第2話 己の在庫調査
創作は、「たった一人で、戦わなければならない」と戦慄したのではなく、
「自分一人で、好きな方法で、思う存分戦える」と歓喜したのだった。
下手に仲間達がいると、あれこれ問題が起こって、内部分裂したりするかもしれないし、最悪の場合、味方同士で同士討ちをやらかして、敗北するかもしれない。
仲間とはいえ、所詮他人に口出しされて自分の戦いを邪魔されるくらいなら、たった一人で戦った方が遥かに気楽だし、やりやすい。
創作という男は、そう考える人間で、そういう性格なのである。
さあ、行こう。
歩き出した創作は、眼前の奇妙な町に入る前に、簡単な調査をすることにした。
「己の在庫調査」である。
自分には、何があって、何がないのか?
その時、創作は自分が来ている服の胸ポケットに、ある物体が入っていることに
気づいた。
何だろう、コレ?
取り出してみると、その物体は、ぬいぐるみだと分かった。
猫や兎や犬を合わせたような、一風変わった形状の、小さな小さな、ぬいぐるみ。
こんなものは、持っていなかったはずなのに。
少し戸惑っていると、驚くべきことが起こった。
「気分はどうですか?神野創作」
ぬいぐるみが声を発したのだ。
綺麗な、女性の声だった。
その異世界の名は、ギジンカ 小渕マーサ @family
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