第15話 悪魔対死神 その2

 草原で身構えるシルグの頭上を、青い翼を広げた飛翔盾エウフーガが飛ぶ。

 それを駆るのは〝凍嵐の死神〟と呼ばれるサングリクス軍の英雄ヴァルフェルーラ・カルミナ。

 彼女は森の中でサングリクス軍砲兵の腕を切り落とそうとしていたシルグに襲いかかってきた。飛翔盾を巧みに操り、本来は平行にするはずの翼を垂直に起こして、その片翼をシルグに叩きつけるという荒業をもって。しかも樹木が生い茂る森の中、地面すれすれを猛速で飛びながら。

 シルグはその一撃で、森の中から草原にまで吹き飛ばされていた。

 自身の技の全てを駆使せんとするその気迫に、カルミナの殺意の強さが現れているようだった。

 惚れた女が容赦なく襲いかかって来るという現実に打ちひしがれそうになるが、生憎シルグにそのような暇はなかった。

 

 地面を蹴って飛び退く。直後、大地が爆散し土砂が激しく飛び散る。上空を飛翔するカルミナが左腕をシルグに向けて突き出していた。

 真韻術マーレクスにより発生させた運動エネルギーを大気に伝播させて、空気そのものを砲弾のように撃ち出しているのだ。その威力は、先刻シルグが浴びた砲兵部隊からの攻撃を超えている。何しろ地面に穿たれた大穴は、直径が十ティトラ(約十八メートル)以上にもなっているのだから。その一撃だけで数十人を戦闘不能に追いやることができるだろう。

 しかもそれは一度では終わらなかった。シルグを狙って立て続けに十回以上も繰り出される。並の使い手ならば瞬く間に真気ルフが枯渇しかねない連撃だが、彼女が纏う青い真気はまるで減る気配がない。衝撃波と飛散する土砂、礫の嵐が容赦なく襲いかかる。

 

 シルグに残されたもう一つの仕事は、なるべく目立つように行動し〝凍嵐の死神〟を引き付けること。

 これにより、戦線東部を南下するアルテネ軍本隊がより安全に攻勢に移れる。今頃は遠方からカルミナの姿を確認したシルグの部下の手で、エクオルスに作戦成功の報告が送られていることだろう。

 あとは可能な限り長い時間カルミナをここに引き付け続けるだけだ。

 カルミナの攻撃能力は、いま見たようにとてつもなく高い域にある。十人以上で構成される砲兵部隊と同等の攻撃を一人で繰り出し、しかもそれを間断なく行う。彼女一人が戦場の空を舞うことで、戦況は一気に覆ってしまう。だから絶対にカルミナを移動させてはならない。

 しかしシルグはそれが非常に困難だということをすぐに思い知らされる。

 並みの術師であれば必殺の一撃になり得る猛攻を繰り出しながら、カルミナにとってそれはただの牽制に過ぎなかった。

 

 シルグの直上およそ六十ティトラ(百メートル強)のところにいたカルミナの足元から青い翼が消え、足場にしていた盾を左手に持つ。何もない空中に立つ彼女から、これまでとは比較にならない青い真気が立ち上り、それが一斉に下方に向かって飛散した。

 雨のように振り注ぐ真気が空気に溶けるように消えた次の瞬間、シルグの視界が白く染まった。そしてぴしっという硬い音が響く。

 それは大気中の水分が凝結し、足元の草や地面が凍結した音。刹那の一瞬で、気温が一気に低下していた。

 

「……ごほっ! ごほっ!」

 

