日本が国家破綻する唯一のリスク「金利差攻撃」について←TRADEWIND様へのレスとして…m(_ _)m
こちらにTRADEWIND様からコメントをいただきました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884987864/episodes/1177354054886380315/comments
>2022年6月日本国債を巡り、日銀対ヘッジファンド対決が有るそうですが、もし日銀が負けると、私達の生活はインフレ何%位まで上昇して苦しくなるのでしょうか?
大変重要で、しかも極めて深刻な内容だったため別途、こちらで話を進めることにしました。内容は「日本が唯一、国家破綻するかもしれない可能性について」という大変重要な内容です。この形だけは心配しなくてはならないパターンです。「1992年、英国ポンド暴落危機」と同じパターンです。いま、この「金利攻撃」の形が進行しているのではないかと思われたので急遽UPしました。ちなみにこのご質問に対するワイの答えは「日銀敗北時は国家破綻」なのでインフレ率は「どこまで上がるか分からない」…というのが答えです。よって深刻です。
ぜひ、ご一読いただけましたらと思います…m(_ _)m
※ ※ ※
TRADEWIND様
いつもありがとうございます…m(_ _)m
本当に感謝しております。TRADEWIND様はじめ、皆様とこの場で討議を詰めることができることはむしろ私にとって感謝でしかありません。長い文章ですが、ご覧頂きありがとうございます(^^)/
さて、頂いた内容ですが「極めて深刻」です。ストレートにいうと「日本の敗北」の可能性があるということです。無論今回、ヘッジファンドに日銀が押し負けることはないとおもわれますが、この形を繰り返すようだと「いずれ敗北する」という事を覚悟するしかありません。そのくらい現状は深刻です。
ワイが最も恐れている「日本の敗北の形」です。逆に言えば「この形以外で日本が破滅する可能性はない」という唯一の敗戦のパターンです。1992年のポンド危機と同じ形であり、日本円唯一の脆弱性を
今回、ヘッジファンド始め日本に攻撃を仕掛けてきた連中の形は日米の金利差に目をつけたことによるものです。日本以外の国は激しいインフレに襲われています。理由は以下の3つです。
・新コロ時に莫大な量の金融緩和によって、カネが溢れた
・新コロにより生産物流活動が滞り深刻な物不足となった
・ウクライナ戦争によりエネルギー・食料価格が高騰した
…ですm(_ _)m
全て「カネの量 >>> モノの総量」の作用を生み出し、物価上昇インフレを招いています。これは逆に「カネの量が多すぎるから、回収すべき」という動きになり、そのために短期金利UP→長期金利も上昇(≒全般的な金利上昇が貸出や投資の負担金を爆増させる)→経済活動緩やか→モノを買わなくなるので「不足分の総量が減る」→インフレ終熄…という感じです。この後で、高くなったインフレ率に賃金上昇率が追いついていけば…
バブル発生ヽ(^o^)丿
…ということになります。ならなかったら生活苦のままです(爆
他方、日本は逆です。多額の国債を発行してしまったため、国債の金利が上がると日本国が国家破綻するので、逆に「長期に渡って金利を抑圧しよう…(๑¯ω¯๑)」という決断になり、その結果、「死金(≒タンス預金)」が大量にたまりました。市場で動かなくなった現金は「ないのと同じ」なので結果、「カネの量 < モノの総量」の状態が続きデフレってるということです。また超低金利になると「投資(≒バクチ)するより、使わないで将来にとっといたほうがいい」という「流動性の罠」が発生し、日本はこれにドハマりです(T_T)
よって、現在の世界が死にかけるような物不足インフレでも、日本にとってはまだまだ「ちょっとモノが足りない(特にエネルギー)」程度なため、インフレ率が他の国に比べて圧倒的に低いのです。例えるなら、元々の体温が物凄く低い低体温症だったのでインフレというカンフル剤打ち込んでも体温があまり上がらない…みたいな感じです。もっと言えば日本のデフレはそのくらい深刻です。ほぼ全て「市場金利がゼロ金利だから」で説明は出来ます(多分…
このため世界(特に米国)は金利を上げざるを得ず、逆に日本はまだまだデフレなので「なんでもいいからインフレになってくれないと困る」ために、逆に金融緩和を続けて資金供給すると同時に金利を強引に押し下げて国家破綻を防いでいます。というのも日本はデフレで経済成長率が低いために、ドーマーの定理日本版によれば「金利>成長率」が長く続くといずれ国家破綻するからです。日本は「金利を抑圧せねばならない」という考え方だからです。
ワイは、このYCCというやり方が間違えていると確信してますが、財務省および日銀は続けるつもりのようです(不安…
このため日米は金利差が広がります。この金利差を狙ってきたということです。
米ドルは金利上昇により買われます。同時に日本はデフレであって、例えば経済成長力が低いとか貿易赤字が大きいとか多額の国債を発行しているとかの「不安要因」から円の将来性が疑われる…ということになれば、円は売られます。円が売られると市場に円(≒国債)が大量に出回り、その結果、金利が上がります。国債と金利の関係は逆比例の関係で、
・国債が売られるということは、ヤバいと感じてるので売却している→市場に国債あふれる→なら、金利を高くつけないと買ってくれない→金利の支払いができなくなり国家デフォルト
・国債が買われるということは、価値ある安全資産で欲しいと思うので購入している→市場から国債がなくなる→なら、金利は低くても出てくれば買われる
…みたいな感じです。日本はこの時、日銀および政府系金融機関が日本国債を大量に購入することで市場から国債が失くなり金利がゼロ近辺に落ち着く(逆に日銀に500兆円以上の国債が溜まる)という事なのですが、ここにガイジンなどが不安心理を背景に「売り浴びせ」を仕掛けてくるという事です。
日銀は、短期国債の総量規制によって短期金利(≒政策金利)をマイナスまで誘導し、この後で「金利の期間構造」という理屈で長期金利を調整しています。
雑に解説すると、短期金利市場での日本短期国債の売買は各市中銀行が日銀の口座に振り込んでいるカネ(=当座預金)で行います。なら、国債と金利の関係から「国債を売りまくるカネがなければ」金利は上がらないので、だったら「当座預金の中に入金する総量を管理すればよい」というやり方です。これが日銀の総量規制政策です。このために実に当座預金は520兆円も溜まっているのです。
そうすると短期金利はマイナスにもっていける。そして金利は短期金利→長期金利→超長期金利の順番で上がっていきます。この低→高の金利勾配をイールドカーブといいます。そこで日本国債の総額の金利を10年もの国債の金利と仮定し、この10年もの国債の金利を事実上ゼロにすれば「日本国債の金利がゼロになった」ことに等しくなる…という政策です。
この時にもう一つ重要なのが「連続指値オペ」で、10年もの国債の金利を0.25%くらいに持っていくための操作です。「市場金利なんぞガン無視で、この年限の国債を、ワイの言い値で(通常は市場金利より高い)買いまくったるわ」的なやり方です。
たとえば1年もの国債(1%)、10年もの国債(2%)、20年もの国債(3%)の時、「10年もの国債を100枚購入する=1年もの国債50枚+20年もの国債50枚」なので、20年もの国債を3%以上で日銀が買いまくる…だったら…
保有者(๑¯ω¯๑)っ「ワイ、20年もの国債、売ったろ」←より高い金利で買ってもらえるから
…という動きになります。もしくは10年ものを買わずに「1年ものと20年ものに分けよう」という行動になります。20年ものの方が金利が高いのでそっちをゲットして、1年ものは短期市場で運用して利益をあげようという感じです。
この結果、イールドカーブをコントロールすることが出来、10年もの国債を0.25%程度に維持し続けられてきた…ということです。そうすれば「日本は国家破綻しない」という操作です。
ということは、日銀はこのラインを死守しようとしているということです。ならば、売りを浴びせれば必ず日銀は日本国債を買い支える。ヘッジファンドは儲けを出すことが出来、しかも万が一に日銀のカネが尽きたら金利は急上昇し、同時にカネが失くなり国家と中央銀行は事実上、破綻する…というメカニズムです。
いままでは日本と世界の金利差がそれほどなかったので、日本円を売り飛ばす理由がなく、売り飛ばしても特に利益にもならないのですが、現在は日本円(国債)を売り飛ばしてカネをゲットした後、金利の高い米国債を買いこめばよいと考えることができるために、金利の価格差が大きくなった時には「弱い国の方を売り」という圧力が生じ始めるということです。「金利の利払いは国家の負担」、そして「金利は限界がなく上昇し続ける」ということです。
