最近の激しいインフレで米国連邦政府はいくら借金を「潰す」ことが出来たか…?←400兆円以上(驚愕

2022年もそろそろ半分を終えようとしています。この年の6月は記録的な猛暑になっております。正直、死にそうです(爆


さて、この年は新コロ+ウクライナ紛争の悪影響で全世界でエネルギー不足・穀物食糧不足を伴う激しいインフレに見舞われています。他方、日本だけはちょっと例外で、多額の国債を抱えているために金利上昇→国家破綻の危機がある…という理屈から「イールドカーブコントロール」という金利操作のテクニックを駆使しているために、全ての物価上昇が抑え込めている…という、まさに奇跡のような平和な国になっています。


確かに日本でもジリジリと物価は上昇しているのですが(大体2%と言われている)、それでもたとえエネルギー不足のような状況になったとしても、日本のような高度な産業国家の場合「ある程度のエネルギー不足・食糧不足」で抑え込めるのであれば、ハイパーインフレや絶望的なレベルでのスタグフレーションは中央銀行の金利抑圧策で封殺することも可能…という実例と言えそうです。これは世界にとって素晴らしい事です。結局、インフレは金利によって決まるのであり、金利操作が破綻しなければ国家破綻はしないということです。もちろん、今後将来無限大の期間に渡って日本が破滅しないとは断言しませんが、多額の国債を抱えたからすぐに破綻するわけではないし、脆弱なわけでもないということでした。


では、世界を見てみると…なのですが、非常に興味深いことに気づきます。

ワイはいつも…


政府の借金はインフレ成長で消すもの(ꐦ°᷄д°᷅)💢


…と言っているのですが、「だったら今、この高インフレの時にいくら借金を潰すことができるのか?」という事です。


政府の借金がインフレで消せる理由は「金融抑圧」の項目で話をしたのですが、理屈は結構単純です。


【最重要!】「金融抑圧」←全人類を死滅させる、「インフレ」という「悪魔」の力を使う最凶魔法【超重要!】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884987864/episodes/16816700427303092626


インフレで債務を抹消するということは、物価高≒カネの価値が摩滅していくということであり、この「カネ」とは「モノ以外の全て」…つまり有価証券や手形といった金融品全てのことです。この中には「借金」という「カネ」も含まれます。よって国債という借金もインフレで勝手に価値を減損していくという理屈です。


たとえば、年収100万円の時に1万円の借金(≒国債)をしたとします。

この後で激しいインフレが発生して全ての物価が二倍くらいに上がったとします。この猛烈なインフレによって2つの事が発生します。


一つは卸業者(生産者)が消費者に価格転嫁することで「売上が伸びる」です。これは企業業績の向上に繋がります。儲かったのです。

二つ目はインフレヘッジ行動です。我ら庶民は、日々、物の値段が上がっていくのを実感します。なのでカネを後生大事に溜め込んでいても「無駄」です。出来るだけ早くモノを買っといた方がよいのです。今日、1000円で買えたものが一年後に2000円になるのなら、いま買っといたほうが得です。こうしたインフレヘッジ行動により、超意外なことに…


モノの値段が上がってるのに、モノを買うという消費がますます拡大する


…のです。このため国内景気は活況を呈し、庶民は旺盛にモノを買い、企業業績は上向きます。このため企業はカネが溜り、設備投資や雇用拡大にカネを回します。この結果、労働者の所得が増加します。これにより個人は「豊か」になります。正確にいえば「振り込まれる銀行口座の預金の額面が増える」ということです。


んで、年収が200万に増えたとします。この時、最初に建てた1万円の借金(≒国債)ですが、額面は変わりませんので1万円の借金のままです(ここでは金利は面倒くさいので考えない)。しかし所得は倍になりました。よって…


年収100万の時に1万円の借金をした

→年収200万円の時に1万円の借金の負担になった(←負担が実質、半分になった)


…という理屈です。総所得が増えたので借金の実質的な負担がその分減ったということです。これが「インフレで国債を潰す」の意味です。


もっといえば、この理屈から「全ての借金はインフレに弱い」のです。


典型例が不動産です。単価が高く価値が目減りしにくく、転売OKで、しかも販売戸数が大きいだけでなく「借金で買える」からです。借金はカネです。今年、1000万円で不動産を購入した後で、数年後に激しいインフレが続いていたら不動産の価値も上がります。不動産は現物資産=モノだからです。ということは購入時の数倍の価値に跳ね上がってる一方、住宅ローンの価値はいま説明した理屈で「実質、減っている」のです。だからこそインフレ時のローン(この場合は表面金利)は総じて金利が高いということです。この債権の実質的な価値の目減り分を穴埋する必要があるからです。