 微細な氷の粒とともに極寒の空気を吸い込んでしまったシルグは激しく咳き込んだ。体温が急激に奪われ、軍服だけでなく吐き出す息すら瞬く間に凍りつく。

 カルミナは何もかも凍結させるこの冷気で、千人以上が立てこもる砦を陥落させたという。

 それは誇張でも何でもなく、全くの事実だと強く思い知らされる。それほどにシルグを押し包む冷気は苛烈だった。じっとしていれば遠からず体ごと凍り付いてしまうだろう。

 シルグは冷気を直接吸い込まないように手で口元を覆い、走り出そうとした。

 その瞬間、慌てて別方向へ飛び退く。

 衝撃波がシルグを吹き飛ばした。全身がびりびりと軋み、飛び散る土塊がシルグを激しく打ち据える。前に掲げた両腕で防御しながら、空中で体を翻して着地。

 上空のカルミナからの攻撃だった。

 どうやら彼女は、シルグが凍死するまで悠長に待つつもりはないらしい。

 

 シルグはじぐざぐに進路を変え、絶え間なく襲いかかる衝撃波を避けながら極寒の領域からの逃亡を図った。

 しかしまるで終わりが見えない。

 カルミナが冷気を撒き散らしている範囲は、少なく見積もっても半径二百ティトラ(約三百六十メートル)に達していると思われた。さらに上空のカルミナはシルグに合わせて空中の見えない足場を移動している。つまり冷気の中心がシルグを追尾し続けるということ。

 あまりの寒さに痛みを訴えていた手足の指先の感覚がなくなってきた。まつ毛にこびりつく氷が視界を塞ぎ、激しく走って熱を生み出しているはずの体は芯から凍えてくる。脳裏に浮かぶは凍死の二文字。

 シルグの使命は〝凍嵐の死神〟をこの場に引き付けることだったが、このまま逃げ続けるだけでは間違いなく死ぬ。

 それを回避するにはカルミナ自身を倒すしかない。それならシルグはこの寒さから解放され、友軍が襲われることもなくなる。

 しかしカルミナに今まさに殺されかけているというのに、それを選ぼうとは毛ほども思えなかった。シルグ自身、戦場で彼女と相対したなら心変わりするのではないかとどこかで思っていたが、全くそれが起きる気配はない。

 

 やはりカルミナに心底惚れてしまったらしい。

 改めてそれを自覚しつつ、シルグは右手の剣に目を走らせた。

 これまで数百というサングリクス兵の腕を切り落としたために、剣に宿らせた『万象断つ刃』の力は弱まり、刀身の黒色は薄まっていた。

 シルグには『空間を斬る』という究極の移動手段があるが、新たに力を補充しなければ、空間を斬る力が足りない。しかし補充するには真韻を唱えなければならず、そしていまは冷気を吸い込まないように左手に口を当て呼吸量を制限している。とてもその余裕がない。

 僅かでいいから、隙が必要だった。

 シルグがそう思った矢先、異変が起きた。執拗に追撃していた爆音がぴたりと止まったのだ。

 凍り付いた草を粉々に砕きながら急停止して空を仰ぐ。

 氷片が舞う視界の先に映ったのは、上空のカルミナが今まさに倒れこみ、そのまま地面に向かって落下する姿だった。

 いったい何が起きたのか。迷いが生じたものの、それも一瞬。シルグは慎重に素早く空気を吸い込んだ。

 

「アトラ、ディバイド、ルフルファード、エモネア、ムドム、レウニル、スレイクダルグ!」


 真韻とともに左手から溢れ出した漆黒の真気を、刀身の根元から先端に向けて走らせる。そして力を受け取ったことで漆黒に染まった刃を横に薙いだ。黒刃が空間を切り裂き、刃と同色の世界が垣間見える。その先に光があった。

 シルグは裂け目に迷わず飛び込んだ。その直後、浮遊感がシルグを襲う。

 瞬前まで地上にいたシルグは、カルミナがいた上空六十ティトラ(約百メートル)地点に一瞬で移動していた。

 眼下に広がるのは、氷の粒に覆われた半球状の空間と広大な森林、そして平原に穿たれた穴の数々と、それを遥かに凌駕するすり鉢状の大穴。

 落下を始めたシルグの視界前方に、激しく波打つ白金の髪があった。

 カルミナだ。左手に持っていた盾を手放し、それと同じ速度で頭を下に向けた状態で落下している。

 

