今の所、恒大破綻が世界的なリーマンショックを引き起こす可能性はない。しかし今後は「判らない」 ←雨様へのレスとしてm(_ _)m

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885841125/episodes/16817330662086628533/comments

>中国、そんな不味い状況なんですか。

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雨様、超遅くなりました…m(_ _)m

この問題、かなり深刻で重要なために見極めに時間がかかっていました。と同時にレスが非常に長くなってしまったので、こちらに別途、UPさせていただくことにしました。お手数ですがよろしくお願いいたします。


さて、今の所のワイの判断なのですが「中国はこのまま日本型のバブル破綻デフレに陥る可能性がある」です。また危惧されているリーマンショック発生により世界大恐慌の可能性ですが「今の所はその可能性は低いが、将来、リーマン級の世界金融破綻の原因となる可能性は残っている」、やや危険な状態と判断しています。


まず長期のデフレ突入の可能性ですが「ありえる」です。「なぜ〜」の本編で述べたように「ヤバイんじゃね?」と名前を上げていた不動産デベロッパーが次々と破綻しているのが現状です。「必ず発生する」と想定していたことであり、その事自体に不思議はありません。不動産は国内景気の成長ドライバーであり、ここが破綻したら経済成長が止まるだけでなく、多額の債務を抱え込んで失速するというのはかつての日本が経験したことです。既に中国では若年層の失業増加(=不景気なので企業が雇用を手控えている)や消費の減退という悪影響が出てきており、これがますます国内景気を冷やしています。重要な話として「新卒者の初任給が下がった」という事があり、北京大卒で約12万程度と一割以上の大幅な低下を見せているようです(本格的なデータが出たときには、更に増補します)。中国の場合、基本給を下げるという事はあまりしないようで大抵は補助金や手当などを大幅に削り込むというのが普通だそうです。なので今回のように新卒時の給与給付額を押さえ込む…というのは、始めから基本給を下げざるを得ないほど景気が悪く、また下げたとしても求職者がやってくるということから、既に相当、中国経済が失速しているということだと思われます。実際、中国の成長率はこの数ヶ月、事実上のゼロ成長です。日本を始め、世界の殆どの国でインフレが原因による高成長にあるなかで中国はデフレなのです(こんな国はあとはドイツくらいしかない…)。つまり「異常」です。


このパターンは日本のバブル崩壊の時に似ています。不動産バブルが崩壊した後、不動産を中心に途轍もない額の債務を抱え、成長ドライバーを失ったために景気が悪化していくのですが、他の産業はまだ不動産バブル債務の悪影響が及んでいないために対外競争力のある輸出業を中心に利益は出しているという「マチマチ」の様相が暫くは続くのでしょう。この結果として中国国内はまだあと数年くらいは「景気がよくない」程度のぬるま湯の肌感覚が続く一方で、株式市場は上げ下げを繰り返しながら長期的には下落傾向が続くと思われます。この株式市場の下落は外資を始めとして「カネが逃げていく」ということなので企業にとってはやがて不景気+資金繰りに困窮する…という状況に陥り、何かの契機で一気に崩壊してバブル破綻現実化…という流れです(契機が何になるのかは今の所わかりません…)。よって暫くは「キツい下落が続くものの、まだ踏みとどまっている」という状況で、この間に中共がどれだけ有効な景気刺激策が打てるか?…にかかっています。だめなら「日本化」です。


株価の動きを見ると日本のバブル崩壊よりも2015年上海暴落の時に似ていて、このときは発生から約半年でおよそ270兆円くらい消滅したのではないかと言われています(普通の国ならこの時点で終了…)。この時にも政府は総量規制(空売り禁止)などの諸策を打ったのですが結局成果はゼロ。年末に超大規模金融緩和による景気刺激策でかろうじて持ち直した…という顛末でしたが、今回、この金融緩和策が奏功するかは微妙です。

