第32話
「ミア、リーア!後ろ来たぞ!」
「はい!」「わかってる!」
ジークの言葉を聞き2人はすぐさま振り返り魔物を迎撃する。ジーク達を囲んでいた大量の魔物も今ので最後となった。
「はぁ、やっと終わったー!」
リオルがそう言いながらどかっと地面に座り込む。
「今回のは流石に疲れたわね。まさかこんなに大量の魔物が襲ってくるなんて」
周りに積み上げられた魔物の死体を見回しながらそういうリーア。
「とにかく、このことはギルドに報告しておきましょうか」
と、ミアがみんなに同意を求めるように言い
「そうだね。流石にこの量は異常だ。この森で何か起きてる可能性もある」
それにジークが返事を返す。
その後4人は雑談をしながら森を抜け街へと帰って行った。
アイネス学園を卒業して2年。彼らは4人でパーティを組み冒険者になっていた。この4人のパーティは結成して僅かにも関わらず既に冒険者ギルド内では上位のパーティとして名を馳せていた。
大きな理由としては構成員全員がアイネス学園卒業者という事だ。卒業到達率約1割と言われたいる学園の卒業生4人で組まれたパーティ。一瞬で名は広まり実力も折り紙つき。
その中でも特に注目を浴びたのは2人の少年ジークとリオルだ。
片や宮廷魔法士長に勝るとも劣らない魔法力の持ち主。片や近衛兵5人に無傷で勝利する剣技の持ち主。
わずか16歳の少年とは思えないほどの実力を2人は有していた。
また二人の少女ミアとリーアも二人には見劣りするもののそこらの冒険者では歯が立たないほどの実力は持っていた。
そんな4人が今日訪れたのは自然のダンジョンと言われている深密の樹海だった。ギルドで受けた樹海調査依頼を終え帰ろうとした矢先に先ほどの魔物の大群であった。
「はぁ、疲れたー。早く宿に帰って湯浴みして寝たい」
「もー、リーアちゃん。まずはギルドに行かないとだよ」
街に着くとリーアが気だるそうに呟く。
そんなリーアを笑いながら嗜めるミア。
「本当リーア変わったよな。前は強情な金髪ドリルのお嬢様だったのに、今のお前を見ると別人にしか見えねーや」
「う、うるさいわね。いつまでも過去の話を持ってこないでちょうだい。私だってみんなと頑張る為にこれじゃダメだって思って変えたんだから」
そう言い照れたようで頰を少し赤らめながら俯くリーア。そんなリーアをじっと見つめているジーク。
「な、なによジーク。ジロジロ見て」
「いや、リーアが可愛いなぁと思って」
そう言った途端にリーアの頰の赤みは最高潮に達した。
「な、な、な、何言ってんのよ!!か、可愛いとか、、、ばっかじゃないの!?」
そう言い走り去ってしまった。
「ちょ!リーアどこ行くの、待って!ごめん2人とも!先行っといて!」
そう言い全力でリーアを追いかけるジーク。
「またやったなー、ジーク」
「またですねー、それもジーク君素でやっちゃてますもんね」
何度目かのこの光景。
2人は小さく微笑みながらギルドへとむかうのだった。
☆☆☆
「ったく、あのジジイ。無駄に話し伸ばしやがって」
「まったくね。私達はあんたみたいに暇じゃないっての」
「ちょ、ちょっとリオルもリーアも一応相手はギルド長なんだからもう少し言葉遣いを、、、」
ミアがそう言った瞬間リーアとジークはすぐさまミアに顔を向けニヤニヤと笑みを浮かべ出す。
「な、なんですか2人とも、、、」
「いやぁ、ミアがリオルの事を呼び捨てにねぇ。随分と仲が進展してるみたいねー」
「出会った頃はミア、リオルのこと怖がってたのにね。今じゃ恋人なんてほんと何が起きるかわかんないね」
「ちょっ、ジーク君!それは言わない約束じゃ!」
「ほーん、ジーク情報サンキュ。ミア後でゆっくり話そうな」
「うぅ、、、」
その後もリーアとジークのミアいじりは終わらず宿に着くまで続いたのだった。
「おかえりー!ジークおにーちゃん!」
「お、ただいまリルちゃん」
宿に入るなりリルがジークに飛びつきそれをジークは優しく受け止める。
「久しぶりだね」
「うん、リルね!リルね!お兄ちゃんがいない間お父さんとお母さんのお手伝い頑張ったの!」
「そっか、偉いぞー」
そう言いリルの頭を撫でるジーク
「えへへー」
11歳になっても変わらずジークに懐いており今も頭を撫でられたいそう嬉しそうにしているリル。
そんなリルを恨めしそうに見ている人物が一人。
「うう、いいなぁ。私もジークに頭撫でられたい」
欲望をそのまま言葉に出してしまっていリーアであった。そんなリーアを苦笑いをしながら見守るミアとリオル。
これもまたこの宿でよく見られる光景なのであった。
ちっぽけな少年のおっきな魔法 ピグッピー @guppy1380
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