何時も楽しみに拝読しております。
現実状況へ移動してみると、2022年6月日本国債を巡り、日銀対ヘッジファンド対決が有るそうですが、もし日銀が負けると、私達の生活はインフレ何%位まで上昇して苦しくなるのでしょうか?
1945年の敗戦後の預金封鎖、新円への切り替えの可能性の程度はどのくらい有るのですか?
作者からの返信
大変深刻な話なので、こちらに別途、俎上いたしました。
結論からいうと日銀敗北は日本国家破綻なので、ハイパーインフレになるということです。こちらをぜひともご覧ください…m(_ _)m
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885841125/episodes/16817139555881995901
先送り、これが実は一番使える技だったんですね。
しかし、不安定な経済が、何かのきっかけで破たんするのを押さえることは出来ない……
どーなっちゃうんでしょうねえ。
作者からの返信
ぬまちゃん様…m(_ _)m
いつもありがとうございます。この「先送り」、いずれ我々人類にとって出てくる話だと考えています。つまりこの話数は「重要」なのです。人類は今日の時点で推定で6-7京円もの官民債務を抱えています。この学は日本の長期国債(事実上の国の借金ガー)の60-70倍というとんでもない規模で、全人類のGDPの八倍を越えようとしています。つまり戦後日本のような300倍の物価高にでもならない限りは消滅しないだろうという事です(あくまでたとえ話ですが…)。
もう一つ言えば、この本文を書いたのはかなり昔で、まだその頃は安倍政権であっただけでなく新コロやウクライナ紛争などというパンデミック・エネルギー不足・核戦争の危機・世界体制の崩壊…というような事を「全く想像さえしていなかった」ノンキな時代の内容です。この時にはまだ債務破綻回避の方法もあったと思うのですが、現在、特にパンデミック回避のための莫大な金融緩和は同時に莫大な債務を更に積み増す事になったという悪循環です。
この時の内容は、この時代に言われていた「ヘアカット」論〜つまり政府債務の一部を抹消するという議論が起こり始めていた時期でした。まさに「国債の一部を破って捨てる」という事で、具体的な方法論の提示はなかったものの、「一般論」として言われていたやり方としては中央銀行に溜め込んだ国債をそのまま特別時限立法などによって消滅させるというもののようです。これだと中央銀行が多額の損失を出すということですが、そもそも中銀は市場からは独立した存在であり、債務および金利は市場で発生する事を考えれば「現実には損失は発生しない」ということです。とはいえ徳政令には間違いなく、これでは債権の信頼性が毀損してしまいます。
とはいえ、スイスはクレディスイス破綻時にAT1債を全損させましたけどネー(  ̄ー ̄)y-~~
当然、債権は株式や現金などよりも信頼性が高いものとされ、その信頼性とは「株式や現金は会社や国家が飛んだら終わりだが、債権は(ごくわずかであっても)返済義務が残り続ける」という保証のことでした。これがAT1債では破られたわけですが、しかしだからといって全ての債権の信頼性がゼロになったわけではありません(しかしAt1債の市場はいまなお大混乱中…)。
そう考えるとやはり中銀の国債を破って捨てても問題がないとはいえ、一番重要な信頼に関しての毀損が発生するのは確かに問題とは思います。また日本の国際整理基金特別会計のように、国民に内緒で中央銀行などが溜め込んだ日本国債をコッソリとダミー会社(いわゆるノンバンク)を作って国内外で資産運用してる…それも730兆円もの規模でやってるなどという「けた外れにトリッキーな」国でもない限りは、発行しすぎた国債をどうするか?という問題に直面するとは思います。このため一旦、整理債務機構のようなものを作り、此処に国債を移して(買い取らせ)その後で資産運用に回す(債務の償還作業)という、要するに日本の国際整理基金特別会計とほぼ同じことをする以外にはないんじゃないのか?…とワイは思います。このやり方は「日本が国家破綻していない」という厳然たる事実からも「超有効」ということです。
問題なのは「外債」の方です。日本は政府外債は存在せず(かつては存在した)、また政府系金融機関が定期的に外債を立てているものの償還に全く問題は生じない程です。しかしこんな国は日本とアメリカを除けばほぼなく、韓国の70兆円もの外債(推定値)が「尋常でない」とワイが騒ぎまくっている一方で、実は「韓国よりも遥かに悪い国がいくつもある」という事も判っています。トルコなどがそうであり、実態がよく判らないもののフランスやイタリアなどは当然、昔から外債を立てまくっています(イタリアの信用不安はこの外債の額がやや大きいからと想定)。それどころか官民合わせて…という話になれば中国が400-500兆円規模もの外債を立てているらしいという推定がブルームバーグなどで度々流れていることから「吹っ飛んだら世界が終わってしまう…(ガクブル」というほど酷いありさまです。
外債は非常に厄介な性質があり、一般国債とは似て非なるものです。「外国人のカネを当てにする」という違いしかないのですが、これが決定的な差になります。