国家破綻するまで延々と…です(:_;)
問題なのは日本国債の比率の割合で、短期国債は総額120兆円前後の規模に対して外国人投資家は70兆円を超えていることです。他方、長期国債は1000兆円の内、外国人保有割合は60-70兆円くらいなのではないかと言われています。短期に物凄く偏っているということです。
もう一つ重要なのは、日銀のYCC(イールドカーブのコントロール)に対して日本と世界の関係者の間に著しい乖離があることです。日本人は「もうしばらくYCCを続ける」と考えているのに対し、世界の市場関係者は「日銀がYCCを続けることは限界」と考えていることです。このため主に外国人が国債を売り飛ばしにかかってきたのではないかと想定できるのです。
やり方なのですが、日銀による短期国債総量管理というグリップ+連続指値オペによるイールドカーブのコントロールは相当強力で、特に短期国債の総量規制では長期に渡って容易にカネの出し入れが出来ません。なので今回のガイジン勢などによる金利攻撃は、先物市場において行われているのではないかと推測しています。国債の各年限での金利差(=イールドカーブ)の他に、同じ年限の国債においても将来の金利に対して先物取引出来るので、この先物市場で国債を売り飛ばしにかかってるのではないかという事です。日銀の現在のYCCは主に国債市場での金利管理であり、先物での金利管理についてではないからです。
もちろん、国債先物での取引は総量規制(≒空売り規制)もしくは購入などの手段があるはずなのですが、それらの手段は市場を歪め、決して良いことではないばかりが、あまりこちらに関しての情報を聞いたことがありません。日銀などが「これから対策を建てる」という未開拓の分野だとしたら、此処が現在日本の弱点であり、やはり危険です。何かの対策が必要になると思われます。
今回は一時的な事で終わるのではないかと推測しています。売れば儲かるのでヘッジファンドが損することは基本的なはないのでしょうが、操作は空売りなので爆死するリスクも十分にあり、ある程度で撤退する〜ガイジン勢が日本のYCCに関して読み間違えた…で終わるような気がしています。
しかしこのメカニズムでいずれは超大規模な攻撃を受け、同じメカニズムで買い支えできなくなるまで殺られた1992年の英国ポンド危機と同じことが起こらないとは言えないのです。
この話はまだまだ展開にしろ手段にしろ分からないことが多い話です。
なので何かが分かり次第、早急に続きをUPします。
この金利攻撃は唯一、日本が敗北する可能性のある脆弱性です。
恐ろしく危険なのです…m(_ _)m
※ ※ ※
P.S.
一応補足なのですが、もし日本がこの金利攻撃でヘッジファンドに敗けたらどうなる?…という話もします。結論からいうと「半年程度で劇的に復活するv(^^)v」です。意外かもしれませんが…。
実際、1992年のポンド危機の後の英国ではポンドが大暴落したために輸出競争力が復活し、また海外投資額が大きかったためにリターンも爆増。観光旅行客なども安いポンドに惹かれて英国大賑わい。なにより英国人が「ポンド紙切れになる前に、モノを買っておこう」というインフレヘッジ行動により急激に景気回復。しかもポンドが紙切れになったので政府債務も紙切れになった…みたいな感じです。
そうやって書くと「なんか良い事だらけ...(゚∀゚)!」に思えるかもしれません。しかし当然のことですが「みんなの預金も紙くずに成り下がる」+「凄い物価高」というダメージがあったことをお忘れなく。
経済はこんなものです。強い国の準国家デフォルトは、大体こんな感じですかね?
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ちなみに本編では、この話数に相当します。
「2150年代末、日本は通貨危機を迎える(その3) 〜日銀ETFと投機筋による円浴びせ売り〜1992年の英国の寒い春の日のように・・・←これはあり得る可能性」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884987864/episodes/1177354054887005613
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