こちらの作品は、『花はひとりでいきてゆく』の続編になりますので、まずは前作を読んでからこちらの作品を読むことを強くおすすめします。
前作では、『義兄』『義妹』という関係を中心に、複雑な男女の心理を時に激しく、時に壮大な美しさで描かれています。泣ける小説としては、間違いなく本物と言える作品ですので、ぜひ一読していただけたらと思います。
そんな完成された前作を補填しつつ、その後のストーリーが展開される本作品ですが、特徴的な要素に『さりげない一言の重み』があります。
さらりと書いてある何気ない文章やセリフが、しっかりと胸に響いてくるのですが、その理由は緻密に重ねられていく人間のドラマにあると思います。
登場人物たちの背景、立ち位置、立ち回りがリアルに描かれているおかげで、ここぞという場面に書かれる描写や台詞が真っ直ぐに胸に響いてきます。
それはまさに感動なのですが、感動のみではない深い余韻が伴っており、読み進めるうちに、本物の作品に触れたような感慨深い味わいになっているように感じました。イメージとしましては、一つの余韻が後のストーリーに厚みを持たせているような感じです。
いくつも感動ポイントがありますが、既婚者の男性なら涙せずにいられないポイントとして、亡くなった妻の事故現場を通るシーンがあります。そのシーンと後に続くシーンは、これでもかと胸を締めつけられました。前作を補填する形で描かれたエピソードだと思いますが、わかった瞬間の言葉にならない衝撃は、ぜひとも体験してもらいたいです。
前作もそうですが、本作品も無料で読めることがありえないほどの内容になっていますので、本物の作品を知るという意味でも、みなさまに自信をもってオススメします!
本屋にあったら即買いの一級品、ぜひ堪能してみてください!!