というのも既に2020年の新コロ発生以後毎年、中国は官民合わせて毎年900兆円近い借金を増やして景気刺激策を実施しているのですが、それでも今日のこの激しいデフレです。既にこの二年で日本の政府債務の二倍も増やし、しかも今年はもっと多いでしょう。これだけやってまだデフレでは、もはや打つ手はないのでは? そもそも金融緩和のカネは本編で述べたように(主に地方の)政府がノンバンクなどを経由して民間に投資しての刺激策で、このために地方政府はかなりの債務を抱えています。これ以上の債務を建てたいのなら増税するくらいしかなく、現在のデフレの状況での増税は(ますますデフレ要因となるので)自殺行為です。日本でもバブル崩壊時に消費税を導入したのですが、まだそのときには十分な余力もあってか特に景気の落ち込みはありませんでしたが、既に中国は落ち込んでいるので「債務を増やすための軍資金がない」という状況です。この状況を既に反映してるのが為替で人民元がジリ安です。


破綻するときには「資本」と「負債」とで分けて考えるべきです。資本は現金や株式、状況によっては不動産などの現物資産の事で、負債は社債(や国債・地方債)です。んで、資本は飛んだら終わり。負債は飛んでも終わらない性質のものです。よって破綻時はまず最初に株式と現金が消滅していきます。現金は債務返済に当て、株式は暴落したら保証されないのでタダの紙くずです。よって株式市場の下落がシグナルです。逆に債権(社債など)は最期まで残るので、まずは償還と利払のタイミングまでは大きな動きが出にくいとは思います。しかし連続して債権を飛ばした場合(その本数にも依るのですが)デフォルトであり、後から大きな影響が出ます。この時に真の危機が発生するリスクが出てくると思われます。カネを貸していた金融業者やノンバンクなどが不渡り食らって連続破綻し始めた時に大規模な信用不安が発生してそのまま国家破綻寸前まで追い込まれる…というパターンです。


よっていま株式市場がジリ下げだからとか、中国国内景気が思ったほど悪くない(よくない)とか、輸出は黒字だとか在庫調整が進んでいるとかいうことは「あまり関係ない」と見たほうがよく、デフレ(=経済成長率が低く、失業率が高い)というシグナルが今の中国では一番重要だと思います。ここが回復しないと本当に潰れるかも知れません。しかも中共は過去、五年に一度くらいのペースで大暴落を繰り返し、その都度、超大規模金融緩和でのみ逃げ延びてきた国家なのであり、このカラクリだけが「特色ある中国型社会主義」と豪語していた「ただの債権バブル経済」の実態でした。このマジックが現在、効果を全くあげていない事を鑑みれば、このままデフレ突入で没落…は十分にありえる話です。


なお、不動産バブル破綻後の展開は初期の景気刺激策が失敗すると、そのままズルズルと景気が失速し、あるタイミングでドカンを落ち込んだりします。そして大抵、谷は3回あります。一番最初の谷が一番大きく、その後、二度〜三度程暴落してようやく正常化するという長い道のりです。借金の額が大きければ谷は深く、苦痛は大きいでしょう。この谷をもたらすのが「負債」つまり債務破綻による大規模な信用不安です。

こう考えてみると、現在の中国は「資産」が崩壊しつつある状況での下落に過ぎず、この後、資産が尽きた頃から顕在化し始める「負債」の問題…債務破綻、それも不透明な融資をくりかえしてきたノンバンク系が吹き飛び始めて大谷に落ち込むのではないかと推察しています。それまでは「意外とこのまま生き残れるんじゃないか?」的な楽観論さえ出てくるかも知れません。幻想ですが…(爆

よって習近平さんは今すぐに立て直しにかかるか、先手を打って増税と債務整理に手を付け、ノンバンク系などの信用不安が発生しないようにあらゆる政治的経済的手段を用いるべきでしょうね。もう猶予はないと思います。今のままだと中国一人負けになる公算が大なのですから…


もう一つ重要な事に「日本のバブル崩壊とも違う」が挙げられます。日本のバブル崩壊の場合、1970年代を通じて行った為替介入により激しいインフレが発生。これが日本国内に多額の現金となって降り注ぎ、皆が金持ちになったためにインフレヘッジ行動として不動産などを中心にバブルが発生。経済力以上の好景気が多額の負債を生み出して、結果、破綻してTheEndなのですが、日本のバブルの場合、「資産」つまり現金や株式はバブル崩壊で消滅。「負債」の方は主に円建て債務であって「殆どが日本国内で、日本人相手の債務」だったということに注意です。


