第5話 Nucleus
莫大なエネルギーを消費することで長寿命、長時間生産を可能にしたのは旧世紀の出来事だった。原子力エネルギーや再生可能エネルギーを組み合わせ、現在でも便利な生活を成り立たせるためのエネルギーを賄っている。ここ五十年ほどで実用化にこぎ着け、持て囃されているのは核融合発電である。原子核の分裂反応を利用して熱量を取り出す原子力発電と真逆の反応でしかも放射性物質をあまり出さずに済むこの発電方法は、二十世紀から注目されていたが、反応を引き起こす事と反応を続けさせる事の困難さから中々実用化されずにいた。それが今や、街に電力を供給するようになっている。人類のエネルギー問題はおかげでかなり改善されている。もっとも、反応により放射性物質を生じないとはいえ、炉の内壁は放射化してしまう。またトリチウムの取扱にも慎重にもなる。この辺りは運用しながら規制が整備されてきているがテクノロジーの発展に法律が追いついていない。核融合発電所の保守管理や運用にも当然のように人工知能が用いられている。日々の業務は大半が完全自動化されており、人間の仕事なぞおまけ程度でしかないのが現代だ。
エネルギー問題をテクノロジーが解決していき、環境汚染を避けてエネルギーを生み出す方向へシフトした。その結果、太陽光発電は地上だけでなく宇宙にも広がった。
philosopher アカイレイ @kimryo
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