語り部、紐を綴じる

 これが後に、倭健となる少年の最初のお話。


 この後、出雲へ行ったり、父親と一悶着があったり、色々と失っては何かを得たりするのだけど、今日はここまで。


 面白かった? それなら良かった。


 あの子やあの子の周りいた人々の生きた証が。


 あなたたちの心の中に一欠けらでも、ずっと残っているのなら。


 語り部冥利に尽きるっていうものだわ。


 もしかしたら、あなたたちが歴史に名を残したのなら、後の世にあなたたちの事を語るかもね。


 そこまで生きてないだろって?


 それは分からないわよ~?


 言ったじゃない。


 今に伝わる神話とは全くとは言わないけど違う、けど確かに起きていた真実って。


 なんで知っているかって訊かれてもねぇ。


 そうね、敢えて言うのなら。




 登場人物だから、かしら。




 ふふ、なんでもないわ。


 さて、そろそろお開きしなくちゃ。


 白鳥絵巻、序の巻。これにて、おしまい。


 続きを語るのは、また今度。


 どうかその時も、あなたたちがここで笑っていることを。


 切に、願うわ。

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白鳥絵巻 空廼紡 @tumgi-sorano

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