第2話 ジンニクタベタイ

僕は戸神恭ノ介。

16歳。高校二年生。

なんの特徴もない普通の高校生。

今日もいつもと同じ時間に起きて、いつもと同じような朝食を食べて、いつもと同じ道を辿って学校に向かう。

何もかもが平凡な毎日。

学校からの帰り道で見かける光景もまるで平和そのもの。

楽しそうにはしゃぎ回る子供。

その子供の右手には死んだ子猫の死骸。

幸せそうに肩を並べて歩く老夫婦。

その老夫婦の顔は血だらけ。

騒ぎながらふざけ合う高校生の集団。

その内の一人がナイフで自らの眼球をグサグサと抉っている。

至っていつもと変わらない風景。

皆幸せそうで、楽しそうだ。

本当に、という言葉をそのまま表したかのような風景だ。


僕には趣味がある。

それはすごく楽しくて、そしてハマると抜け出せない。

そう、ゲームだ。

僕はいわゆるゲーマーというやつなのだ。

ゲームは楽しい。

勝てば嬉しいし、敗ければ悔しくなって次こそは勝ってやると努力を重ねる。

ゲームは僕を成長させてくれた。

そして僕は今あるゲームにハマってる。

そのゲームは今までやったゲームの中で一番楽しい。

楽しくて楽しくて、興奮しすぎて……

……あ、やばいミスってしまった。

まぁいいかやり直せばいいもんな。

………よし、もう少し!

これを切り取ればクリアだ!

…………できた。ゲームクリア。

最高の気分だ。やっぱりこのゲームは楽し過ぎる。

よし、ということでゲームクリアの報酬を貰おうかな。

じゃあ遠慮なく!



僕の口の中が酸味で溢れた。

やっぱり美味しいなぁ。

ゲームクリアした後の……



僕がハマってるゲーム。

それは可愛い子をバラバラにするゲーム。

そしてその切り取った肉を積み木みたいに積み上げていくゲーム。

これが楽しくて仕方ないんだ!!


お母さんは僕がゲームをやって興奮しているのを見て


「あらまぁ。こんなによごして〜。ちゃんと終わったら片付けるのよ〜。」


と言って笑っていた。


そしてこのゲームの一番の醍醐味はなんと言っても最後のゲームクリアの報酬!!


一番上に積み上げられた肉を食べる権利を得られるんだ!


これが美味しくて美味しくて仕方ない!


少し臭みもあるけど、奥歯で噛み切る度に口の中に溢れてくる濃厚な味!


言葉で表すのは難しいから君も食べてみるといい。

あ、でもその場合は僕とゲームで勝負して勝てたら、だけどね!


さて、じゃあを探しに行くとするか―――。



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キチガイ 高岡 望 @archemikillsm

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