しかし国債は違います…(๑¯ω¯๑)

上がり下がりするのは市場金利であり、始めから国債に付いている表面金利クーポンは変わりません。なら金利が上がれば、付いている表面金利ごと国債の価値そのものが「減る」のです。


普通の政府はこうやって多額の債務を抹消するのです。特にインフレは経済成長を伴います(健全な産業国家においては)。なら経済成長して国富が増えつつ、「国の借金ガー」は逆に減っていく…これが正しい国債抹消のやり方なのです。WW2後の世界は(日本を除けば)基本的には全ての国がこのインフレ成長で多額の戦時債務を潰していったのです。


そこで今、この激しい世界的なインフレでどのくらい政府の借金が「減っている」のかを計算してみます。米国はおよそ3000兆円ほどの連邦政府債務をかかえていると言われています。どエラい金額ですが、米国はGDPも大体2.600兆円くらいあるバケモノ国家なので対GDP比は大したことありません。んで、この直近1年の平均インフレ率が8%くらいですから単純計算で…


3,000兆円→約2,778兆円(約▲220兆円)→2,572兆円(約▲206兆円)


…という感じで、わずか2年で400兆円以上も米国政府の借金を減らしたということです(驚愕)。EUの場合もだいたいインフレ率が6%くらいなので、似たようなペースで減っていきます。ただしEUは債権は各国に割り当てるという特殊なやり方なので直接の計算は出来ませんが、理屈から言えばこの2年で10%くらいは減らせたはずです。


実際にはこの減らした分と同じかそれ以上に国債を建てたりするものなので総額が減ってないことは十分考えられますが、これまた理屈から言えばたった2年で1/7くらいは「国の借金ガー」抹殺できたということです。このやり方の利点は「元本が丸々減っていく」ことであり、リボ払とは全く違うということです。元本が減るのですから、インフレが続けば、借金に関していえば「年々、ますますラクになる」ということです(庶民生活はたまんないですが…)。


この後、仮に日本で年8%のインフレが発生したとします…(๑¯ω¯๑)


すると日本の長期国債(国の借金)ガー、どうなるかを計算すると、一年後には950兆円相当に、二年後は約880兆円相当になるほど「減り」ます。わずか2年で150兆円相当の「債権価値の目減り」があったということです。新コロ後の財政出動で使った国債増発分が丸々消えて無くなるということです。逆に言えば、「後でインフレで取り戻すのだから、多額の債権発行で新コロパンデミックの危機を乗り切る」という決断をした政府があったとするならば「正解」ということです。


五年も続いたら300兆円分消滅したことになり、財務省にとっては大変結構なことでしょう。とはいえ、我ら庶民生活に関して言えば、ガソリン一リットル約300円。自動車購入価格が軽自動車でおよそ250万円。月々の光熱費が二倍、食料品価格も三割増し〜二倍。パンが五割、肉が三割、野菜は三割から下手したら二倍(特に季節モノや生鮮品は)で、家賃も8万円→18万円くらいの値段になっている世界なのですが…


実際にはもっと複雑で遥かに厄介なことになります。インフレ上昇は金利上昇を招き、庶民生活だけでなく国債の利払い費用が爆増したりとか、日銀の当座預金の520兆円分の金利も上がる…などの問題も出てくるのですが、これまでの世界および日本の「国の借金」と違い、最大保有者が日銀であり、また政府系を含めれば実に七割くらいが債権者という、おそらく人類史上初の試みをしている超特殊な環境の日本です。日本(政府)の借金を日本(人)が持ってるようなものなのですから、なんとかなりそうです(爆死)。


しかも米国の金融抑圧の事例を見ると、FRBが当時のGDPの三倍近い額の国債を購入していた事も重要です。そのくらい抱え込んでいてもFRBも米国政府も破綻していないということです(←それで良いのかはまた別の検討課題)。派手なインフレと中央銀行をうまく使えばGDPの三倍の借金も乗り切れる…という実例です。物凄いインフレ地獄が待ってるのですが…


でも日本もいずれ、こうしたインフレ成長で多額の国債をすり潰す以外には方法はないんですけどね… (;一ω一) ジィー



P.S.

米国金融抑圧時のデータはこちら…m(_ _)m

https://kakuyomu.jp/users/magmag_folder/news/16817139555841739166

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る