圧倒的筆致で紡がれる、極限の生存戦《バトルロイヤル》。

見るものを圧倒するような文章に、あっと驚く展開。第一章にして衝撃的などんでん返しを何度も仕込む卓越した構成力には度肝を抜かれた。作者氏はきっと、人の驚く顔を見るのが好きな悪戯者なのだろう。本編全体に張り巡らされた巧妙な伏線や、何処か壊れた登場人物たちの抱える歪んだ願望。破綻しているようでいて、奇妙なバランスで成り立っている独特な作品世界に酔わされること必至だ。


本作は悪魔と人間のバディによる異能バトルものの体裁を取りつつも、ミステリーのような伏線回収や、純文学めいた登場人物の内面描写が盛り込まれることで、作品世界に屈折した奥行きを持たせることにも成功している。能力バトルものの醍醐味である、誰が退場するか分からないサスペンスも、序盤にして十二分に発揮されている。


視点切り替えの多用や、急速すぎる展開、よく言えば特徴的、悪く言えば倒錯的な女性キャラの描き方には賛否ありそうだが、巷によくあるネット小説に食傷気味な方は是非一読してみて欲しい。私は大変好みでした。最終局面ということで、本作の結末を見届けられるのが今から楽しみです。

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Desire/Disaster

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