第6話君が見たいもの
ん? どうしたのかって? 見てわかるだろ? 巣穴に戻るんだよ。
もうそろそろ、のりこを休ませてやるんだ。僕にはわからないけど、あれも給仕係以外に何かをしている。それが何かはわからない。分かりたいとも思わない。
今日はまだましな方だよ。
こないだなんか、全く握りつぶされるかと思ったさ。なんだか泣きながら色々と言ってたけど、のりこにはのりこの事情があるんだろ?
え? 気にならないのかって?
僕がそれを詮索して、どうなる? 僕がなぜのりこの世話を焼かないといけないんだい?
僕の給仕係をしていればいいものを、他で何かしているのりこだよ?
「じゃあね、くるみちゃん。どんぐり君。おやすみ~。今日も疲れたけど、もう大丈夫だよ。くるみちゃん。いっぱいお話聞いてくれてありがとねぇ。どんぐり君も慰めてくれてありがとうだよぉ~」
ふん……。安心しろ。半分しか聞いてない。
『おやすみねぇ、くるみちゃん! また、あそぼうねぇ』
『さっさといけ! 今から寝るはずないだろ! あまりカサカサ音を立てるなよ!』
まったく、これだからバカな奴らを相手にするのは疲れるんだ。
君も、もういい加減帰ったらどうだ? 君が何を知りたかったのかは知らないけど、僕たちはこんなもんだ。
今日みたいに、新記録が生まれる日もあれば、失敗する日もある。でも、僕らはこうして日常を暮している。
僕は、僕の日々を。
あのバカは、バカなりに。
そして、のりこもな。
こうして僕らは、別々の一緒で暮らしている。
だから、君が何を求めているのかわからないけど、君の日常を生きるがいいさ。
そして、気になったなら探してみるがいい。
半分くらいなら、話を聞いてくれそうなのが、たぶん君の周りにもいるはずだよ。
見る目が変われば あきのななぐさ @akinonanagusa
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