「リア、エラール!」


 徐々に落下速度が増す中、シルグは空気固化の真韻を叫んだ。左手に纏わりついている真気の一部が消失し、シルグの足場を作り出す。それを全力で蹴りつけ、地面に向かって跳ぶ。その途上で落下し続けるカルミナの体を抱きかかえた。

 カルミナの体に初めて触れたという事実に、落下している最中だというのに鼓動が高鳴り、芯まで凍えていたはずの体が熱を帯びる。

 シルグはそれをぐっと抑えつけ、カルミナの様子に目を凝らした。

 彼女は目の部分をガラスで保護する革製の兜を被っていた。半透明のその向こうにある整った眉が苦しそうに歪み、目は固く閉じられている。

 つい先刻までシルグを殺さんと力を振るっていた猛々しさからは想像できないほどに弱々しい姿だ。

 彼女の身に何が起きたのか。

 それに思いを巡らせるもすぐに打ち切られた。

 カルミナの美貌から視線を引き剥がし、地面へと目を向ける。剣の間合いから僅かに離れた至近距離に男がいた。

 シルグと同じように『空気固化』の真韻を用いて地上から跳躍してきたのだろう。すでに腰の剣に右手をかけており、今にも抜き放たれようとしていた。

 顔を含めた全身を黒い装束で覆ったその姿にシルグは見覚えがあった。

 一昨日の夜、カルミナを襲撃した男だ。その目は明らかな殺気に漲っている。

 このままでは抱えたカルミナごと斬られる。

 一瞬でそう判断したシルグは、男に先んじて斬撃を放った。互いに剣の間合いに入る前だったため、黒刃は何もない空中を斬る。一見無意味な行動であり、男の鋭い目にも疑念の光がよぎった。

 しかしシルグの狙いは敵を迎撃することではなく、空間を斬ること。

 シルグは素早く剣を逆手に持ち替え、カルミナの体を両手でしっかりと抱え込むと、たった今作り出した空間の裂け目に飛び込んだ。

 一瞬だけ音と光と寒さが完全に消失する。それが戻ると同時にシルグは上半身をひねって全力で体を横に回転させた。

 全身を襲う衝撃。冷気と土塊と草きれが、肌を剥き出しにしたシルグの顔面に何度もぶつかる。それを二十回ほど繰り返したところでようやく回転が止まった。空中を落下していたはずのシルグは、氷結した草に覆われた地面の上で横になっていた。


 シルグは空間を斬って出口を地表すれすれのところに作り出したが、そのとき出口の方向を鉛直下向きではなく水平向きにしたことで、落下の方向も鉛直から水平へと変わっていた。つまり地面に対して水平に投げ出された状態へと強引に持って行き、接地と同時に体を旋回させることで、落下の衝撃を大半を殺したのだ。

 

 背中や肘、腰などが鈍痛を訴えていたが、シルグはそれを無視して腕の中のカルミナにさっと目を走らせた。兜はどこかにいってしまっていたが、目立つ外傷はないように見えた。しかし外見だけでは判断は難しい。

 シルグはすぐに起き上がり、カルミナを左肩に担ぐように抱え直した。いまだ空中にある黒ずくめの男を一瞥し、それとは正反対の方向に走り出そうとして、足を止めさせられた。

 

 正面に男が立っていた。

 少々痩せ型で、高くも低くもない平均的な背丈に、黒一色の服を纏っている。カルミナに襲いかかった男のように覆面はしておらず、適度に切り揃えた黒髪に若干眠そうな目と、特筆すべき点のない至って平凡な顔立ちを露わにしている。

 町や村で見かけたら特に気にも留めないであろう風貌だったが、シルグは最大限の警戒態勢をとった。

 回転しながら受け身をとっているときに、この男はいなかったはずなのだ。そしてここは現在アルテネ王国とサングリクス王国とが対峙している戦場の真っただ中。このようなところにいる人間がまともなわけがなかった。

