8話 落とし所

「悪いな、俺達中々起きなくて」

「いえ、家のことで早起きには慣れてますし」


エルフの村に戻ってきた私と村長さんは、

口裏を合わせ、何もなかったことにしました

(もちろん、候補者とか魔装についても)



あの吸血鬼の方とは…痛み分けというか…


目の前で放ったシャインブレード

それは彼に当たる前に消え去り

「何故だ、何故そのまま振り抜かなかった」

「ただの…魔力限界ですよ…」

あれだけ、魔法を使い続けるのは

いくら、人並み以上の魔力があるとはいえ

鍛えていない私にはキツイものがある


「だから…ここでお互い…退きませんか?」

「…確かにまだ後継の儀を初めてはいないな」ヒソッ


(……ヴァナ、後継の儀って何?)

彼がつぶやいた言葉について、彼女に聴く

『魔王候補者が王城にて全員顔を合わせる、ちょっとしたパーティーですよ』

(あ、そういうのなんだ)

『魔族にとってはかなり格式の高い儀式ですよ』

魔族にとっては常識ですと言われたが

(私自身ハーフだし、人の世界で生きたから、そうゆうのには疎いの!)

『それは失礼しましたわ、マスター』

(別に謝ってほしいんじゃないけど……これからも迷惑かけるけどよろしくね)

と会話をしていると、あちらも考えがまとまったらしい


「ふむ、わかった。その提案は受け入れよう」

「ありがとうございます!」

「こちらこそ済まない、ハーフだとはいえ同じ候補者に対して無礼な口をきいて済まなかった」

落ち着きを取り戻したせいか、見た目相応の言葉遣いになった吸血鬼さん

 

「あ、あと」

「ん、なんだ」

にっこりと笑顔で

「お嫁さんを貰うなら、きちんと話し合ってくださいね」

「……善処しよう」


これで、エルフの長老さんの悩みを解決できたのかな?


町に戻ってくると他のみんなが目を覚ましていたので朝食にする

昨日は料理を作って貰ったので、今日は台所を借りて私が作る


(そういえば、地味に徹夜だなぁ)

『むしろ、魔力限界を迎えたのにそこまで普通に行動できるのがおかしいんですよ』

『その場で倒れてもおかしくないですし、放置すれば死に至るようなものですよ?』

(ヴァナが何かしてくれてるの?)

『……左手を見てください』

(あ、お父さんの聖印が輝いてる)

『恐らく、勇者における瀕死の際の能力ブーストがかかっております。だから恐らく、今のあなたはこの聖域でもそこまで苦しくないのでしょう』

確かに、息苦しさは余りなくむしろ大地から力が湧き上がってくる感じが……


「って、そうだフェルのご飯用意しなきゃ

……あ、ヴァナは何か食べる?」

『声に出てますよ』



幸い、誰かに気づかれた訳でもなかったので

調理をそのまま再開した





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元勇者と先々代魔王の娘、今代魔王討伐に参戦!(ただし本人はただの町娘の出) かすかに存在する何か @koueisyoku

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