一般国債…たとえば日本国債は大体1000-1200兆円ほどあるのですが、自国建て通貨国債(日本円で起債している)の場合、何度も本編で述べているように「金利がなければ、皆のタンス預金を引っ張り出してくるだけのただの紙切れ。なので国債の金利分が本当の通貨供給量の増加分」という話と、「金利≒インフレ成長率」になるという話から「自国建て通貨国債=現金+経済成長率」ということが導き出されます。よって国債を増発すればするほど現金が増えるか、経済成長するかのどちらかということです。日本の場合は超低金利なので経済成長しない代わりに現金がやたらと増え、気がつけば国民資産M2は2100兆円を超えるほどです(爆死)。逆に米国などでは政策金利・長期金利も2-3%くらいはあるのでその分経済成長し続けています(そして現金もかなりの量、増えている…うらやま)。
なので自国建て通貨国債は現金と経済成長に寄与するということです。これが良い面だとすると、悪い面は「貨幣の中立説」から「結局、お金をバンバン刷ると物価高になることだけは確実」という経験則から「物価高」という「インフレ」になるわけで、これはインフレが経済成長をもたらすのと同時に物価高になる(てか、物価高そのもの)という理屈からも矛盾なく「物価高で庶民は生活苦になる」という事は悪い面といえるでしょう。しかし物価高によって自分の預貯金や給料が増えるとも言えるわけで、「そんなもの…」と慣れてしまえばそれまで。稼ぎが増えたほうが気分的に楽しくなるのはいつの時代でも同じです。
ところが「外債」は違います…m(_ _)m
外債は「外国のカネで起債する」ということです。たとえば日本の政府系金融機関が米国でドル建てで債権(社債)を発行するとか、韓国輸出入銀行がブラジルで鉱山採掘事業に伴い日本円で起債する…などというパターンです。この時を考えてみます。通常外債は、普通の国債よりも遥かに高いものです。数倍の金利が付いていて全くおかしくありません。理由も簡単で「頼む、カネ貸して(泣きつき」だからです。実際には日本の政府系金融機関の外債のように外国で起債したのに現地の日本企業(住友系とか)がこの外債を買っちゃってるということもあって「それってただのお小遣いなんじゃね?」な場合もあるのですが、それを除けば大抵は国内で国債を発行しても十分に消化しきれない(国内金融機関が弱い…など)ために外国人のカネに頼っているわけで、そのためより高い金利で確実に購入してもらうのが常です。このため永久債もしくは超長期債になってることもよくあるのですが、しかし「リスクがやや高め」ということは判っているし、長期保有してもその間のインフレによって外債の価値が減少してしまうために普通は第一回の償還時に奇麗に償還されてしまうものです。よって外債を建てる方は「ぜひともカネ欲しい」、外債を買う方は「高い金利で利回りが大きい」というメリットのために成立しており、償還までの時間は短い(長いと外債を建てた方は金利負担がキツい。外債を購入した方はインフレによって債権そのものの価値が減って損する)のが普通です。
ということは、外債を建てた国からすると「短期的には金利負担がキツい」ということになります。これは「インフレ率が過剰」になる元凶です。
他方、外債は外国のカネ(外国建て通貨)なので、例えばドルで建てた場合、自国通貨ではなくドルで返済しなくてはならず、そのドル返済のカネは「外国人に持っていかれてしまう」ということです。ある意味当たり前です。ガイジンが買ってくれたのだから、ガイジンが借金+利息分を持っていくのは当然です。
ということは「長期的にみればカネが国内に残らない=カネ不足」ということです。つまり「デフレ要因」なのです(恐怖…
これが外債の恐怖です…m(_ _)m
短期的には過度なインフレ上昇によって庶民生活が圧迫され、国民が困窮化するために国内の金融機関に資本力が蓄積できず、また貧富の格差が増加し社会不安の原因になります。他方、長期的には国内にカネが残らないためにカネの総量が増えない=「貨幣の中立説」的にいうなら、お金がバンバン海外に逃げていくのでカネの総量が足りなくなり物価は下落傾向になる=カネ不足によるデフレ=経済成長率低下ということになるわけです。
これが現在の韓国というわけです(即死
そして他の多くの国がこの地獄スパイラルに陥ってるのです(恐怖…
そして外債に関しては「徳政令は出来ない」ということです。外国人が大損する=その国が大損するということで、良くて国際問題。最悪、戦争です。そしてロシア革命の後、列強がソビエトに軍事介入した理由がまさにこのロシア帝国の時に欧米に対して建てていた帝国外債を、新生ソビエト政権が「引き継がない=踏み倒す」と言い出したからなのです(爆死
なのでこの話数の「債務先送り」というのも自国建て通貨にのみ言えることなのかもしれません。
とはいえ、日本も帝国の時に多額の外債を建てていて、これを戦後1985年までかかって奇麗に償還した「偉業」もあるので、やりようによっては「可能」ということかもしれません。この話は今後とも繰り返し出していくつもりです。現在の情勢を勘案しつつ、今後ともよろしくお願いいたします…m(_ _)m