 

 シルグが正面の男に注意を向けていると、背後からの微かな音が耳を打つ。たった今カルミナを襲おうとした男の着地音だ。

 シルグは二人の男を視界の左右に収めるように体の向きを変えた。距離はそれぞれ四ティトラ(約七メートル)ほどだ。

 シルグの視界の右、顔をさらしている男が、雑談でもするかのような何の気負いもない口調で切り出す。


「その黒い真気から察するに、君は〝剣の悪魔〟と見受けるが相違ないかな?」

「……お前たちは何者だ?」

「申し訳ないが、我々のことは教えられないのです。君が抱えるその女性に用がある者、とだけ言っておきましょう。というわけで、彼女を渡していただけますかな?」

「断る。お前らは殺すつもりだろう」


 シルグは即座に拒絶しつつ、視界の左端で黒ずくめの男の様子を観察する。

 剣を構えたまま微動だにせず、話しかける気配はない。鋭く絞られた殺意を向け続けている。

 

「その女性は君たちの敵でしょう? 仮に我々が彼女の命を奪うとしても、君たちにとって損失はないように思いますがね」

「人質として交渉材料に使える。死んだらそれができないだろうが」


 シルグの返答に、男は平凡な顔に納得の色を浮かべ何度か頷いた。

 

「ふむ。それもそうですな」

「理解したなら失せろ。彼女は俺がもらう」

「残念ながら、はいそうですかと引き下がるわけにはいかないのですよ」


 男が視線だけを右へと向けた。

 シルグにとって正面になるその方向には、サングリクス兵との戦いを繰り広げた森林が広がっている。その上空に白い翼が舞っていた。見えるだけで三つ。それらが急速にこちらに向かって近づいてきている。おそらくカルミナの部下だ。

 

「できることなら君を説得したいのですが、その時間はなさそうです。力づくでいただくとしましょう」

 

 男が穏やかな口調でそう言った瞬間、シルグの左側にいた男の気配がより刺々しい剣呑なものへと変わった。宣言通り、実力行使に及ぶ気だ。

 二人の男はいずれも手足は自由だ。一方のシルグはカルミナを肩に担いでいて満足に戦えない。

 選択肢は最初から決まっていた。

 シルグは男が宣言すると同時に、だらりと下げていた剣で自身の膝の前辺りをすっと横に薙いだ。

 それは攻撃の予備動作にすら見えない、敵意の欠片もない動き。ゆえに二人の男はそこに注意を向けたものの、大きな反応は返さなかった。それが大きな隙となる。

 シルグは右足を小さく一歩踏み出した。

 男二人が同時に間合いを詰めてくる。それを見届けながら、シルグは浮遊感に身を任せた。漆黒の帯が視界を下から上へ過ぎ去る。

 次の瞬間には、シルグは空中にいた。眼下二ティトラ(四メートル弱)ほどのところに地面があり、瞬前までシルグの右にいた男は左にいる。

 シルグは足元の空間を斬って男の背後上空と連結し、そこに身を投じたのだ。


「主、後ろです!」

 

 若い声が警告する。

 顔をさらしている男が振り向いた。しかしそのときにはすでにシルグは着地し、猛然と草原を駆け出していた。

 剣を鞘に納めながら目指すは、上空に移動したときに見えたすり鉢状の大穴。

 風のように疾走するシルグは数百ティトラ先にあったそこに瞬く間に到達した。穴の直径は百ティトラ(約百八十メートル)強、深さはおよそ三十ティトラ(約五十メートル)。かつて露天掘りが行われた跡地だ。

 シルグはカルミナを両手で抱え直すと、そこに躊躇なく身を躍らせた。

 


                  ◇

 

 

