神が見守る世界で僕は - side story Ⅱ-
夜狸
- side story [風のおもいあい] -
- side story [ 風の思い合い ] -
僕の隣に愛しい君が居る
僕は声を出さず君に疑問を投げかける
今君の目に映っている相手は誰になるのだろう?
今隣に居る僕の事だろうか?
それとも道の先でこちらを見ている彼だろうか?
僕は声に出さずに自問自答を繰り返す
いつから君が家に居ない時間が多くなっただろうか?
いつから君が頼ってくれる事が少なくなっただろうか?
15年前に初めて出会った瞬間から君を愛してきた
きっとこの先もこの気持ちは変わる事は無いだろう
組んでいた腕が解かれる
僕から離れて歩く君
彼の元へて歩いて行く君を見つめる事しか出来ない僕
こうなることはずっと分かっていた
理解していたはずなのに
君の事がどれだけ大事な存在なのかもっと伝えられたんじゃないか
君と一緒に居る時間がもっと作れたんじゃないのか
後悔はしたくない
悔しくなんてない
ただ少し寂しいだけ
僕の隣に最愛の人が並ぶ
「あの子は幸せそうですね」
「同然だ」
"永遠の誓い"を神に宣言する二人を見つめる
「寂しいですか?」
「…」
二人に神からの祝福が輝くのを瞬きせずに見つめる
「懐かしいですね」
「僕達も
二人は祝福を送る友に"幸せ"な笑顔を向ける
「二人共幸せそうですね」
「幸せになって貰わなくては困る」
「貴方は今幸せですか?」
「当然だ」
「聞き返してはくれないのですか?」
「君は僕が幸せにしてみせる
聞くまでもない」
「…そうですね
聞かれるまでもありませんでした」
お互いの手の温もりを感じながら、僕らは二人に祝福を送った
-------
「と言う夢を見たんだよ、トキト君。」
まだ太陽が地平線の向こうから頭を覗かせ始めた時間
夢の中に居た僕は部屋を蹴破られる音で目を覚ました
今は"慌てて飛び起きるも状況が掴めない僕にディルク神父が語り掛けている"という状態だ
普段お世話になっている師匠が突然訪ねてくる事は構わない
10歩譲って、早朝と言うにも早過ぎる時間なのも良いとしよう
100歩譲って、扉の留め具が壊れているのも直せば元に戻ると思おう
1000歩譲って、寝起きに
10歳の僕に何を言っているんだとは思った
色々思う事はあったけど、10000歩譲って、話の聞き役に徹するのは全然構わない
でも!
でもだよ!
『僕の首に剣を当てながら喋るのはどうかと言いたい!』
少し動くと当てられた刃に沿って切れてしまうため、喋る事も出来ず心の中で絶叫する
まったく眼が笑っていない師匠が少し可笑しそうに話しかけてくる
「君も知っていると思うけど、
僕は返事も頷く事も出来ず、目線と心の中で返事をする。
『修行の日は自宅にお邪魔して親バカっぷりを目撃しているので知っています。
師匠は返事が無いにも関わらず、満足した様に頷きながら死刑宣告を告げた。
「それなのに、あんな夢を見るのは何でなんだろう?と考えた結果思ったんだよ。
"僕の注意を掻い潜って娘と仲良い
夢で居た男の顔はボヤけていて思い出せないが、その
僕は瞬間的に肉体強化の魔法を使い窓から全力で逃げた。
振り返る余裕なんか1瞬も無い。
目指すは師匠の自宅。
唯一暴走を止められる
「
朝の静けさを切裂く様に僕の絶叫と
- The end of the story [ 風の重い愛 ] -
追記
生き抜いた僕は、壊れた部屋の修理が終わるまで師匠の自宅で生活した。
殺り損ねた師匠は、僕の部屋が直るまで自宅への出入りとリーディアに会う事を禁止されたのは言うまでも無い。
神が見守る世界で僕は - side story Ⅱ- 夜狸 @yotanu
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