
夜野さくら
第1話
心がざわついて眠れない夜は、夜空の星を見上げよう。
君との思い出をなぞるように、優しく星に手を伸ばす。
楽しくて、嬉しくて、眩しい思い出もあったよね。
悲しくて、寂しくて、夜空に溶かしてしまいたい日もあったよね。
だけど、その星全部が君と歩んできた道なんだって、そう思えたら少しは楽になるのかな。
だけどやっぱり、君のいないひとりぼっちの夜は苦しくなる。
胸を掴んで離さない君の声が、何度振り払っても離れてくれない。
肌に触れる君の熱が、頭の中をいっぱいにしてしまう。
そんな僕の中に残る君の欠片を、ぐっと押し込め目を瞑る。
途端に浮かぶのは、君の笑った顔。やっぱり君からは逃れられそうもない。
楽しそうに笑う、君の笑顔に夢中なんだ。
苦しいときは涙も見せてほしいけど、やっぱりその太陽のような笑顔が、どうしようもなく好きなんだ。
その眩しい笑顔が、僕の進むべき道をいつだって照らしてくれている。
僕の中で、少し過剰に渦巻く想いを再確認して、ゆっくりと目を開く。
夜空には無数の星。この光が分厚い雲に隠されて、泪で濡れる日もあるだろう。
だけど、僕はすぐに思うんだ。
君に、会いたい。他の誰でもない、ただひとり、君に。
止まない雨はないんだから。
この星空を、どこかで君も見ていたらいいな。
真っ暗な闇夜に、僕の気持ちをありったけ詰め込む。
この夜よ、君に届け。
この夜よ、君に届け 夜野さくら @yozakura53
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