現在の中国のように多額の外債を抱えていたわけではなく、また外国人が日本の社債などを大量に購入しまくっていたというわけではありませんでした。外国人は主に現金で勝負し、その多くが東証などの株式市場です。カネがあったのは日本人の方で、海外の資産を買いまくったりしていました。これらの資産はバブル崩壊で一気に逃げ出したか消滅しました(その段階で清算終了)。大損した人は外国人を含めて「お気の毒さまでした〜」です。

他方、「負債」の方ですが、日本政府は外債を発行していません。政府系団体が外債を発行していたことは事実ですが、規模が小さいことと、外債購入者の多くが日系企業であり、これはすなわち「海外事業の事実上の補助金」に近しいものであり、償還に際しても特に問題が発生したことはありませんでした。民間企業が社債を建てていたはずですが、これらも順次償還されたようで、当時の記録を見ても多額の外債の不履行を伝えるものはありません。よって資産に関しては日本人・外国人を問わずに大損したか逃げ出したかで終了。負債に関してはほぼ日本人同士で喰い殺しあい、しかもデフレにハマって沈んでいった「日本人の自滅」でした。「日本円圏」という閉じた領域での破綻で終わったのです。

もう一つ言えば「日本の資産が消滅した事で世界が悪影響を受けたか?」ですが、当時は現在と違い、まだ大規模な投資を行っていませんでした。確かにバブル金で海外の不動産を購入したり、絵画などを高値づかみしていたことはあるのですが、これらもかなりテキトーで、またバブル崩壊に伴い売却せざるを得ず、「高値づかみした挙句、安値で売り払って大損」を繰り返しただけで終わっています。本格的な海外投資(長期のリターンを見込んだ計画的な投資)は90年代以後の話で、2023年7月のYCC緩和により日本の金利が上昇した際に「日本が世界中にばら撒いた350兆円規模の金が、日本に戻っていくのではないか…(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」と世界が「日本の資金引き抜き」に震えるような自体は発生していません。現在の日銀(つまりダミー会社や国債整理基金特別会計絡みの資産運用)+GPIFなどの国家投資戦略や、各民間企業の超大規模な海外投資はバブル崩壊に伴うデフレを嫌ってより金利が高く成長力があり、しかも労働賃金の安い途上国を中心に展開して行ったのです(ただし投資に関しては米国など欧米への投資の方がデカイ)。よってバブル崩壊時、世界は全くと言っていいほど影響を受けなかったのです。


これに対して現在の中国は約850兆円くらいの資産を海外に展開し、途上国などは中国からの投資に頼ってる場合も多々あります。このため中国本国で苦しくなった時に、これらの国がピンチになる可能性はあります。また中国国内に多額の外資が流れ込んでいますが、いまのところ「資産」に関しては急速に撤退中という事で、前述のように株式市場下落がその好例であり、人民元安がその証拠です。ここまでは日本のバブル崩壊と似ていると思われるのですが、中国債権に関してはかなり心配で「損切り」覚悟の売却がどこまで進んでいるのか不透明なだけでなく、500兆円前後の外債があるらしく、これが未償還になれば対外デフォルトとなるわけで、日本のバブル崩壊時には無かったリスクと言えるでしょうね…(・ัω・ั)



  ※     ※     ※

  


次に「リーマンショックのようになるか?」…ですが、「今の所、その心配はない。しかし…」です。

というのもリーマンとは構造が違うからです。リーマンの場合、まず不動産への投資があり、信用の低い人たち(サブプライムな人たち)の住宅ローン(=借金=債権)を資産として証券会社に販売し、その後、証券会社が資産として投資に回していた…という元々の構造がありました。このためローンを返せなくなった人たちが続出するに至り、住宅ローンが払えない→証券会社が資産として運用していた元金が元本割れ起こしていった。しかも証券化に際しての信用度が揺らいだために(何処にいくら焦げ付いたローン=証券があるのか判らなくなった)次々と隠れ負債が生じて大混乱したことに加え、CDSという金融デリバディブ商品の乱用がありました。この商品のために、自分の資金繰りの限界を遥かに越える債務を建てまくり、これが焦げ付き出したことで証券も債権も双方とも崩れていき、おまけに欧米(当時の日本を除く)はじめ世界各国の金融機関・証券会社や投資ファンドが連鎖的に破綻→資金繰り悪化を繰り返して自滅していった…という歴史でした。


