その異世界の名は、ギジンカ
小渕マーサ
第1話 たった一人の戦い
今まで数多のトラブルに遭遇してきたが、これほどまでに荒唐無稽で奇想天外で摩訶不思議なものは無かった。
神野創作は、どこまでも広がる青空を見上げながら、そう思った。
視線を上方から前方へと移動させる。
彼の目の前には自分がついさっきまで生まれ育ち暮らしてきた場所である現代日本の街並みとは全く異なる光景が広がっていた。
中世ヨーロッパ・三国志時代の中国・古代ローマ・江戸時代の日本・その他色々。
多種多様な人種・時代・国家・文化の特徴が混じりあったような、奇怪な姿形の人々が暮らす風変わりな町が存在していたのである。
創作は自分が完全な孤独なのだと理解した。
たった一人で、この恐ろしく異常な状況に対処しなければならないのだと認識した。
普通なら困惑して、己の身に突如降りかかった前代未聞の大問題を嫌悪し、自分は、なんて不幸だと嘆くのだろう。
だが、神野創作という男の反応は全く違ったものだった。
彼は喜んだのだ。
この、あまりにも突拍子もない事態について、ラッキーだと思ったのだ。
いいじゃないか。
思う存分やってやるぜ!
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