 リメスはすり鉢状の大穴に駆け寄って見下ろした。

 〝剣の悪魔〟とそれが抱えていた〝凍嵐の死神〟の姿はどこにもなく、雑草に覆われた斜面が遥か下まで続いている。その途上、底と地上との中間あたりに黒々とした穴が開いていた。

 斜面を滑り降りて、穴の中を覗き込む。光は入り口付近にしか届いておらず、奥は暗闇に閉ざされていた。

 高さと幅はそれぞれ二ティトラ(約三メートル半)ほどで、等間隔に設置された弧状の金属柱が奥に続いている。 

 ここはどうやら露天掘りの途中から、鉱脈に沿って坑道を掘削する坑内掘りに変更した跡のようだった。

 やや遅れてリメスの忠実な下僕ファシミアがやって来た。目だけが覗く覆面をしたまま、感情を窺えない平板な声で尋ねる。

 

「あの男はここに逃げ込んだのでしょうか」

「どうかな。彼はどうやら瞬間移動を使えるらしいから、我々の目から逃れた隙にどこかに移動してしまったかもしれないね」

「そのような真韻術があると聞いたことがありません」

「うむ、君には教えていなかったかね。瞬時に遠方に移動する術の存在自体は、書物には散見されるのだよ。ただしそれを実行するための真韻が現代に伝わっていないし、その原理も不明のまま。だからただの妄想の産物と主張する者が大半だね」

「主はどうお考えですか」

「そりゃあ、目の前で見せられたら実在すると判断するしかない。ただ実際に見ても信じ難い。どうやら彼は空間を斬ったようだからね。まさに〝剣の悪魔〟の異名に相応しい絶技だよ」


 リメスは〝剣の悪魔〟に対して心底感服していた。

 自身がまだ見ぬ真韻術を目の前で実演してくれたのだ。仕事を妨害された苛立ちなど完全にどこかへ消え去っていた。

 いったいどのような真韻を用いているのか、非常に興味深い。だが話を聞くことは難しいだろう。

 普通であれば〝剣の悪魔〟とリメスとは〝凍嵐の死神〟と敵対しているという共通点があるため、手を組むことすら可能な関係だ。

 しかし悪魔はどうやら死神を殺さない方針で動いている。リメスと利害が対立している以上、友好的な関係は築けまい。

 小さく嘆息して頭を振るリメスに、ファシミアが遠慮がちに話しかける。


「主、一昨日の晩、死神を襲撃したときの報告を覚えておいでですか」

「もちろん。剣技に長けた兵卒に妨害されたと言っていたね。もしかして──」

「はい。あれは〝剣の悪魔〟かもしれません。兵卒は顔の上半分を包帯で覆っていましたから、人相はわかりません。ですがあの男と悪魔の身のこなしが似ているように見えました。何よりも、魂がとても近いように思います」

「なるほど。ファシミアがそう言うのなら間違いはないだろうね。となると、悪魔は彼女を二度助けたということになるわけか」

「何故敵対者を助けるのでしょうか」


 ファシミアの問いにリメスはさっと思いついたことを並べてみた。


「考えられるのは、彼が言っていたように人質目的だね。一昨日も彼女を誘拐する機を窺っていたところにファシミアが現れた。生かしておかなければならないから、妨害したというわけだ。ただそうなると、何故そこで姫君を誘拐しなかったのかという疑問が生じてくるわけだが……姫君が思いのほか手ごわかったのか、それとも別の事情があったのか、情報が少なすぎて結論は出ないね。わかってるのは、あの悪魔がいると、姫の命をいただくのが難しくなるということ」

「この先に行ってみますか?」

「やめておこう。もういないかもしれないし、姫君の部下もこの周辺を捜索するはずだ。近くでやり過ごして撤収する」

「了解しました」


 リメスは次なる策に思いを馳せつつ、忠実に答える下僕とともに踵を返した。

 目的を達成し損ねたというのに、リメスの心中は思いのほか軽かった。

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剣の悪魔の恋戦記 冬空 @huyuzora

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