第11話 僕は君を殺せない/イニシエーション・ラブ

長谷川夕『僕は君を殺せない』集英社、2015、ISBN978-4-08-680055-6

乾くるみ『イニシエーション・ラブ』文芸文集、2007、ISBN978-4-16-773201-1


こちら、糸崎さんの『徒然なるままカクヨム』にて紹介されていた本です。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885912745

第34話 「叙述トリックいろいろ」


買ったんじゃなくて、図書館で借りたのというケチ臭いことは置いといて。

読後の感想を書いていこうかと思います。

ネタバレは一応、気を付けますが、バレていると思いますので、未読の方、ご用心くださいませ。


まず、『僕は君を殺せない』。

(裏表紙より)

夏、クラスメートの代わりにミステリーツアーに参加し、最悪の連続猟奇殺人を目の当たりにした『おれ』。

最近、周囲で葬式が相次いでいる『僕』。

一見、接点のないように見える二人の少年の独白は、思いもがけない点で結びつく……!(中略)誰も想像しない驚愕のラストへ。二度読み必至、新感覚ミステリー!


2015年度ノベル大賞・準大賞受賞作。デビュー作だそうです。


復讐劇というんでしょうか。

孤立した屋敷で次々と人が殺されていく事件が起こるんですね。

で、合間に『僕』視点で、ラブコメっぽい雰囲気が挟まれていく展開です。


やることやってないかと思ったら、やってたんだ、と下世話なことを思いましたが、『僕』がやさしい印象で、強気な彼女が魅力的です。


そこまで捻ったミステリではないんですけど、タイトルの付け方が上手いですね。

さて、「君」とは誰のことでしょうって。


表紙の絵が「ああ、あの場面なのか」と読み終わってから見ると、また感動的です。赤い血のようなもの……かとおもいきや。「君」のアレでしょうね、たぶん。


ですます調で書かれているため、陰惨さが薄れてピュワな雰囲気が漂う作品です。

丁寧語で不気味となるとフリーザが浮かびますけどね。

本作は不気味じゃなくてピュワです。


次、『イニシエーション・ラブ』

(裏表紙より)

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。(中略)最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。


80年代後半が舞台の恋愛ものです。

最後から二行目を読むなとのこと。誘惑に耐えて、ちゃんと見ませんでしたよ。


80年代が舞台ということで、世代によって懐かしいと感じるのかもしれませんね。携帯がないというのは、ひたすら不便だなという感想です。


読後の感想。

最初はハッピーエンドかなと思ったんですよ。殴る男は嫌なので。

ですがぁ。

うん、ホラーだね。怖い。女怖い(ガクガク)


あのことを「便秘」って言ったり。

「これからずっと、死ぬまで相手はたっくん一人」の台詞とか。

たっくん、て部分が怖いです……、うわぁって。


そこまで美人じゃないのにモテる女性って、こういう感じなのかなぁというヒロインと純朴青年ぽい主人公。青春ものかと思いきや…… 女怖い(ブルブル)



知らなかった本を読めて、満足です。

最後に意外な事実が現れる2作。

どちらも300ページ弱もない本ですので、すぐに読めると思います。

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干からびたカエル 竹神チエ @chokorabonbon

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