こちらの内容です…m(_ _)m

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884987864/episodes/1177354054886417714



ということはこの構造が中国の債権絡みで存在していなければリーマンは発生しないということになります。今の所、この構造は確認出来ません。中国の不動産に多額のカネを突っ込んでいた中国国内外の金融業者がこのカネ(社債など)をベースに世界中で多額の投資を行い、しかも世界中で焦げ付いた挙句の果に世界が信用不安に陥る…という構造は、今の所は考えにくいのです。そのため、今の段階では「まずはセーフ⊂(^ω^)⊃セフセフ」です。


しかし先程述べたように今後、ほぼ確実に中国不動産など中華圏で、中国人民元建て債権や外債(ドルなどで起債or中国人以外が債権者)が債務不履行になったりということが予想され、その結果として世界中が多額の債務を背負うという可能性は十分にあります。この債務不履行の額があまりに大きい場合には欧米諸国の金融機関なども連鎖倒産or不渡り続出となった場合、もともと欧州金融機関は多額の簿外債務があると言われていますので相当厳しくなるかもしれません。特に現在のような高インフレのときにはリスクは高まります。

高インフレ=現金・証券・債権の価値が下がるということであり(この代わりに「モノ」の価値は上がる)、特に金融機関は国債(ソブリン債)を資本の原資としているのが通例です。ならば現在の高インフレ下では国債の現価もインフレで価値が減少しており、もし資本不足に陥り、この国債を売却して現金化したとしても含み損が出るわけで(満期まで保有していれば満額返ってくる計算)これは2023年3月に米国の金融機関が連鎖破綻したのと同じメカニズムといえ、この拡大版が中国債権などの不渡り・デフォルトによって発生するリスクは今後、出てくると思います。なので要注意です。


よって世界恐慌になった場合には、リーマンとは違うメカニズムになるかと思われます。元々欧米の金融機関がリーマンショックの時までに溜め込んでいた不良債権を「身を切る努力」で債務整理しきれておらず、多額の債務が残ったままになっている+長年の不正乱脈経営で更に債務を膨らませた…という経営体力が弱っている所に、今回の激しい高インフレでますます体力を失っているところに中国絡みの多額の資産(←債権は誰かの借金・誰かの資産。この場合、中国の借金は他の国の金融機関等の資産)がデフォルト食らって紙くず化してしまい、このために一気に崩れて世界恐慌…という感じの流れになるかも知れません。もう一つ言えば、現在、中国からの投資に頼っている国や企業〜特に発展途上国は、中国からの資金が途絶えて一気に苦しくなったりデフォルトになったりする危険性があります。こうした悪循環から、途上国などを中心に中国マネー消滅→引き抜かれた国や企業でデフォルト連発→欧米系金融機関から借りたカネも返せなくなる→欧米金融機関に飛び火…という事も考えられるかもしれません。特に欧州の金融機関は経営体力が弱いことはクレディスイスのあっさり破綻からも伺い知れることなので、その意味では「不安が一杯」ではあります。いくつもの人類金融破綻の可能性があるのです…


そうならないことを祈ります…m(_ _)m


よって現在は「中国経済の踊り場」です。習近平さんはゴマカシたり、小手先の方法で逃げようとせず、もはや多額の債務が露見することを覚悟の上で増税を含むあらゆる方法を用いて債務整理をすることです。日本が整理回収機構を作ったように、既存の回収機構ではなく新規により有用でより強力な債務整理業務の金融機関を立ち上げて一刻も速く債務整理にかかることです。これに失敗すれば本当に中国単独一人負けになるでしょうし、外国も友付で死んでしまうことさえありえる…という程、厳しい状況を認識すべきと思うのですが…


恒大集団の米国での事実上の倒産(チャプター15申請)が、中国版の日本型バブル崩壊→過剰債務による長期デフレ化…の端緒となる出来事だった、と後になって言われるかも知れませんね。少なくとも今の所は世界大恐慌の心配はひとまずないものの、今後、どうなるかは全く不明で世界恐慌になっても不思議ではない…という厳しい未来を覚悟して置く必要はあると思います。


やはり心配な、厳しい状況ですよね…(๑¯ω¯๑)

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