マル サンカク シカク
めるえむ2018
第1話
→全暗
→OFFのナレーション
→もしくはマル自身
マル この世で一番の女優さんはハヅキレイナちゃんです
ハヅキレイナちゃんは去年の夏
「平成羅生門」という舞台で演劇ニューアロー賞をとりました
朗読劇でした
かっこよかった
やっぱアルタミラ龍子の台本はかっこいい
アルタミラ龍子×ハヅキレイナちゃん
うっとりだよ…
とゆーわけでー
これが今年の大会台本ね!
→溶明
→三人いる
マル
シカク
サンカク
マル と渡された
シカク 待ってコレ…
サンカク コレわ…
マル なのよー
シカク なのよじゃない!
マズイッショ!
マル まずいけどー
却下きく?
サンカク シカク きかなーい
マル 女帝だもんねー…
→マルがそのまま女帝になる
マル女 ハル先輩の言ってるのは過去のうちの演劇部であってえ
私たちは私たちりゅうの演劇部をつくっていけばいいんだと思いまーす
→シカクも女帝になる
シカク女 何で既成やるんですか?
私けっこう書けますよ?
自信あるし
上、連れていきますよ
まかせて下さい
マル女 えー
それがー
思ったより手間どっててー
やっぱ既成でいーです
でも私、クラモトの役で!
シカク女 それがー
クラモトの役アタシにマッチしてこなくてえー
いいですオリまーす!
マル …と大会一週間前に投げてくれたよね
シカク ハル先輩が一週間でキャラづけして、本番
それが去年の秋…
サンカク 優秀賞すらとれなかったねー
マル そして春
オリ台書いた
評判よかった
脚本賞とった…
だからって…
マル シカク うーん…
→サンカクは黙っている
困っているのは同じだけど
黙っている
やがてひとこと
サンカク バレなきゃいいよ
マル シカク ええーっ!!
→暗転
→溶暗
→また三人でアタマつきあわせている
マル 聞いた? ゼロの話
シカク 聞いたー
マル よりによって何でDVDが大会前日発売になるのよっ
シカク 人気だから ハヅキレイナちゃん人気ちょーバクハツしちゃったから
→間
ものすごーい間のあと
サンカク バレないかもよ?
マル バレるよ! 芝居すきだから演劇部でしょみんな
サンカク いや最近は芝居なんか全然知らなくて声優なりたいとかで来る子とかも多いし…ねえ?
→同意を求めるように見るがマルもシカクも黙っている
サンカク (少し気分を害して)じゃあどうするの。ゼロを消してなかったことに…?
シカク それも一手
マル あんたまで!
シカク 冗談だよ。やっぱみんなで言いにいこ?
→長ーい沈黙と微動だにしない三人
シカク (泣きそうな声で)ダメじゃん
→暗転
→闇にマルのOFF
マル(OFF。途中からサス) 誰にも止められないままに稽古は続いていった
怖いほど良くなっていく
そりゃそうだ
モデルがあるのだから
ゼロも何か言いたそうにしながら黙って準備を続ける
ときどき私たちにもの問いたげな目を投げる
私たちは知らないふりをする…
マル そしてついに本番が来た
途中から客席がざわついていくのが手に取るように感じられた
視界の隅で大人の人が何人か走っていくのがみえたけど
それでも私たちは
舞台を続けた
シカク 処分は活動休眠
各方面への謝罪
オリジナルの上演に限りみとめられてるけどあまりのことにみんな退部していったから、何が出来るわけでもなく…
→溶明
部室前
扉には恥曝し!
死んで償え!! とか落書きされている
そこにサンカクが来る
入る
ややあってシカクも来る
入る
サンカクに気づいて
ぎょっ!
さらに…マルも来て
入る
サンカク、シカクに気づいて
ぎょっ!
三人黙っているが、マルが“よっ”みたいに手をちょっと上げると、サンカクとシカクも、ちょっと手を上げる
各々の手に台本(高校演劇セレクションの別々の一冊ずつである)
互いの選んだ一冊をのぞき込みあう
頷きあう
パラパラと各々に見る
各々読み始めているが、
ついにサンカクが閉じ
立ち上がる
サンカク あの さ!
マルとシカクが見る
サンカク気まずいが続ける
サンカク 春大会出たい!
マル シカク ええーっ!!?
サンカク 完全創作なら出ていいってされてる
完全創作なら!
マル うん…だけど…今から書けるの?
サンカク、手とじの一冊を二人に示す
サンカク ゼロが秋大会前に書いてたやつ
シカク ゼロの?
サンカク (頷き)『平成羅生門』ありきみたいになっちゃったからよく読み込まなかったんだけど…そこそこ面白い
マル ふうん(受け取る。パラ見する)
→シカクも覗き込む
サンカク 私あれからずっと考えてた
完全創作に限って許可ってことは、私たち完全に断罪されたわけじゃないと思うんだ
やる気があるなら持ってこい みたいな 何つーか…
→マルから受け取ってシカクも読む
→シカク、やがて目を上げる
シカク そうかも! そうかもそうかもそうかも!
私たち完全道閉ざされた感あったけど、うん、もしかして違うかも!
マル そうかな
シカク そうだよ!
そうでなきゃ何でただし書きつくの
ホントにだめなら廃部解散でしょ!
そういう処分じゃなかった!
マル でも…
サンカク シカク ?
マル 汚名はついてまわるよこの先ずっと
私たちだけじゃない
後輩たち
顔も知らないずっとずっとあとの後輩たちにまで!
サンカク そうしないためだよ!
うちらの失敗はうちらが消していくんだよ!
やろうよマル! シカク!
このホンなら4人いれば何とかなる!
マル うちら3人じゃん あ(シカクの手中のホンを見やる)
シカク (サンカクに)来るの? ゼロ
サンカク わかんない
ラインは入れた
シカク 五分五分かあ…
マル でもゼロ10(ジュー)よりはいい
シカク ゼロだけに?
マル わあ不吉っ
→三人笑いあう
そして扉を見る
マル 来るかな
サンカク 来るよ
シカク 来てくれえっ
→黙って扉を見つづける三人で…
END
マル サンカク シカク めるえむ2018 @meruem2018
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます